本日の記事は、11月8日の日本経済新聞の記事から
「欧州中銀0.25%利下げ 過去最低の年0.25%に 景気回復弱く」
という記事について。
その内容と、経済効果と、家計への影響について
記事は
現在、ユーロ圏の消費者物価上昇率は前年同月比で0.7%と低い状態にある。
そのため、デフレ対策としてECBの政策金利を現在の0.5%から0.25%に下げる。
万が一にでもデフレになれば、日本を見れば分かるとおり、抜け出すのが大変。
デフレ懸念が広がる前に手を打ちたかった。
という内容。
中央銀行が政策金利を下げるとデフレ対策になる理由は、
・銀行貸出が増加しやすくなるから
である。
銀行貸出が増加すると、市場にお金が新しく創造されるので(信用創造)
消費が増加し、デフレ圧力を減少させ、景気を良くすることができる。
何故、政策金利を下げると銀行貸出が増加するのだろうか?
まず政策金利について。
政策金利とは、銀行間でお金の貸し借りする短期市場の金利を中央銀行が
介入し、調整する金利である。
ここで取引される金利が、企業や個人への貸出金利に影響を与える。
例えば、銀行間の市場で貸し出す金利が1%だとした場合、借りる側の銀行は
企業や個人に貸し出す金利を1%以上に設定しようとする。
借りるお金の金利よりも、貸すお金の金利を高く設定しないと銀行が損をするからだ。
逆に、銀行間のお金の貸し借りの市場で金利が下がると、企業や個人への貸出金利も
下がりやすくなる。
銀行間で借りる金利が下がるのだから、一般に貸し出す金利を下げても利益がだしやすいためだ。
銀行間での日々の貸し借りは膨大な金額にのぼり、その金利が企業や個人に貸し出す
一般市場に大きな影響を与える。
その銀行間での貸し借りの金利を操作するために、中央銀行は国債の売買や資金供給などで
銀行間市場の金利に影響を与える。
これが政策金利だ。
この政策金利を欧州中央銀行は過去最低の0.25%に下げた。
それでは、デフレ対策として有効なのだろうか?
私は金利引き下げは、あまり効果がないと考える。
最初に述べたとおり、政策金利を引き下げる理由は、銀行貸出をしやすくるためだ。
しかし、デフレに陥った時の日本を見ればわかるが、日銀が政策金利をゼロにしても
銀行貸出は増加せず、逆に減少を続けた。
その理由は、銀行貸出は金利よりも銀行の経営状態に影響されるからだ。
銀行の経営状態が良くない状況では、貸し出しは増加をしにくい。
そのため、貸し出しの増加を促したいなら、金利の引き下げよりも、銀行の経営状態を
良くする政策を行った方が有効である。
現在の日銀やFRBが行っているように、中央銀行自身が大規模な資金を市場に供給
して、株や不動産などの資産価格を上昇させれば、銀行の経営は改善する。
そうすると銀行貸出は増加しやすくなる。
金利政策よりも量的政策のほうがはるかに効果がある。
市場の神の手としての中央銀行がどのような政策を行うかで経済への影響は全く変わってくる。
問題は、選挙によって民主的に選ばれる政府が、その政策に全く関与できないことだ。
特に欧州は酷い。
【この政策がもたらす家計への影響】
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