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『本 カント批判哲学による「個人の尊重」と「平和主義」の形而上学的基礎づけ』を民主の原理から図解

2019/07/24 02:25 投稿

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国際銀行軍事権力によって操作される議会制民主政治が作られてきたのは、民主主義の根本を理解するモデルが今まで作られてこなかったためである。

その謎を解明していく。

日本国憲法がよってたつ「個人の尊重(憲法13条)」と「平和主義(前文)」の原理を、18世紀のドイツの哲学者イマニエル・カント(1724~1804)の理論から解明しようという力作

『カント批判哲学による「個人の尊重」と「平和主義」の形而上学的基礎づけ』 中村博雄著 2008年 成文堂

の感想の続きです。

 

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5月の前回の記事では、カントの道徳哲学が以下の流れで日本国憲法の思想の根幹になっていることをお伝えした

 

https://ameblo.jp/amanomotoyasu/entry-12459025147.html

 

 

『P22 1946年制定当時、この憲法草案にカント哲学が直接的に影響を与えたという証拠はありません。しかし、1990年、日本の憲法学会の重鎮である佐藤幸治教授は、「人間の具体的生活の中の憲法」という論文の中で、教授独自の「人格的自律権」論とカントの人格論との関係性を示唆しました』

 

90年に佐藤幸治教授が人格論の観点から指摘するまでカント哲学と日本国憲法の関係は殆ど語られてこなかった。

カント哲学が日本国憲法の根本原理に影響を与えている根拠として、憲法は米国占領軍のフリーメイソン達によって作られたことがある。

 

メイソンの基本思想はカント哲学によっているためだ.

 

つまり、

「カント哲学」

→「フリーメイソンの哲学的基礎」

→「日本国憲法の根本原理である個人の尊厳と平和主義」

という流れになる。

 

そのため日本国憲法の根本原理を理解するためにカント哲学から読み解いていくこの本の試みは、実に真っ当なものとなっている。

 

今回はカント哲学を参考にして民主主義の普遍性を解読する。

 

 

 

『P23 もし日本国憲法の基本精神がカントによって哲学的に基礎づけられ、その哲学的根拠を説明できるとすれば、このことから民主主義そのものの普遍性を確認できると思います』

 

 

カント哲学の特徴は人類が先天的に持つ善が世界の普遍的な道徳となるということ。

そこに民主主義の普遍性を解く鍵がある.

 

 

『P34 今日、歴史の流れとして、科学技術の価値を否定することができないように、民主主義の原理(人間の尊厳・個人の尊重)の普遍性を否定することはできません。』

 

民主主義が普遍的な価値なのはその通りなのだが、何故、普遍的なのか?
それは「自由」という概念に求められるという。

 

『P240

 「自由」は「道徳法則」を認識根拠として実在している。理性は自らの自由において自らの実践を律することができる。』
『「自由」という概念を「鍵」として人間の「生得的権利」「根源的権利」「平和的生存権」の実在性の自覚とその普遍性の確認を可能にする議論の扉が開かれている』

 

ここで述べられている自由とは、道徳法則を認識根拠として実在しているという。

 

つまり、自ら人類にとって普遍妥当と思われる道徳を作りだし、それに基づいて行動する「自由」のことだ。

 

善の自己決定権の自由の事である。(悪の自由ではない)

この自由を守るために、基本的人権の様々な権利が形成されている。

この道徳的な自由を作り出す能力を「理性」と呼ぶ。

そして理性的主体としての存在を「人格」と呼ぶ。

 

 

「人格」について

『P78

「人格」とは行為の責任を負うことができる主体」であり厳密には「道徳的諸法則の下にある理性的存在の自由」と同義の「道徳的人格性」のこと』

 

 

 

この「人格」と「自由」の概念が、日本国憲法の前文には以下のように表現されている。

 

 

