あこみ忍者のブロマガ

あこみタクシー物語《大雪と缶コーヒー》

2013/07/08 19:26 投稿

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  • 成人の日
タクシーで起きた出来事を書いてみようと思う。
あこみタクシー物語《大雪と缶コーヒー》



 皆さんは今年(2013年)の成人式の日を覚えているだろうか。

 僕は覚えている。

 あの日の天気予報は「雪が降る」とは言っていたが、結果として記録的な大雪となった日だ。




 僕はこの日、いつもの様にタクシーに乗務していた。
 朝8時に出庫して、僕が得意とする上野や浅草周辺で営業していたら、流されてお昼頃には中野にいた。そんな時にあの大雪が直撃したのである。

 その時、載せていたご夫婦のお客さんに「雪、凄いねぇ。今日はお客さん多いんじゃないの」なんて笑いながら言われた。

「そうですねぇ。でも渋滞だらけで、それどころじゃなくなるんじゃないですかねぇ」

 僕がお客さんに返したその言葉は、後々現実となるのだ。


 中野のとある坂道に差し掛かった。
 車1台がすれ違うのもギリギリな一方通行のその通りで、前を走っていたワゴン車が立ち往生した。
 無残にも雪に足を取られ、タイヤが空回りするばかりで前に進まない様子。

 そんなワゴン車を避けて、前に進もうとしたら…


 僕のタクシーも前に進まなかった。


 何を言ってるか解らないかもしれないが、アクセルを踏んでも前に進まないのである。
 負は連鎖すると言えばいいのだろうが、その後も次々と前も後ろも車が雪に足を取られて進めなくなって大渋滞となってしまった。

 その時乗せていたお客さんは「運転手さん頑張ってね」なんて言い残して、途中下車してしまった。
 まぁ無理も無いだろう。こんな状況では…


 とにかく何とかしよう。


 そう思って、僕が車外に出ると前のワゴン車から、晴れ着の女性とそのご両親らしき人が車から降りているところであった。
 何か急いでる様で、旦那さんを残して娘と母は傘を広げてどこかに行ってしまった。

 お互いに傘を持っていない僕と、旦那さんの目が合うと向こうは笑顔で「頑張りましょう!」と声を掛けて来たので「はい!」と返した。


 まずはタイヤチェーンを付けよう!


 タクシーのトランクを開けて、チェーンとその取付工具使って作業を始めたが…


 取り付け方がわからない!


 だって、雪道なんて走った事ないもの!
 一応、説明書があったので、その通りにやってはみたが上手く行かなかった。

 降り続く大雪の中、チェーン取り付けに苦悩すること30分。


 僕が着ていたスーツはびしょ濡れで、中のTシャツやパンツまで濡れてしまっているのが解る。当然、寒い。
 悴む手を摩りながらも、必死に作業していた。


「手伝いましょうか」

 声を掛けてきたのは、前の車の旦那さんだった。

 そこから二人で共同作業になったが、旦那さんもチェーンの取付は初めてらしくあまり状況は変わらなかった。
 結局、2人の様子を見兼ねた通行人のオジさんが「違う違う、ここはこうするんだ」なんて言って助けてくれた。


 無事にタイヤチェーンの装着完了!


 いざ出発!と行きたいところだったが、結局は前も後ろも計7台くらいの車が立ち往生してしまっていて、とても出発できる状況ではなかった。



 そこで始まったのが、立ち往生してる車を坂道から脱出させる共同作業である。



 その車の運転手さんと、通行人の皆さんが力を合わせて車を移動させる。


 僕はこの時、何処か感動していた。

 特に関係も無いし手伝う必要も無い通行人の人たちが、次々と手伝ってくれるのだ。

 いざと言う時の助け合い精神を目の当たりにした。



 僕は普通の革靴だったので、車を押す時に何度も何度も滑ってコケながらも、皆さんの車を押し続けること2時間。

 全ての車を坂道じゃないところの路肩に移動させると「おつかれさまでした!」「ありがとうございました!」と言葉が行き交う。
 拍手してる人もいた。

 すると、先ほどチェーンを付けるのを手伝ってくれた旦那さんが、近くのコンビニから袋いっぱいにホット缶コーヒーを持ってやってきて「おつかれさまでした」と配り始めた。




 2時間も全身びしょ濡れで、大雪の中、作業をしていた僕の冷え切った身体に渡されたホットコーヒーの暖かさは今でも覚えている。



 通行人で車移動を手伝ってくれていた、お姉さん二人組が缶コーヒーを飲みながら「タクシー乗せてください」と話しかけてきた。

 早速、2人を乗せて出発しようとすると、「お気をつけて!」「おつかれさま!」「またどこかで!」なんて皆さんが声を掛けてくれて、僕のタクシーが出発するのを見送ってくれた。


 出発したはいいものの、すぐに渋滞にハマって数時間そのお客さんとお喋りする事になったのと、寒すぎて唇が紫になっていた僕にそのお客さんがタオルやニット帽をプレゼントついでに僕に被してきた、なんて事もあったがそれは省略します。
 

 今回はここまでにしておきましょう。

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