ゴー宣の香山リカへの批判とその反応が興味深いです。

実は僕、香山リカが自分の髪型にイチャモンをつけるのがなぜか、当初全然分かりませんでした。だって、そこは議論と関係ない話。別に香山リカを正確に描かなくても、彼女だとわかればそれでいいじゃないか…。

しかし、こう考えるとその理由が少しわかるような気がします。

「小林よしのりは鏡だ」と。

小林よしのりは人の本性、その深部まで鋭く見破り、それをそのまま漫画に表現します。それは、「白雪姫」の魔法の鏡が持ち主であるお妃にすら容赦なく「白雪姫が一番美しい」と言っちゃうように、そこには一切の繕いはなく、剥き出しの真実を突きつけてくるのです。

そして、小林よしのりという鏡から見る香山リカは偽善者、差別者として描かれており、自らを差別と闘う正義の人と思い込む本人にとっては受け入れがたいものだったでしょう。だからこそ、それは何としても否定したい。しかし理屈では勝てない。

ならば、香山リカのとる方法は小林よしのりという鏡の精度を否定すること、有り体に言えば、その鏡は歪んでいる、曇っているから真実を全く写し出せていないと指摘することです。

だから、些末にも思える「髪型の違い」をあげつらってみせた！
「ほら、髪型が違っているでしょ？だから、これ（ゴー宣に描かれている香山リカ）は私じゃないの！全部、間違っているの！」とでも言いたいのでしょう。

そして、彼女はネットの世界に「本当の自分」を見いだすわけです。それは、プリクラが自分の顔を盛って、盛って、原形がわからないほどの「美しい自分」を作り上げるように、自分をフォローしてくれる人の浮わついた称賛の声で自分を盛って、全く原型をとどめていない「正義の人」になって、悦に入ることでしょう。

しかs、小林よしのりという鏡は彼の味方であっても容赦なくその実像を暴き出すことがあります。僕だって、明日は自分がどう見られるか分かったものではありません。
そのことを肝に銘じつつ、自分の器の小ささを見透かされないよう取り繕いたいと思います…って、違うか（笑）