中條Dです。

 今回はだいぶシビアな話を。シビアというか、エンタメ論なんですが。

 先日、面白い話を聞きました。曰く、西洋ヨーロッパにおけるコメディアンは宮廷道化師にルーツを持つため、権威におもねらず批判を放つのに対して、日本のコメディアンは太鼓持ちをルーツに持つので、権威におもねった事ばかりやる、という話です。これはまぁ確かにそうだなぁと思って苦笑いしてたんですが、宮廷道化師というのはシェイクスピアに出てくる「リア王」のあれです。かくいう僕も「リア王」なんて1文字も読んでいないんですけど、この話ではリアという王様とそれに仕える道化師が出てきます。リア王は王様なので恐れ多くてだーれも意見できない状態に居ます。だけどこの道化師だけは王様に皮肉を放つことで意見をぶつける事が唯一許されているという存在なのです。

 そんなわけでこの道化師とも愚者とも呼ばれる存在を宮廷はわざわざ雇っていました。なぜ道化師を必要としていたかというと、権威に対して批判をぶつけられる存在を残しておくことが安全弁として大事であると知っていたからです。部下はいいんですが、偉くなりすぎると誰も叱ってくれなくなるというあの現象です。「リア王」はフィクションですが、実際にあった例では「海戦に負けた」という報告を「敵国の艦隊兵は我が国のように海へ飛び込む勇気はありませんよ」と伝えたそうです。要は自国の艦隊兵は撃沈されて海へ飛び込んで逃げましたという事を湾曲して伝えているんですね、これは。ただ本当のことを言えばいいというわけではなく、そこにユーモアを混ぜているというのが味噌です。

 で、時は21世紀になりまして、海外のコメディアンは今でも政治家を筆頭とする権威の皮肉を言って笑いを取っています。だけど言われた方はそれに対してわざわざ反論したり封殺したりはしません。昔からそういうのってあるよねくらいにしか思ってないから。この手法について「本当のことを言う」のであって「本音を言う」のとは天と地ほどの違いがある─── とかそういう話もやりたいんですが、話が広がりすぎるのでここは割愛します。要は権威に対してツッコミを入れまくるというスタイルが外国では確立されているという話です。

 先日もマックスむらい部の番組の中でフリースタイルバトルをやりましたが、今あのフリースタイルバトルがブームになっているのって、日本人に欠落しがちな「相手の言動に対してツッコミを入れる」という事をユーモアを混ぜてやっているのが新鮮だからなんじゃないでしょうか(ここで触れることでもないけど、MC西下があそこまで食い下がるとは思いませんでしたw)。

 で、だ。マックスむらい部における権威って誰なんだろうと。そうです、マックスむらいですw