ロシアによる特別軍事作戦の前、2022年2月8日、バイデンはABCに対して、次のように答えている。 https://twitter.com/ABC/status/1490792461979078662 バイデン大統領:「もしロシアが侵攻してきたら...ノルドストリーム2はなくなる。我々はそれに終止符を打つだろう」 記者:「しかし、...プロジェクトがドイツのコントロール下にある以上、具体的にどのようにするのですか?」 バイデン:「約束します。」 ロシアが侵攻するかどうかに関係なく、ノルドストリームパイプラインが稼働するのを防ぐ方法に政権が取り組んでいるかどうか尋ねられたとき、米当局者は、プロジェクト全体に対する米国の反対を強調していたという。 その流れから考えて、「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、土曜日にロシア24テレビで、昨年9月のノルド・ストリーム・ガス・パイプラインの破壊工作の背後には、米国の諜報機関が関与している可能性が最も高いと語り、ベテランのアメリカ人ジャーナリスト、シーモア・ハーシュの結論に同意すると付け加えた。」(RT、2023.3.25)という見解は自然だろう。 https://www.rt.com/russia/573596-putin-country-nord-stream-blasts/ 一方、最近ショルツがバイデンに会った4日後、ニューヨークタイムズは、ノルドストリームに関する記事を掲載し、ポーランドで借りたヨットを使った5人の男女からなる「親ウクライナ派」が爆破を行った、と報じた。 「親ウクライナ派」という どこか曖昧な犯人像を持ち出して、【米国の諜報機関】の関与をボカしているような意図を感じざるを得ない 気になるのは、被害者ドイツの受け止め方だが、ドイツもNYTのラインに乗っかった報道ぶりの印象。 「ベルリン - 連邦議会は金曜日、ノルド・ストリーム爆発事故の背景となりうる事柄について討論を行った。AfDは、米国のジャーナリストSeymour Hershが、何の証拠もなく、匿名の情報源を引用して、昨年9月にバルト海で起きたガスパイプラインの爆発は米国海軍のダイバーの仕業であるとブログに書いたことから、話題の討論を呼びかけていたのです。ロシア指導部もこの報告を鵜呑みにしていた。ホワイトハウスは、虚偽であり捏造であると否定した。」(Münchner Merkur 2023.2.10) https://www.merkur.de/politik/bundestag-debattiert-ueber-nord-stream-explosionen-zr-92081036.html 連邦検察庁が現在捜査中ということだが、議会はどうかというと、同記事によると「連邦議会の討論で、AfDと左翼党は連邦政府からの説明を要求した。「連邦政府の永遠の沈黙が、かえって噂や陰謀論の温床になっている」とAfDの共同派閥リーダー、ティノ・クロパラ氏は述べた。左翼党のSevim Dagdelen氏も同様の批判を行い、AfDから拍手を浴びました。 他の当事者は、現在捜査中の連邦検察庁の能力について言及した。これらの捜査は待つしかないだろう。捜査が望ましいと同時に、「現時点では犯人について明確な所見がないことも明らかだ」とFDPの政治家コンスタンチン・クーレは述べた。したがって、怪しげな情報源に基づくいかなる憶測も禁じ手である。"あなたはここドイツでモスクワのエージェントとしてますます過激になっている "と、AfDに呼びかけた。」 議会は、全体としてどちらかと言うと及び腰のようだが、「ハンデルスブラット紙は先週木曜日の報道で、ノルドストリームに関する調査は、ドイツ政治における極左と極右の手の内に政治的に入り込む可能性があると指摘している。」(Indian Punchline 2023.3.14) もともと「左翼党のクラウス・エルンストは、ドイツのガス危機を踏まえ、ロシアに対するエネルギー制裁をやめ、ノルド・ストリーム2の運営について新たに協議することを求めてい」たとのことだ。 https://www.welt.de/politik/deutschland/article239763233/Russland-Politik-Linke-streiten-ueber-Betrieb-von-Nord-Stream-2.html ノルドストリームやロシアへの経済制裁で意見が割れていたところに、ノルドストリームへの爆破テロとなったわけだし、右派とか左派を問わず、野党として、また議会として真相究明を図るのは当然だ。 加えて「ドイツは、他のEU諸国とともに、昨年、EUがロシアのエネルギー供給への依存度を徐々に減らしていく中で、経済的困難に直面した。EUはロシアのパイプライン・ガスの輸入を禁止しなかったが、ウクライナ関連の制裁やノルド・ストリーム・ガスパイプラインの破壊行為により、流量は大幅に減少した。3月初め、Ifo経済研究所は、ドイツが2023年に景気後退に直面する可能性があると警告した。」ことを背景にして、月曜日には、ここ数十年で最大の全国的なストライキが行われるという。 https://www.rt.com/news/573634-germany-biggest-strike-decades/ ドイツの草の根の動きが、無益な反露政策の転換の契機となることも期待している。
