先週の生放送、そして今週の配信、ありがとうございました。 戦後日本の様々な問題点が絡み合っていると思うのですが、どうも医療業界が歪なものになっているのではないかという疑念が湧き出てきたので、近藤誠著『健康診断は受けてはいけない』(文春新書)という本を読んでみました。 大ビンゴでした。 タイトルがややイロモノ的ですが、きちんとしたデータに則った科学的知見から「健診および検診の問題点」を厳しく追及した内容になっています。 著者は生放送で登壇された萬田緑平氏と『世界一ラクな「がん治療」』という対談本も出されていて、死生観や終末医療について極めて真っ当な考え方をお持ちの方とお見受けします(本書の語り口がややシニカルでオーバーな表現に傾くことがあるのが玉に瑕のような気はしますが)。 驚いたのは、本書で述べられている健康診断やがん検診にまつわる現状が、PCR検査のそれと酷似していることです。 ・「健診・検診」が死亡数を下げるというデータは存在しない。 ・「がんの急増」は健康な人にがん検診を行い、そのままでも問題ない病変を「がん」と認定していった結果。 ・がん手術で臓器を摘出した結果、呼吸器不全などでなくなったケースでも、厚労省では「がんによる死亡」として統計に加えられる。 ・「健診・検診」推進派の専門家が、データがもつ意味を意図的に歪曲して「健診・検診」の必要性を訴える。 ・多くの医師は医学論文の冒頭に置かれている要約(サマリー)までしか読まない(ネットに流通する情報もサマリーに基づく)。しかし、論文著者がが意図的に重要なデータ(「健診・検診」推進の反証など)をサマリーに記述しない。 ・「健診・検診」は「日本医師会」「日本高血圧学会」「日本動脈硬化学会」「国立がん研究センター」といった組織や団体が推進しており、彼らと厚労省との結びつきが強いらしい。 ・著者の近藤誠氏が「健診・検診」推進派の専門家に討論を申し込んでも断られる。しかし、彼らは別の「場」で近藤氏の主張を批判する。 要するに、「健診・検診」で「患者」を少しでも増やしたい、という思惑が見て取れます。 少子化で患者(お客さん?)の数が先細りとなる医療業界(開業医のみならず、製薬会社や医療機器メーカー含む)の生き残り戦略ではないか、彼らと癒着するかたちでサポートしているのが厚労省だろう、と近藤氏は推察しています。 だとすれば、厚労省、薬害エイズの頃から何一つ体質が変わってない。 「国民の健康と命」よりも「医は算術」の方を重視している。 また、マスコミは製薬会社が大手スポンサーとしてついているため、「健診・検診」推進に反する番組作りは非常に難しいのだそうです。 こうした構造が、コロナ禍においても成立しつつあるのではないかと思い、書かせていただきました。 即ち、「患者」を増やすためにPCR検査を拡大している、それを主導しているのが厚労省や「日本医師会」なのではないか、ということ。 もちろん、その政策が一部医療機関の経営危機を招いているという事実が存在しているので、はっきりしたことは言えません。 しかし、マスコミが先鞭を付けた「コロナ恐怖煽動」について、当初は彼らは目立った動きを見せていませんでしたが、夏頃からがっつりと「乗っかってきた」ように感じられるので、その辺りで彼らが何らかのビジネスチャンスを見出した可能性を検討してみる余地はあると思います。 こうした観点に立つと、医療業界が「第一権力」として存在感を増してきたのではないか、と思えてきます。 直接的な影響力を発揮するのはマスコミですが、医療業界はそれをスポークスマンとして利用しているのではなかろうか、と。 前掲書や森田洋之氏の『日本の医療の不都合な真実』で業界の実態を知ってしまうと、当たらずといえども遠からずではないかと思えます。 私たちが戦う相手は「全体主義」ですが、それを作りだしている大元は医療業界なのでしょう。 彼らが本格参戦することで、マスコミは「これぐらいにしといたろか」と自分で引くことができなくなったのでは!? 何しろ広告収入が減少しているわけだし――というのは、あくまで私の想像です。 ただ、医療業界が想像以上に腐敗しており、「人治主義」や「権威主義」に端を発する非科学的な言説にまみれた世界だということを知る上では、前掲書はオススメの本です。 著者は恐らく業界のはぐれ者であり、テレビに出演されたこともほとんどないだろう、という意味において、数少ない信用できる専門家ではないか(笑)、と思われます。
チャンネルに入会
フォロー