P30 

『カントによる日本国憲法前文の哲学的基礎づけ 

前文にある「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」とは何か。

カントによれば、それは相互に自由な「人格」によってつくられる「市民的関係」です。

「人間一般を自分の目的とせよ」という「徳の最高原理」すなわち「自己の完成」と「他者の幸福」を「自らにとって同時に義務である目的として自覚できること」です』

 

以上の事から民主主義の普遍性は、「幸福」、「人格」、「自由」、「法」、「先天性(生まれついた性質)の形式」という概念を構成することで解ける。

 

・人間は先天的に「幸福」を求める(快を求め、不快を避ける)

 

→・幸福追求権の「自由」が人間の先天的な欲求である

 

→・幸福追求権の自由だけでは、強者の幸福が弱者の幸福を侵害する。(奴隷制や封建性など)

 

→・幸福追求権の自由を規制するものとして、「理性ある主体としての人格」を最高価値に設定した

 

→・「最高価値である人格の自由」を侵害する「幸福追求の自由」は許されない

 

→・「人格の自由を侵害しない範囲内での幸福追求の自由」を認めるために作りだした権利が、

「人は自由で平等である」という自然権に基づく民主主義の権利

 

→「人は自由で平等」という言葉の実質的な意味とは、「万人の人格の自由を侵害しない範囲内で幸福追求を行う自由の権利が、万人に平等に保障される」ということである。

 

 

以上のように民主主義は、

 

1「根本価値」としての幸福の自由

 

2「最高価値」としての人格の自由

 

3人格の自由を侵害しない範囲内での幸福の自由の保障を認めるために、「人は自由で平等」という自由、平等、友愛に基づく権利を認める

 

この3段論法で形成されている。

 

それを日本国憲法の全体像に表すと以下の図になる。





民主主義が普遍性を持つ理由は、以下の図で表している人間の普遍的な精神の働きである形式に基づいているからだ。

 

・目的

・現状認識

・実行

 

文明も宗教も超えて普遍性を持つには、人間が先天的にもつ生まれついた精神の形式を満たすものである必要がある。

 

人間が普遍的にもつ社会的な欲求とは、

 

・幸福

・善

・善と幸福を調和させる権利

 

となる。

 

これを民主主義の観点からモデル化すると以下のような図になる。

 

 

 

 

 

 

以上のモデルから自由、平等、友愛、真理によって形成される民主主義が何故、普遍性を持つのかという理由が明らかになる。

 

民主主義の諸権利は、人間の精神の働きの形式(人格を侵害しない範囲での幸福追求の自由)を保障するために、人間の社会的な根本欲求と「摩擦」を起こすことがどの社会システムよりも少ないからである。

 

全体主義の社会では人格の自由も幸福追求の自由も否定される。(神や権力を批判する自由や同性愛の自由など)

 

基本的人権を保障されない中国の法が適用される事に対して、香港市民が猛烈に反対している。

それは自らの人格の自由とそれを侵害しない範囲での幸福追求の自由が、中国共産党が作り上げている法律と摩擦を起こすことを直感しているためだ。

 

民主主義の普遍性の理由は、人間の普遍的な精神の働きの形式を保障する法体系と制度を創りだしたことにあるのだ。

 

 

以上のようにカントが述べた「人間の先天的な形式に基づくものが、普遍的な道徳法則となる」という道徳哲学の理論を用いることで民主主義の普遍性の理由をモデル化することが可能になる。

 

 

 

(次回に続く)

 

民主主義の謎を解明するモデルの詳しい説明はこちら

<リンク>【議会制民主政治版 図解のまとめ】

 

(記事終了)

 

 

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■操作される日米欧の自由民主制(資本主義経済と民主政治)のモデル




・現在の自由民主制の欠陥を克服し、民主主義の完成を目指す理想の社会モデル



・上記の全体像の詳しい図解の説明はこちら

<リンク>【資本主義経済版 図解のまとめ】

<リンク>【議会制民主政治版 図解のまとめ】

 

 

■日米欧の自由民主制の隠されてきた仕組みについての詳しい解説は

こちらの本をお読みください。

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