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ロシアによる特別軍事作戦の前、2022年2月8日、バイデンはABCに対して、次のように答えている。
https://twitter.com/ABC/status/1490792461979078662
バイデン大統領:「もしロシアが侵攻してきたら...ノルドストリーム2はなくなる。我々はそれに終止符を打つだろう」
記者:「しかし、...プロジェクトがドイツのコントロール下にある以上、具体的にどのようにするのですか?」
バイデン:「約束します。」
ロシアが侵攻するかどうかに関係なく、ノルドストリームパイプラインが稼働するのを防ぐ方法に政権が取り組んでいるかどうか尋ねられたとき、米当局者は、プロジェクト全体に対する米国の反対を強調していたという。
その流れから考えて、「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、土曜日にロシア24テレビで、昨年9月のノルド・ストリーム・ガス・パイプラインの破壊工作の背後には、米国の諜報機関が関与している可能性が最も高いと語り、ベテランのアメリカ人ジャーナリスト、シーモア・ハーシュの結論に同意すると付け加えた。」(RT、2023.3.25)という見解は自然だろう。
https://www.rt.com/russia/573596-putin-country-nord-stream-blasts/
一方、最近ショルツがバイデンに会った4日後、ニューヨークタイムズは、ノルドストリームに関する記事を掲載し、ポーランドで借りたヨットを使った5人の男女からなる「親ウクライナ派」が爆破を行った、と報じた。
「親ウクライナ派」という
どこか曖昧な犯人像を持ち出して、【米国の諜報機関】の関与をボカしているような意図を感じざるを得ない
気になるのは、被害者ドイツの受け止め方だが、ドイツもNYTのラインに乗っかった報道ぶりの印象。
「ベルリン - 連邦議会は金曜日、ノルド・ストリーム爆発事故の背景となりうる事柄について討論を行った。AfDは、米国のジャーナリストSeymour Hershが、何の証拠もなく、匿名の情報源を引用して、昨年9月にバルト海で起きたガスパイプラインの爆発は米国海軍のダイバーの仕業であるとブログに書いたことから、話題の討論を呼びかけていたのです。ロシア指導部もこの報告を鵜呑みにしていた。ホワイトハウスは、虚偽であり捏造であると否定した。」(Münchner Merkur 2023.2.10)
https://www.merkur.de/politik/bundestag-debattiert-ueber-nord-stream-explosionen-zr-92081036.html
連邦検察庁が現在捜査中ということだが、議会はどうかというと、同記事によると「連邦議会の討論で、AfDと左翼党は連邦政府からの説明を要求した。「連邦政府の永遠の沈黙が、かえって噂や陰謀論の温床になっている」とAfDの共同派閥リーダー、ティノ・クロパラ氏は述べた。左翼党のSevim Dagdelen氏も同様の批判を行い、AfDから拍手を浴びました。
他の当事者は、現在捜査中の連邦検察庁の能力について言及した。これらの捜査は待つしかないだろう。捜査が望ましいと同時に、「現時点では犯人について明確な所見がないことも明らかだ」とFDPの政治家コンスタンチン・クーレは述べた。したがって、怪しげな情報源に基づくいかなる憶測も禁じ手である。"あなたはここドイツでモスクワのエージェントとしてますます過激になっている "と、AfDに呼びかけた。」
議会は、全体としてどちらかと言うと及び腰のようだが、「ハンデルスブラット紙は先週木曜日の報道で、ノルドストリームに関する調査は、ドイツ政治における極左と極右の手の内に政治的に入り込む可能性があると指摘している。」(Indian Punchline 2023.3.14)
もともと「左翼党のクラウス・エルンストは、ドイツのガス危機を踏まえ、ロシアに対するエネルギー制裁をやめ、ノルド・ストリーム2の運営について新たに協議することを求めてい」たとのことだ。
https://www.welt.de/politik/deutschland/article239763233/Russland-Politik-Linke-streiten-ueber-Betrieb-von-Nord-Stream-2.html
ノルドストリームやロシアへの経済制裁で意見が割れていたところに、ノルドストリームへの爆破テロとなったわけだし、右派とか左派を問わず、野党として、また議会として真相究明を図るのは当然だ。
加えて「ドイツは、他のEU諸国とともに、昨年、EUがロシアのエネルギー供給への依存度を徐々に減らしていく中で、経済的困難に直面した。EUはロシアのパイプライン・ガスの輸入を禁止しなかったが、ウクライナ関連の制裁やノルド・ストリーム・ガスパイプラインの破壊行為により、流量は大幅に減少した。3月初め、Ifo経済研究所は、ドイツが2023年に景気後退に直面する可能性があると警告した。」ことを背景にして、月曜日には、ここ数十年で最大の全国的なストライキが行われるという。
https://www.rt.com/news/573634-germany-biggest-strike-decades/
ドイツの草の根の動きが、無益な反露政策の転換の契機となることも期待している。