lkfaeani のコメント

昨日のブログ「『新堕落論』1か月後、発売!」を拝見いたしました。
いつものゴーマニストキャラを離れ、です・ます調で書かれているところに、商業の枠を超えて人間・小林よしのりの集大成として描かれた作品であるとのご意思を感じました。(たしか、これまでです・ます調で告知されたことは無かったかと思います。)

長きに渡り社会の欺瞞と闘い続けられてきた先生の集大成に立ち会うというのは、万感胸に迫るものがあります。
もちろん今後とも末長く幅広いご活躍を願うところでありますが、今はこの作品に込められている先生の思いを受け止めることに意識を向けながら、発売の日を待ちたいと思います。


予習になるかと思い、坂口安吾の「堕落論」を読みました。

人間は元々堕落するものである。
道徳は忘れやすく、生きる意味もわからぬのに生に執着する。
醜い本性をごまかすように天皇制や武士道、貞操観念といった規範を発明するが、それが根本的に人々を救うことは無い。
自分が救われるためには、むしろ堕落した自分を自覚し、出発点とすべきである。

私は安吾のこの考えに共感します。
他者に神聖性を求めても気休めにしかならない。
自身の神聖性を信じても、現実に容赦なくその幻想を打ち砕かれる。
自身の堕落性を受け入れた方が、気長に謙虚に堅実に、その克服に向けて歩んでいけると思います。
また、自分がそのような堕落性を曝しながらも生かしてもらっていると思えば、他者にも寛容になれるでしょう。


これまでの作品やご発言から、先生も安吾と同じ方向性を持たれていると拝察します。
しかし時代背景が異なるために、『新堕落論』では「堕落論」とは異なる論が展開されると予想しております。
「堕落論」は、戦時「美しかった」人々の堕落ぶりを嘆く風潮に対する反論であったことが窺えます。
現代は、ひたすら利己主義を肥大化させていながら、それに対する警鐘がほとんど鳴らされていないというありさまです。
先生がこれに対しどのように描かれているのかが楽しみです。

No.122 84ヶ月前

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