アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第58号(2015/1/31号/月2回発行)

2015/01/31 18:44 投稿

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 なんだか1月は風邪ばかりひいていた藤津です。ようやく本調子になってきたと思ったらもう2月……。いろいろ仕事は山積しておりますが、一つ一つ片付けていくしかないかな、と。
 そういえば朝日カルチャーセンターで行った、京田知己監督をゲストにした絵コンテ講座。50人に近い参加をいただきどうもありがとうございました。参加された方は、非常に新鮮な体験ができたんではないかと思います。京田監督からお時間もらえれば、絵コンテ講座は来年もやろうと考えています。
 というわけで、今回も行ってみましょうか。今回は読者投稿あり、新春特別寄稿第二弾アリです!

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1.最近のお仕事紹介
2.私のおすすめ「増え続けるヒロインたちの密度『Baby Princess ベイビー・プリンセス OVA 3Dぱらだいす0[ラブ]』」機長
3.新春特別寄稿「『デンキ街の本屋さん』には「普通」の素晴らしさがある」後川永
4.不定期アニメ日記
5.Q&A



最近のお仕事紹介

1.朝カル講座「アニメを読む」(東京)
 朝日カルチャーセンター新宿教室で行っている講座「アニメを読む」ですが1月以降は以下のラインナップです。
 2月21日 『かぐや姫の物語』
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/7ca93b41-cede-d19c-faa8-5450aca1d397
 3月21日 『たまこラブストーリー』
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/c501d108-c498-dc2e-bbcb-5450ace3b03e

2.そのほかの講座
 4月21日に栄・中日文化センターで、5月31日にSBS学苑で、それぞれ『新世紀エヴァンゲリオン』のお話しをします。

3.雑誌
 「ホビージャパンエクストラ 2015 winter」で細川洋平さんと一緒に『シドニアの騎士』の原稿を担当しています。


私ののおすすめ

機長さんより投稿いただきました。2D版がバンダイチャンネルで見られますので、興味を持たれた方は是非どうぞ!

「増え続けるヒロインたちの密度『Baby Princess ベイビー・プリンセス OVA 3Dぱらだいす0[ラブ]』」

文:機長

 1月からスタートをしたテレビアニメ『アイドルマスターシンデレラガールズ』と『艦隊これくしょん -艦これ-』は、100名を超えるヒロインが登場するゲームが原作。原作に登場する大勢のヒロインたちを限られた尺の中でどのように描くかは、注目される要素のひとつとしてあげられる。
 2011年に発売したOVA『Baby Princess ベイビー・プリンセス OVA 3Dぱらだいす0[ラブ]』は、2作よりも厳しいレギュレーションの中でヒロインたちの愛らしさを描き切った作品だ。本作は『電撃G's magazine』で連載された『シスタープリンセス』や『ラブライブ!』などで知られる公野櫻子が文や設定を手掛ける同名の読者参加企画が原作。
 突然現れた生き別れの母親と暮らすことになった主人公・陽太郎を待っていたのは、19人の姉妹だった。突然同棲することになった19人姉妹と主人公の絆を深めるため、母親から旅行の話が飛び出す。物語は、同棲をよく思わない六女・氷柱(つらら)、九女・麗(うらら)との和解と陽太郎のクラスメイトでもある四女・ヒカルが密かによせる恋心が縦軸で進む。
 ストーリーに関係する姉妹だけではなく、本作は19人姉妹全員の魅力を取りこぼすことなく描いている。例えば、八女・小雨(こさめ)は姉妹の中でも奥手で控えめな子だ。個性的な姉妹たちの中では目立ちにくい小雨。しかし、小学生姉妹たちのまとめ役として頼りにされている姿や冷静にみえる一方で少しドジな姿が限られた尺の中でしっかりと描かれる。
 30分に満たない尺の中で19人姉妹の日常や水着に入浴シーン、ちょっとエッチなハプニングと美少女アニメの見せ場である要素を描きながら、姉妹ひとりひとりが持つ様々な魅力が組み合わさって作品を彩る、寄木細工のような美しさが本作の魅力だ。
 また、本作はブルーレイに収録された立体視による3D版や「dアニメストア」による配信とさまざまな方法で視聴することが出来る。
大勢のヒロインを効果的に描いた確かな手腕を見逃したくない。


