りゃん のコメント

「北朝鮮の脅威」とは具体的にどのようなものだろうか。北朝鮮は核兵器に全振りした結果、通常兵器は貧弱とおもわれ、その結果、防御には良いが、攻撃には脆弱な兵器体系だとおもわれる。通常兵器の戦闘なら、韓国軍に簡単に撃退されるであろう。そうなれば金王朝が存続の危機である。戦争自体には今のところ決して負けていないプーチンですら、ワグネル反乱以降、なにやら地位が揺らぎかけているようにみえる。

ロシアや中共やイラン等から通常兵器の援助を受けたり、兵士を派遣されたりという可能性もあるが、そういうこと自体が、うまく運ばなければ、金王朝支配に反抗する勢力を育てる結果になりかねない。

北が金王朝の安泰・存続を第一に考える限りは、軍事的脅威は(可能性に備える必要はあるが)あまりないのではないかとおもう。(北の政権に異変があればその限りではない)。

一方、韓国国内的にユン大統領が、対北融和派、あるいはもっと直接的にいえば北の工作員とも目される勢力に厳しく対峙しているのは事実である。また韓国世論形成の一部に「北の脅威」は利用されている。しかし、ユン大統領や韓国世論などいつどうかわるかもわからない。今回韓国は日本から通貨スワップなど取るものはとったので、あとは韓国人のいつものやりかたで、数年後はまったくちがった姿であっても、わたしはおどろかない(おどろく日本人もあんまりいないとおもう)。つまり、韓国にとって「北朝鮮の脅威」は本質的なものではない。ただ、米国陣営につけば、中共につくよりも儲かるとなれば、韓国・韓国人はついてくるだろう。これは韓国がどういう政権になってもかわらない。

日本は今回米国の意向下で韓国にほとんど無条件で譲り、その結果北朝鮮とのかなりの交渉の自由を米国から得ているとおもわれる。北の核兵器体系に直接結びつくようなカネの出し方さえしなければ米国は黙認するのではないか。そして、北は中露等で人民を奴隷労働させてカネを稼ぐ手段は封じられ(この点は、前回書いたときは失念していた。国連制裁で禁じられているのである)、サイバー犯罪にも被害側からの対応が今後はすすむと考えられ、とにかく金正恩がぜいたくするカネがない未来はもうすぐだ。

わたしは岸田の交渉下で拉致被害者が(1,2名であろうが)返される可能性は現実的にあるのではないかとおもっている。

北は人さらいをするような犯罪国家である。しかし、いったん人さらいされたら、膨大な手間とカネと時間をかけてようやく取り戻せるかどうかというのが現実である。特定の政権というわけではないが、日本の政権さらには日本人は大まかには拉致問題に対してよくやっているというのがわたしの今の評価である。

ところが、戦争にうったえる露を支持しつつ、日本の拉致対応を批判するヒトビトというのも、いるのだなあと思ってみている。

No.11 15ヶ月前

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