今まで提唱してきた、上記図の「目指すべき市民権力のモデル」の右側の民主政治の以下の部分を変更した。
・「理性に基づく個人の精神の働き」の箇所を「人格の原理の意識化」に変更
・「精神の働きと民主の原理の融合」の箇所を「人格の原理と民主の原理の融合」に変更
(下記の図の赤文字の箇所)
今回、変更した理由は立憲民主主義の究極の目的と定義されている「個人の尊厳」という概念が、
「全ての個人の人格の保障」のために存在することを強調するためだ。
以前のモデルでは、理性による精神の働きのみが強調され、「人格」という根本概念が記載されていなかった。
また、「精神の働きと民主の原理の融合」の箇所を「人格の原理と民主の原理の融合」に変更した。、
理性による精神の働きによって作られる個人の人格の原理と、社会制度としての民主主義の原理の融合が
図られることによって、個人と社会の融合がなされ、真の民主社会を創る原理となることを表すためである。
まず「人格」という概念を理解することが、民主主義を理解する始まりである。
結論から述べると現在の欧米日の立憲民主主義は、以下のような流れで成立している。
1 「民主主義は全ての個人の人格の保障を目的とする 人格の原理の発生」
↓
2 「人格を保障するという目的から、個人の尊厳の実現という道徳法則が発生」
↓
3 「個人の尊厳の実現という目的から、民主主義の原理(自由、平等、友愛、真理の諸概念と諸権利)が発生」
この民主主義を形成しているモデルが今まで作られてこなかったことが
現在の国際銀行権力に操作される民主主義・政治の根本的な原因となっているのである。
日本の憲法学では、民主主義には明確な目的が存在し、それが「個人の尊厳の実現」であると考えられている。
(下記の図)
上記図の説明をすると、民主主義においては、「個人の尊厳」を達成すべき目的としており、
その手段として国家が個人に干渉しない「自由主義」があり、
さらに、その自由主義の手段として国民主権の「民主主義(政治)」がある。
その全てに「平等主義」がかかっている。
基本的人権(自由主義と平等主義)と、国民主権(民主政治)はともに個人の尊厳から発しており、
これらが合わさって「広義の意味での民主主義」を形成している。
それでは、民主主義が究極の目的としている個人の尊厳の実現とは何か?
それは「全ての個人の人格が保障される状態」ということだ。
以下参考。
個人の尊厳 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/other/1146/1287/d_200/
個人の尊重ともいい、すべての個人が人間として有する人格を不可侵のものとし、
これを相互に尊重する原理をいう。
人間の尊厳、個人尊厳の原理、人格不可侵の原則。
基本的人権と同義ともされ、個人主義をその背景に持つ。
つまり、民主主義が個人の尊厳の実現を目的とするという事は、
「全ての個人の人格を保障しなければならない」という個人主義の「根本規範」が前提となる。
根本規範とは、その社会が最高の価値とし、神聖にして犯すべからず、とする倫理的命題である。
それでは根本規範である個人の尊厳の実現が述べている
「人格」
とはどのような意味か?
人格という言葉は日常語でも使われる一般的な言葉であるが、この意味を理解することが
民主主義の成り立ちを理解する上で最も重要なことである。
哲学の領域では以下のように使われる。
以下参考。
人格についての世界大百科事典 第2版の解説
https://kotobank.jp/word/%E4%BA%BA%E6%A0%BC-81375
道徳的にすぐれている人を〈人格者〉というように,日本の慣用法においては人格という語は,
カント以後のドイツ哲学思想の影響のもとに,理性的存在者として自律的に行為する主体を意味し,
その尊厳性を強調する道徳的意味あいを含む語として用いられてきている。
つまり
「理性的存在者として自律的に行為する主体」
を「人格」と述べると定義されている。
ここで述べられている「理性的存在者」とは、理性を持つ個人の事である。
理性とは道徳法則(万人が納得する道徳の根本法則であり、価値の基準となる善の感情)
を定め、知性と意志を導き出す能力のことだ。
理性と個人の精神の働き(感情、知性、意志)の関係について哲学の観点から現在使われている人格を
定義したのは18世紀のドイツの哲学者のカントである。
カントの「理性」という言葉の意味の説明は以下のとおりである。
(主知主義から人間学へ―カント哲学に学ぶ より以下転載)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ubukata/20060605.htm
カントは、知的理性の限界を指摘し、デカルトに代表される近代哲学の主知主義を超えて、人間の理性には知性だけではなく意志や感情や信仰の働きなど広範な機能があることを認める。
