ただし のコメント

 木蘭師範が、先ほど上げられたブログを読み、自分に思い当たる部分が多かったので、連投させて頂きます。

「戦争論」を読んで衝撃を受けた後、自分はネトウヨっぽくなりました。今から十五年ほど前の話です。
 日本は、かつて凄かったんだと周りに吹聴しまくりました。時・処・位を抜きにして、どんな場所でも、そのような話題に持っていくことが多くなり、時には議論になり、時には煙たがられ、時には感嘆され、ただ話題の中心に居る自分、周りの人たちの知らない知識を得た自分に酔いしれていました。
 今思えば、完全に内容を読みとれて居ませんでした。
「戦争論」「わしズム」などを当時は周りに勧めまくっていました。

 そんな中、私が貸した小林先生の作品を全て読破し、必ず面白かったと言ってくれる人間が一人だけ居ました。両親が共産党支持者で、その影響をバリバリに受けている同級生の友人でした。
 彼は、誰に対しても分け隔てなく接する人間で、非常に評判が良く、また頭もとても良くて、中学生時代は生徒会長でした。
 社会人になってから、地元に残った者同士で遊ぶようになり、親密になりました。凄くいいヤツだなあと感じていて、常に頼りにもしていました。
 ただ頑固な面があり、また価値相対主義者でした。
 私が物事を「良い悪い」と断定する所を彼は嫌い、「好き嫌い」で判断すればいいじゃないかとよく言われていました。

 そんな彼に、ネトウヨっぽくなっていた私は、ある時、聞かれました。私が、飲み会の席で、男女の能力の違いについて悦に入って語っていた時のことです。
「男と女、どっちが偉いと思ってる?」
と唐突に聞かれました。
「女の方が偉いに決まってるじゃん。」
と私。
「何故?」
と彼。
「だって子供を産んでくれるから。」
と私。
「なるほどね。」
と納得してくれた彼は、その後も私に話を続けさせてくれました。
 ただ、今、思い返せば、この時の自分は本当に「女の方が偉い」などと思っていたのか、非常に怪しいです。それまで話していた内容と、「子供を産んでくれるから」という言葉にギャップがあったのではないか。ネトウヨと同じく、情報として語っただけの気がしてなりません。

 また、それから数年後の話なのですが、会社の同僚と忘年会を開きました。自分は、人を集めて飲み会を企画するのが、とても好きでした。
 その時は、三十代〜五十代位までの男ばかりを10人ほど集め、コンパニオンの女性を3人呼びました。参加した殆どが独身でした。
 そこでも自分は、男女の話を得々と語り倒していました。
 独身野郎共に男女間の真実を教えてやるくらいの勢いで、自分も結婚出来ない身分でありながら、思い上がって語りまくっていました。

 そのほとんど全てが、小林先生の作品から得た情報の断片です。
 幹事と言うことで、多少持ち上げられもし、有頂天になっていました。
 その時、自分は
「女性は男性を手のひらの上で転がしてくれればいいんですよ」
とか
「それで持ち上げられた男は、自信を持って外で戦いお金を稼いで来るから」
とか
「男は外で働いて、女性は専業主婦というのが理想」
とか、知ったように語った事を、よく覚えております。

 2時間の内、宴もたけなわになった終わり間近の頃、コンパニオンのリーダーの女性が突如、真剣に猛烈に激怒したんです。
「もう我慢ならないから言わせてもらう! 私は色々な席に呼ばれて来たけど、これほど腹が立った席は初めてだ!」
 私は目が点になりました。
 場は凍り付きました。
 すぐさま側に行き、謝りました。他の女性コンパニオンの方も、フォローに来てくれました。
 場は収まり、精算して、無事、退席して頂いたのですが、場はシーンと静まり返っています。
 コンパニオンの女性が帰ると飲み会の場が白ける、これは定番のあるあるだと思いますが、この時の白け方は違いました。
 結局、皆にも謝り、解散となりました。
 この事件の原因も、自分の言動にあります。場全体の空気が、男尊女卑になっていたのだと思います。
 木蘭師範のブログを読み、確信致しました。
「女性は男性を手のひらの上で転がせばいい」と言うのは、まさに男性上位前提の、おためごかしと感じられたのだと思います。
「ナメてんじゃねえ!」と思われたのだと思います。

 このような感覚が、自分から抜け切れていなかったことに、今回、まざまざと気付かされました。
 恥ずかしさと共に、非常に勉強になります。

No.306 25ヶ月前

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