新春特別寄稿

 年始の特別企画第二弾です。 「2014年の印象に残ったアニメ」といった趣旨で自由に原稿を書いてもらいました。前回はライター大曲智子さんで『少年ハリウッド』。今回は、Febriなどで切れ味あるレビューを書いているライター後川永さんにお願いしました。

『デンキ街の本屋さん』には「普通」の素晴らしさがある

ライター:後川永

 2014年もあいかわらずTVアニメの放送本数は多かった。となると、オリジナルにせよ、原作ものにせよ、尖った作品が多くなるわけである。中二要素でも、エロでも、作画でもなんでもいいが、突き抜けた部分がないと、企画がその他大勢の中に埋没してしまう。
 しかし、そうしたエッジのきいたアニメは、観ると疲れる。つまらなければもちろんのこと、面白くても、だ。いくら好物であっても、唇が腫れ上がるような激辛ラーメンや、生クリーム鬼盛りのパンケーキばかりを毎日食べ続けたら、ツラい。
 とはいえ、低刺激なキッズアニメでは、ちょっと物足りない。いや、キッズアニメを大人の目線で深読みしていくのは、それはそれで楽しい行為ではあるけれども、そんなヒネたことばっかりやっているのも「なんだかなぁ」という気持ちになる。
 ほどよい感じに面白いアニメが観たい。ここ数年、そんなことをよく考えていたが、2014年は、より一層、そんな思いの強くなった年だった。幸いなことに、ズバッと期待に応えてくれた作品がいくつかあった。今回はその中から、『デンキ街の本屋さん』を取り上げさせてもらうことにする。
『デンキ街の本屋さん』は、とらのあ……じゃなかった、「COMIC うまのほね」という、日本の某電気街にある大型専門書店の店員たちが繰り広げる、明るく、楽しく、少しマニアックな青春模様を描く、群像劇スタイルのラブコメアニメ。原作は「コミックフラッパー」(KADOKAWA・メディアファクトリー)で連載中の水あさとの人気コミックだ。監督は知る人ぞ知る秀作『Saint October』の佐藤まさふみ。アニメーション制作はシンエイ動画。『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』を筆頭に、ファミリー向け作品に強い印象のあるスタジオだが、2014年は『となりの関くん』と本作で、コアなアニメファンをターゲットにしたTVシリーズを2本手がけた。
 シンプルで味のある原作の絵柄を、アニメ版でも丁寧に拾っており、キャラクターたちは表情豊かに、よく動く。しかし、やりすぎな感じはない。あくまでTVシリーズらしい範囲で、ほどよくしっかりと動く。コンテ・演出の水準でも、過度な冒険をしていない。パロディは適度に入れ込んでいるが、基本的に、笑いのツボはテンポの良さで刺激する。裸や乳揺れはあるものの、いやらしさはかけらもない。「エロス」ではなく「えっち」という塩梅だ。いずれの要素も、落ち着きすぎず、暴れてもいない。
 キャスト陣もハマり役揃いで、高いテンションのコメディ芝居を嫌味なく響かせている。全キャラクターがボケにもツッコミにも回るのだが、どちらも小気味良い。また、比較的年齢の若いキャストを揃えたからか、恋愛絡みのややシリアス寄りなシーンでは、セリフ回しのニュアンスがビビッドだ。思わず照れてしまう。
 ドラマ面で、恋愛描写にやや踏み込んだ描写が見られるところは、特色として触れておくべきだろう。多くのラブコメアニメは、「付き合う・付き合わない」という軸のまわりをグルグルと回り続けるもので、この作品もそのお約束展開を守ってはいる。だが、その傍らで「一線を越えるか・越えないか」というような局面が描かれたり、はたまた、「成就する可能性の低い恋情をどう諦めるか」という少女マンガ的な問題設定が持ち込まれたり、シチュエーションの幅を広くとっている。ジャンルの枠内で、小粋な魅力が追求されているのだ。
 ホント、こういう、「普通」で面白いアニメがもっと増えてくれると、嬉しいんだけどなあ。同意してくれるお仲間を、この場を借りて広く求める次第である。
 ……あ、そうそう。最後に書くのもなんですが、アニメの男乳首ウォッチャーのみなさんも要注目ですぞ。


不定期アニメ日記

 先日『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』と『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』をハシゴで見てきました。どちらも、シリーズのファンであればきっちり楽しめる出来栄えでした。

 

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