paris_at_night のコメント

以前、菊地さんが「自分のことをスノッブだと言う人がたくさんいるが総じてめくらだ(総意)」と書いていたことを思い出しました。そして同時に思い出すのは夜電波で『はじまりのうた』を紹介されていたことです。これは見にいかなければと直感し、数年ぶりに映画館にいきました。

その後、『はじまりのうた』はDVDも買いました。脱線しますが、僕はとある高校の軽音部のOB会の会長をしており、音楽をなんとか趣味で細く続けている人間なのですが、後輩もそんなやつらばかりです。そして可愛がっている後輩が失恋や失業で落ち込み、気晴らしにと僕と会ったときに『はじまりのうた』のDVDを貸す、ということを2度しています。そして菊地さんが夜電波で言っていたように「音楽に救われた人が作った映画」によって、その体験を思い出し、音楽への信仰を再認識して少しスッキリした顔を見せてくれています。この場で改めて、菊地さんの愛のあるレコメンドに感謝をお伝えしたいと思いました。ありがとうございます。ベルヴィル・ランデブーも必ず観ると誓います。

完全に蛇足なのですが、僕はアニメーション映画ではポール・グリモー監督の『王と鳥』という作品が好きです。音楽はジェイコブ・コスマ、脚本はジャック・プレヴェールで、つまり『天井桟敷の人々』のコンビが関わっている映画ですが、1950年に公開された『やぶにらみの暴君』という映画をポール・グリモーが1980年にリメイク・・・というよりリミックスを施して公開された映画で、明らかに学生運動を中心とした60年代末期の運動への反省を経由して作り直されており、それは特にエンディングの展開と長調が多かった音楽が短調に差し替えられている点に顕著であり、美点です。手塚治虫ならびにジブリの元ネタである本作を見たら、菊地さんはどう感じるのだろうと興味が湧いて、蛇足を書いてしまいました。ジャック・プレヴェールは菊地さんが苦手だと仰っていた谷川俊太郎に自分にとっての英雄と言わしめた詩人ですから、苦手だと思います(笑)

ちなみに『歌舞伎町のミッドナイトフットボール』の「菊地成孔の選ぶ100冊」の中で取り上げられていたロス・マクドナルドの『さむけ』の訳者である小笠原豊樹氏(何とロシア文学の研究者で、マヤコフスキーの詩集を訳している人、と菊地さんが書いてらっしゃいます)がプレヴェールの最優の翻訳家であり、氏が訳したプレヴェール詩集が4年ほど前に岩波文庫のラインナップに加えられています。(本当に蛇足になりました。すいません。ものごとが繋がり始めると書きたくなると言うのは抗いがたい人間の本能ですね)

No.10 36ヶ月前

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