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北京観光から中国を考察 帝国文明、天安門事件から30年、監視の強化、情報統制、経済発展と消費喚起

2019/06/08 01:55 投稿

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(世界一長大な建造物 万里の長城で記念撮影)



(世界一巨大な広場である天安門広場 天安門事件が起きた場所でもある)



先日、北京を観光してきた。


最近、体調が優れない日々が続いているのだが、逆に体が動けるうちに海外を見ておくべきだということで、大嫌いな飛行機に乗って初の北京観光を決行。


歴代中華帝国の作りだした巨大な建築物(紫禁城、天安門広場、天壇、万里の長城、頤和園、皇帝の陵墓など)を見て皇帝権力の巨大さを実感した。

巨大な中国を統治するには、強大な権力が必要であったことが建築物をみてよく分かった。

現在の中国共産党政権もその強権政治の伝統を引き継いでいるのだ。


2200年前に秦の始皇帝が中国を統一しなければ、中国は7つほどの国に分かれていたという意見がある。(司馬遼太郎氏など)

しかし、始皇帝がいなくても中国が帝国化するのは必然だったと私は思う。


なぜなら、世界一の長大な建造物である万里の長城を築く必要があったことから分かるように、北には巨大な軍事力をもつ遊牧民が存在した。国が分裂したままなら、容易に中国は遊牧民勢力に飲み込まれ、結局、モンゴルや清のような巨大な帝国が作られていただろう。


実際に遊牧民勢力と接している地域では征服されるにせよ、対抗するにせよ帝国が恒常化する。(例えば、ペルシャ、北インド、またロシアも帝国化した)

また黄河、長江という巨大な大河も存在しているため、治水を行うのに河川の全領域をカバーする帝国が必要だった。


北の遊牧民の存在と黄河と長江という大河の治水の両面から中国の帝国化は必然だった。

帝国が続く文明では欧米のような民主主義が政治制度的に発展するのは困難だった。


ちょうど、今年の6月4日は学生たちを中心に中国人民が民主化を求めて弾圧された天安門事件から30年。


経済的に大発展を遂げながら民主化ではなく一党支配を強化する中国の現状を垣間見た。


北京では、ワイファイを使っていても、メールもツイッターもフェイスブックもできない。
Googlの検索もYoutubeの視聴もメールもできない。
何故か、ロシア国営のスプートニクの日本語版は一部だが見れた(笑)

ネットで世界は一つになったと思っていたが、中国人民は西側のネット世界から遮断されている。


ネットの規制は以前からなのかもしれないが米中貿易戦争の影響がこのようなところにも表れている。


また電子システムの普及でかなり監視社会が強化されているようだ。


空港で指紋と顔の認証を受け、さらに地下鉄に乗るときも毎回、荷物を機械で検査する必要がある。


現地の人が言うにはこのような事は数年前までなかったとのこと。

日本にも様々な政治的圧力はあるが、中国は野党がいないので共産党が決めればどんな法案でも通ってしまうのが恐ろしいところだ。

ただし強権的な中国の体制には、土地が国家のものなので都市開発が自由にできるというメリットがある。


ひらすら巨大な道路と高層ビルが連続する北京の都市開発ぶりには度肝を抜かれた。


これは、経済成長や都市環境の整備という面では強力だ。日本のように土地が私有化されている社会では成田空港を作るときでさえ、土地の接収問題が何十年も続いた。


中国政府は米中貿易戦争によって外需が冷え込むことから内需を拡大させるための政策を次々に実行している。

銀行の預金金利を意図的に低く設定し、インフレ率(物価上昇率)のほうが高い状態を作りだしている。

そのため預金の価値が商品に比べて目減りしていくために、消費をしたほうが得だ、ということを宣伝し人民の消費を喚起させている。


国家が管理する中国の中央銀行(人民銀行)が、国営銀行の銀行融資を前年比で30%拡大させる窓口指導を公に認めている国だ。

中国政府は景気対策に最も有効な政策である「実体経済向け信用創造量」を増加させ、投資と消費を促している。
そこが、黒田日銀のように景気対策の名目で金融経済向け信用創造量を拡大させて、物価上昇と経済成長に失敗している日本とは違うところだ。

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14億人の人口を抱え、まだまだ豊かとはいえない人民を大量に抱える中国は、内需を拡大させ経済成長させることは十分に可能だ。


私の見たてでは中国の経済成長と強権政治は当分続きそうである。


そして今世紀は中国が超大国となる。


その超大国、中国の民主化を何らかの形で実現することが今世紀の最大の政治的イベントになるだろう。


(記事終了)

 

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