虎山 のコメント

>>18
 僕の大昔の話になるのですが、20歳くらいの頃に対位法を習得しようと思ったことがあります。高校生のころにはギターを弾いていて、ジャズのバークリー式のコードの読みかたと音については習得していたので対位法も身に着けたら最強だろう!と思ってやってみたのですが、そのパズル性に投げ出してしまいました……たんに頭のみそと我慢が足りなかっただけ、なんですが(笑)。ブルースはその微分音の動きとブルーノートが、厳格なパズル性を持つ対位法とバッティングするのだろうと理解しています。と共に、その両方を両親に持つジャズのベースがウォーキングすることに、菊地さんの仰られたことの説得力を感じています。

 じつは僕は偶然にもここ2,3日ほど「いまビートルズを聴いているんだよね」という時期に来ておりまして、ラバーソウルも聴いていました。このアルバムでは『ミッシェル』が好き、というよくある話なのですが、いただいたお返事を拝読してから聴き直し、こういう曲だからこそ、マッカートニーが古典的な対位法のセンスを実勢していたことが良くわかりました。色々な演奏家への見方が変わる毎日で楽しいです!

 坂本さんの曲をきちんと分析できる、という能力はいまだに僕にはないのですが、何年か前に身内でやるゲームのBGMに使うのに『エナジーフロー』のコード進行を応用して、DTMでピアノ曲を作るということをしたことがあります。『エナジーフロー』はピアノ独奏曲であり、クリシェも使用されているという点があっても、そのコード進行の連なりが滑らかで滑らかでぶったまげたことがあります(と共に、ピアノ一台でオーケストラの曲を作る、オーケストラの曲をピアノ独奏曲に変換する、という力も(この曲は初めから独奏曲なのに)感じまくりました)(話がすこしそれますが、モードジャズに関しては、たしか『花と水』のときだと記憶しておるのですが、菊地さんが南さんに「コードを置くように演奏してほしい」というオーダーを出した、ということを書かれていて、あの一文で僕はモードジャズへの理解を感覚的に深めました。『花と水』、そして『カインド・オブ・ブルー』はもちろん、モードではないにせよ、エヴァンスとベイカーがやった『アローントゥギャザー』を改めて聴いて、連ねるのではなくて、コードを置くってこういうことかぁ!とすごく身にしたんです。コードは連ねるだけが利用法ではないのだ、というか)

 いただいたお返事の、坂本さんやODさんのお話、そしてYMOにおける細野さんの存在の大きさ(逆説的に、坂本さんの大きさ)、音楽の実践においてどのような形にせよその人のセンスと勉学が各々の身体性の違いのごとく実在する、お話を拝読して、菊地さんがバンドを作るさいに、クラシック側の人とジャズ側の人の両人を集められる意味がより理解できました(間違っていたら独りよがりで申し訳ないのですが……)。

 菊地さんの音楽のお話に、ものすごく脳を刺激されます。ありがとうございます。
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No.20 55ヶ月前

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