カントは、知性や意志や感情や信仰が、ただバラバラに人間の内部に存在していると言っているのではない。知・情・意のすべてを統御し調和させるのが人間の理性であり、理性に統御された全人こそが人間であるというのである。科学も道徳も芸術も宗教も、すべて人間の理性の発現でなければならないのだ。
(転載終了)
理性に対するとらえ方を「推論能力」と狭い意味でとらえるのではなく、
カントの述べる、
「善く生きることを目指す法則を生み出す能力」
とする。
カントは理性について以下のような意味で使用している。
プレップ倫理学 柘植尚則 弘文堂より転載
P38~P39
理性とは、道徳法則を立てることによって、意志を導く能力の事です。
カントはこの理性を「実践理性」と呼んでいます。
人格とは、理性を持ち、それに基づいて行動する存在のことだから、理性のモデル=人格の原理となる。
それをモデルにすると下記の図になる。
この人格の原理=理性のモデルから、感情、知性、意志という個人の精神の働きを、
理性によって統御するモデルが作られる。
この理性のモデルは、何らかの道徳法則と結びついてる。
(下記の図)
この人格の原理=理性のモデルを万人に保障するために、民主主義は「個人の尊厳の実現」を目的としているのだ。
その個人の尊厳を実現するためには、人々が王侯貴族や宗教に人格的に支配されていては実現できない。
そのため、
「誰もが支配されない、支配者の存在しない状況」
が個人の尊厳の実現では必要になる。
その状況を作り出すために考え出されたのが、
「人は生まれながらに自由で平等である」
という言葉である。
自由、平等、友愛の各概念の相互規制の状態は、
人同士では支配し合わない状態を表している。
その相互規制の状態から、民主主義の自由、平等、友愛の諸権利が認められているのである。
(下記の図)
そして個人の尊厳の実現という目的が発生するために、
「現状認識」という
「真理」の権利が生まれる。
この真理は現状認識であるため、目的と融合している。
(下記の図)
次に目的を達成するための方向性と手段が発生する。
民主主義の方向性は、自由、平等、友愛、真理の諸権利の「相互規制に基づく相互発展」である。
民主主義の目的達成のための手段は、上記の諸権利に基づく国民主権による選挙と議会である。
(下記の図)
以上の流れから、「人格の原理」と「民主の原理」が融合する以下の図が完成する。
(下記の図)
人格の原理は、感情、知性、意志の「諸概念」が「理性の円」によって統御される図として表される。
民主主義の原理は、自由、平等、友愛、真理の「諸権利」が、権利の相互規制、相互発展する円の図として表される。
(下記の図)
図の説明をすると
①最初に「人格の原理=理性のモデル」が作られる
②次に「民主の原理=自由、平等、友愛、真理の諸権利の相互規制・相互発展のモデル」が作られる
③人格の原理と民主の原理は、右側の目標軸と時間軸のモデルで明らかなように相互作用をもたらす
④人格の原理と民主の原理の融合により、民主的自律個人が作られ、民主社会が実現する
このように「人格」の概念から、民主主義は構成されている。
これが個人の精神のあり方と社会の理想が融合された真の民主主義のモデルである。
2003年にリチャードヴェルナー氏によって資本主義の経済モデルが明らかにされるまで世界は景気変動の公式が理解できなかった。
なぜなら、資本主義経済を作り出してきた国際銀行権力が、経済学の密教として信用創造の仕組みを無意識化してきたからだ。
同じく自由民主制のもう一つの制度である民主主義・政治も世界は今まで理解してこなかった。
国際銀行権力によって管理される通貨発行権と軍事諜報機関を組み込んだ民主主義のモデルは主流政治学では皆無である。
万人の権利を保障するための制度として作られた民主主義のモデルだが、この目的を無意識化されると、
この原理は崩壊し、個人主義は容易に国際銀行権力によって操作されるものになる。
(下記の図)
その結果、普遍的な基本的人権と民主主義を掲げながら、マネーの管理者に支配される社会に誘導されてきたのだ。
(下記の図)
現在の自由民主制度は次の図のような状況にある。
この詐欺洗脳体制を次のように変化させなければならない。
日米欧の自由民主制の問題点の詳しい解説はこちらの本をお読みください。
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<リンク>頂いた書評の一覧 『世界を騙し続けた[詐欺]経済学原論』 『洗脳政治学原論』
■動画での解説
<リンク>天野統康氏「世界を騙し続けた【詐欺 経済学】【洗脳 政治学】を越えて」出版記念講演ワールドフォーラム2016年5月
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