>イデオロギーや大きく異なる政策綱領をめぐって有権者が分裂している他国とは異なり、日本の有権者は、どの選択肢も刺激的ではなく、与党が自己満足に陥っているという感覚に不満を感じている。 「他国とは異なり」とあるが、西側諸国の自称“自由民主主義“は行き詰まりにある。だから、私は日本の政治的不安定も、西側全体の政治的行き詰まりの一環であると考えている。 西欧では移民問題や物価高に直面しているのに、EU官僚やエリートは、庶民の苦境を無視して、説教強盗よろしく、自由民主主義や自衛権の行使などと美辞麗句を並べ立てて、移民問題を放置し、ウクライナやイスラエルの戦争を止めず、グローバリズムイデオロギーを押し付け、庶民を苦しめている。 これは、民衆と政権を担うエリート層の利害の不一致であり、一部の特権的エリートによる政治の簒奪という意味で、正に寡頭政治である。 日本の場合は、移民問題こそ先鋭化していないが、物価高や経済的停滞、格差社会は深刻である。一方、選挙の時だけ庶民目線を装う自民党政治家らは、その実、政官財の強固な利益誘導トライアングルの中で、特権層のみ相互にお金をまわしあい甘い汁を吸っている。 それが、腐敗汚職不祥事脱税の温床となり、裏金脱税問題は自民党の腐敗堕落を分かりやすく見せつけた。 政官財の癒着による特権的な利益誘導構造の一方で、庶民は実質賃金低下と物価高にみまわれている構図。これこそが日本の寡頭政治状況だ。 だが、日本人の民度がまだまだ低いと言わざるを得ないのは、メディアの「大本営発表」を鵜呑みにして、ウクライナやイスラエルの戦争が物価高の原因になっている、という本質的認識には達していない。物価高を押さえ込むためにも、ウクライナやイスラエルの戦争を止めなければならない、という理解力や分析力に達していないため、表層的な上っ面の問題としての裏金問題に囚われたまま、ということだろう。 本質的には、何故裏金問題が現出したのか、を考えなければならない。 日本の裏金問題は、西側世界の“自由民主主義“は空虚な御題目に過ぎず、実際には自由でも民主主義でもない寡頭政治である、という行き詰まりの一つのサンプルであると考えるべきだ。 現下の西側の自由民主主義が行き詰まりは、本質的にはウクライナやイスラエルの戦争を止めないばかりか、支援していることが原因である。西側の庶民は、そのため、結果的に物価高に苦しめられている。そして、そのような状況に陥っているのは、庶民を無視して、自由でも民主主義でもない寡頭政治システムが特権的エリートにより強固に形成されているからだ。 その意味では、裏金問題の根本にある西側の“自由民主主義“の行き詰まりとしての寡頭政治をどう変えるのか、或いは打破できるのか?これが課題だ。 その一つのヒントは、来るアメリカ帝国大統領選だろう。
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孫崎享チャンネル
(ID:119568177)
>イデオロギーや大きく異なる政策綱領をめぐって有権者が分裂している他国とは異なり、日本の有権者は、どの選択肢も刺激的ではなく、与党が自己満足に陥っているという感覚に不満を感じている。
「他国とは異なり」とあるが、西側諸国の自称“自由民主主義“は行き詰まりにある。だから、私は日本の政治的不安定も、西側全体の政治的行き詰まりの一環であると考えている。
西欧では移民問題や物価高に直面しているのに、EU官僚やエリートは、庶民の苦境を無視して、説教強盗よろしく、自由民主主義や自衛権の行使などと美辞麗句を並べ立てて、移民問題を放置し、ウクライナやイスラエルの戦争を止めず、グローバリズムイデオロギーを押し付け、庶民を苦しめている。
これは、民衆と政権を担うエリート層の利害の不一致であり、一部の特権的エリートによる政治の簒奪という意味で、正に寡頭政治である。
日本の場合は、移民問題こそ先鋭化していないが、物価高や経済的停滞、格差社会は深刻である。一方、選挙の時だけ庶民目線を装う自民党政治家らは、その実、政官財の強固な利益誘導トライアングルの中で、特権層のみ相互にお金をまわしあい甘い汁を吸っている。
それが、腐敗汚職不祥事脱税の温床となり、裏金脱税問題は自民党の腐敗堕落を分かりやすく見せつけた。
政官財の癒着による特権的な利益誘導構造の一方で、庶民は実質賃金低下と物価高にみまわれている構図。これこそが日本の寡頭政治状況だ。
だが、日本人の民度がまだまだ低いと言わざるを得ないのは、メディアの「大本営発表」を鵜呑みにして、ウクライナやイスラエルの戦争が物価高の原因になっている、という本質的認識には達していない。物価高を押さえ込むためにも、ウクライナやイスラエルの戦争を止めなければならない、という理解力や分析力に達していないため、表層的な上っ面の問題としての裏金問題に囚われたまま、ということだろう。
本質的には、何故裏金問題が現出したのか、を考えなければならない。
日本の裏金問題は、西側世界の“自由民主主義“は空虚な御題目に過ぎず、実際には自由でも民主主義でもない寡頭政治である、という行き詰まりの一つのサンプルであると考えるべきだ。
現下の西側の自由民主主義が行き詰まりは、本質的にはウクライナやイスラエルの戦争を止めないばかりか、支援していることが原因である。西側の庶民は、そのため、結果的に物価高に苦しめられている。そして、そのような状況に陥っているのは、庶民を無視して、自由でも民主主義でもない寡頭政治システムが特権的エリートにより強固に形成されているからだ。
その意味では、裏金問題の根本にある西側の“自由民主主義“の行き詰まりとしての寡頭政治をどう変えるのか、或いは打破できるのか?これが課題だ。
その一つのヒントは、来るアメリカ帝国大統領選だろう。