赤い女神の怪奇目録

プレス機

2020/05/31 17:29 投稿

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私の父は高校卒業後、ある大手電機メーカーに就職し、
長年工場勤務をしていました。

この話はそんな父が実際に体験した話です。

その日、父は夜勤で勤務していました。
夜勤と聞くと人が少ないイメージがあるかもしれませんが、父の働いていた工場は結構な社員数がおり、夜勤でもそこまで人が少なくなる事もない職場でした。

父のその日の業務はプレス機で製品に使用する板金を造るというものでした。
プレス機にもいろいろなサイズがありますが、その業務に使用する物は大型の物で扱うにも危険が伴うので『ベテランの社員ではないと使用してはいけない』、『使用時は複数人で作業する事』という社内のルールになっていました。

しばらく順調に作業していましたが、食事休憩前にプレス機の調子が悪くなり作業が滞り始めたので、父と一緒に作業していた同僚Aは、
不調の原因を突き止めようと話し合いました。
その後直ぐに休憩時間を知らせるチャイムが鳴り、殆どの社員が作業をいったん止めて食堂に食事にいきました。

父も一緒に作業していた同僚Aと食事休憩に入りました。

食事休憩は45分、父は食事後別の同僚と世間話をしており食堂に残っていましたが、一緒に作業していた同僚Aは「プレス機の様子が気になる」と言って先に工場に戻っていきました。

休憩時間中社員は各々の時間を過ごしますが、休憩時間中工場内に戻る社員はほぼいなかったそうです。

就業開始のチャイムが鳴る少し前、世間話しながら「そろそろ工場に戻ろうか」と父が思い適当に話にオチをつけて席を立ちあがった時、「おいっ!救急車!救急車を呼べっ!」と言う社員の叫ぶような怒声の声が聞こえてきました。

同時に数人の社員が廊下を工場方向へ走って行く姿が見えました。
父も周りの社員も何があったのかと工場へ走りました。

工場につくと、父が作業していたあのプレス機の周りに人が集まっていました。
この時父はすごく嫌な予感がしたらしいです、それも体が震えるレベルの・・・

プレス機の周辺に近づいていくと、床にはおびただし量の血が流れており、正に『血の海』という表現が合う様な状態。
そんな血の海の中に誰かが倒れていました。

『誰か』というのは父は倒れている人の、膝より上は見なかったそうです。
ただ父はこの時、誰が倒れていたのか、その人物に何が起こったのか、事の顛末全てを察したので敢えて見なかったらしいです。

その誰かは社員の呼んだ救急車で運ばれて行きました。

その日は父を含め、その工場で働いている社員は帰宅指示が出された為、強制帰宅。
私自身はその当時小学生で、父が夜勤の時は私が学校に行ってから帰宅してくるので、朝に顔を合わせることは無いのにその日は父がリビングでコーヒー飲んでたんで不思議に思っていました。

後日、工場の職員が集められ詳細が聞かされました。
結論から言うとあの血の海の中に倒れていたのは、父と一緒に作業していた同僚Aで病院に搬入はされましたが、即死だったので工場で倒れていた時には既に亡くなっていた。
なんでも食事後、同僚Aはプレス機の様子を見るために一人で工場にいました。
そしてプレス機の調整を一人でやっていた時、プレス機が稼働して上半身が押し潰されてしまったみたいです。
なぜプレス機が稼働したのかについては、普通は安全装置という物がついており、例えば人間がプレス機の内部に入っている状態では絶対稼働しない様になっているのですが、件のプレス機についていた安全装置は事故後調査すると故障していたらしいです。

父はその後職場を変えてくれる様に上司に掛け合い、定年退職までプレス機を使用することはありませんでした。

私自身製造業に就職して、加工装置や工具を扱う頻度が多くなりましたが、父からこの話を聞き怖くなり工具や装置を使用する時は、細心の注意を払うようになりました。

新人や経験が浅い内はみんな気を付けるんですが、ある程度作業に慣れてくると「これくらい」といった軽い気持ちで、決められた手順を疎かにすることが多いので、製造業種だけに限らずお気を付けください。












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