小林よしのりチャンネル
(ID:2345820)
先週の生放送、そして今週の配信、ありがとうございました。
戦後日本の様々な問題点が絡み合っていると思うのですが、どうも医療業界が歪なものになっているのではないかという疑念が湧き出てきたので、近藤誠著『健康診断は受けてはいけない』(文春新書)という本を読んでみました。
大ビンゴでした。
タイトルがややイロモノ的ですが、きちんとしたデータに則った科学的知見から「健診および検診の問題点」を厳しく追及した内容になっています。
著者は生放送で登壇された萬田緑平氏と『世界一ラクな「がん治療」』という対談本も出されていて、死生観や終末医療について極めて真っ当な考え方をお持ちの方とお見受けします(本書の語り口がややシニカルでオーバーな表現に傾くことがあるのが玉に瑕のような気はしますが)。
驚いたのは、本書で述べられている健康診断やがん検診にまつわる現状が、PCR検査のそれと酷似していることです。
・「健診・検診」が死亡数を下げるというデータは存在しない。
・「がんの急増」は健康な人にがん検診を行い、そのままでも問題ない病変を「がん」と認定していった結果。
・がん手術で臓器を摘出した結果、呼吸器不全などでなくなったケースでも、厚労省では「がんによる死亡」として統計に加えられる。
・「健診・検診」推進派の専門家が、データがもつ意味を意図的に歪曲して「健診・検診」の必要性を訴える。
・多くの医師は医学論文の冒頭に置かれている要約(サマリー)までしか読まない(ネットに流通する情報もサマリーに基づく)。しかし、論文著者がが意図的に重要なデータ(「健診・検診」推進の反証など)をサマリーに記述しない。
・「健診・検診」は「日本医師会」「日本高血圧学会」「日本動脈硬化学会」「国立がん研究センター」といった組織や団体が推進しており、彼らと厚労省との結びつきが強いらしい。
・著者の近藤誠氏が「健診・検診」推進派の専門家に討論を申し込んでも断られる。しかし、彼らは別の「場」で近藤氏の主張を批判する。
要するに、「健診・検診」で「患者」を少しでも増やしたい、という思惑が見て取れます。
少子化で患者(お客さん?)の数が先細りとなる医療業界(開業医のみならず、製薬会社や医療機器メーカー含む)の生き残り戦略ではないか、彼らと癒着するかたちでサポートしているのが厚労省だろう、と近藤氏は推察しています。
だとすれば、厚労省、薬害エイズの頃から何一つ体質が変わってない。
「国民の健康と命」よりも「医は算術」の方を重視している。
また、マスコミは製薬会社が大手スポンサーとしてついているため、「健診・検診」推進に反する番組作りは非常に難しいのだそうです。
こうした構造が、コロナ禍においても成立しつつあるのではないかと思い、書かせていただきました。
即ち、「患者」を増やすためにPCR検査を拡大している、それを主導しているのが厚労省や「日本医師会」なのではないか、ということ。
もちろん、その政策が一部医療機関の経営危機を招いているという事実が存在しているので、はっきりしたことは言えません。
しかし、マスコミが先鞭を付けた「コロナ恐怖煽動」について、当初は彼らは目立った動きを見せていませんでしたが、夏頃からがっつりと「乗っかってきた」ように感じられるので、その辺りで彼らが何らかのビジネスチャンスを見出した可能性を検討してみる余地はあると思います。
こうした観点に立つと、医療業界が「第一権力」として存在感を増してきたのではないか、と思えてきます。
直接的な影響力を発揮するのはマスコミですが、医療業界はそれをスポークスマンとして利用しているのではなかろうか、と。
前掲書や森田洋之氏の『日本の医療の不都合な真実』で業界の実態を知ってしまうと、当たらずといえども遠からずではないかと思えます。
私たちが戦う相手は「全体主義」ですが、それを作りだしている大元は医療業界なのでしょう。
彼らが本格参戦することで、マスコミは「これぐらいにしといたろか」と自分で引くことができなくなったのでは!? 何しろ広告収入が減少しているわけだし――というのは、あくまで私の想像です。
ただ、医療業界が想像以上に腐敗しており、「人治主義」や「権威主義」に端を発する非科学的な言説にまみれた世界だということを知る上では、前掲書はオススメの本です。
著者は恐らく業界のはぐれ者であり、テレビに出演されたこともほとんどないだろう、という意味において、数少ない信用できる専門家ではないか(笑)、と思われます。