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元同志社大学大学院経済学教授の山口薫氏の著作『公共貨幣』についての二回目。
前回は、主流の経済学は今までマネーを経済理論において無視してきた、ということをお伝えした。
<リンク>経済学のマネータブーに切り込んだ快著 『公共貨幣』 東洋経済新報社 山口薫著 を読む
現在の社会問題の根本にあるのは、政府がマネー発行権を持っておらず、
銀行によって作り出される借金マネーシステムにある。
この資本主義経済の問題点について、実は1930年代から、貨幣数量説の
交換方程式を唱えた米国の経済学者アービング・フィッシャー(1867~1947)らが
中心になって、指摘してきたことを『公共貨幣』では詳しく論じている。
フィッシャーは以下のような改革案を30年代から提案していた。
・中央銀行の独立性のはく奪と、公共機関によるマネーの発行
・民間銀行の信用創造能力を消滅させること
この革命的な改革案は、「シカゴプラン」と呼ばれ、著名な学者であるフィッシャーが
賛同を呼びかけたため、何百人もの経済学者が参加する巨大な運動になった。
しかしフィッシャーが亡くなると、このシカゴプランの後を継ぐ者は
いなくなり、経済学の世界では忘れ去られてしまった。
主流の経済学が、シカゴプランを無視し、マネーを経済分析に組み込んで
こなかったことについて『公共貨幣』では以下のように述べている。
(公共貨幣 P40より以下転載)
「大学や大学院で経済学を学ぶ学生、院生、研究者はシカゴプランのことは
一切知らないのである。教えられないからである。
なぜか。
この貨幣改革のテーマはタブーとして経済学の教科書から抹殺されたということを
リーマンショックの後に初めて知った。
理由は3つ。
1つ目は国際金融資本・銀行家にとって不都合な理論だからである。
2つ目は、上述したように古典派経済学では貨幣はベールであり実体経済に
影響を及ぼさないので、あえて分析する必要がないとされたからである。
3つ目はケインズ経済学でもマネーサプライは外生的に決定されるという
理論構造になっているので、貨幣が内生的に無から創造されて実体経済に
影響を及ぼすというモデル構築は不可能であるとして無視されてきたからである。
すなわち、大学での職を失うのが怖くてこのタブーには関わらないか、また、
勇気を持って関わろうとしても、それを現行のマクロ経済モデルに組み込む方法が
なかったからである
(転載終了)
つまり、国際銀行権力のマネー発行(信用創造)利権の独占を、
維持するために、不都合な理論は徹底的に無視され無意識化されて
きたということだ。
そして、マネーをマクロ経済のモデルに組み込んで分析する理論が
主流経済学(ケインズ、新古典派、マネタリズム、マルクス主義
社会民主主義など)では作られてこなかったと述べている。
2003年にリチャードヴェルナーが信用創造を組み込んだモデルを作り出すまで、
信用創造は理論的に無視されてきたのである。
国際銀行権力による学問管理の結果、壮大なマインドコントロールが
数世紀にわたり仕掛けられてしまい現在に至っているのだ。
<リンク>amazon 公共貨幣
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