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 ある古い本を読んでいて、強く心に残る文章があったので、場違いかもしれませんが、紹介させていただきます。

「(政治家たちは自らの)立案について、どこまでよく考えているのか、疑わしい場合が少なくない。またかれらの演説には、善美なことがいろいろ言われているけれども、それをどこまで真面目に考えているかは、やはり疑わしい…。」

「ソクラテスの問答法は、それらの点を暴露し、われわれの社会が、無知無反省の指導者たちによって、いろいろな危険の間を、引き廻されているのだということを明らかにするものであった。」

「しかし無知と無反省は、これら政治家だけに限られるのではない。むしろもっと精神的な仕事をしていると考えられる人々において、かえってそれが大きいかも知れない。今日のジャーナリズムは、各方面のそういう人たちを、大きな機構のうちに養っている。」

「…ソクラテスの遍歴も、これらの人々に向かわねばならなかった。そしてかれがここに見たものも、やはり、自分でよく考えもしなければ、また真面目に考えてみようともしない人たちであった。彼らには、自分の言っていることが、自分に分からないという、奇妙な無智が見られた。」

(田中美知太郎『ソクラテス』岩波新書、1957年、129-130頁)

 最後に毒盃を仰ぐことになろうとも「王様は裸だ」と言い続けることのできる人が、いま、切に必要とされているように思います。
 うさぎ


蛇足:田中美知太郎という人は、次のような言葉を残したらしいです。
「平和というものは、われわれが平和の歌を歌っていればそれで守られるというものではない。いわゆる平和憲法だけで平和が保証されるなら、ついでに台風の襲来も憲法で禁止しておいた方がよかったかも知れない。」

No.399 59ヶ月前
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