主張
反緊縮、公正をの声
政治変える世界の新たな流れ
昨年行われたスペイン、カナダ、ポルトガル、ギリシャの総選挙で反緊縮、公正を掲げた政党が相次いで勝利・躍進しました。各国の現実はそれぞれ異なりますが、資本主義の矛盾の新たな表れに対応した、新たなたたかいが各地で発展し、政治変革に結実しています。
既存の枠を超え広がり
共通する背景は、2008年のリーマン・ショックを契機とした国際的な金融経済危機です。欧米の各国政府は大銀行・金融機関を公的資金で救済・支援、その一方で、国民には労働条件や医療・社会保障の改悪など緊縮政策を押し付けました。ギリシャ、スペイン、ポルトガルでは失業の激増とあいまって「新たな人道的危機」ともいわれる事態にまでなりました。
各国では、これに対抗する反緊縮・反貧困、公正を掲げた新たな運動が生まれました。それは労働組合など既存の組織に加え、フェイスブックなどSNSで結びついた青年・学生などが参加し、かつてない規模に拡大、これが選挙を通じた政治変革に向かいました。
ポルトガルでは昨年11月、大増税・低賃金政策の緩和を掲げた社会党による新政権が発足しました。左翼ブロック、ポルトガル共産党、緑の党の3党は社会党とともに議会多数派を構成し、「緊縮策の見直し」の一致点で閣外協力しています。新政権は早速1月から最低賃金を月額530ユーロ(約7万円)へ5%引き上げます。
南米のチリでは、学費無償化を求める大規模な学生らの運動を背景に14年3月、社会党のバチェレ氏が大統領に就任しました。チリ共産党からも1973年にアジェンデ政権が軍事クーデターで打倒されて以来、41年ぶりに入閣しました。新政権は昨年末、公約通り国立大の学費無料を決定、財源には大企業への法人税率引き上げによる税収増の一部をあてます。
政治の変化は、反戦・平和の世論と運動ともつながっています。
予想を覆しイギリス労働党の新党首に選出されたコービン議員は、2001年に結成された「戦争阻止連合」の議長で、アフガン、イラク反戦運動の先頭に立ち、核軍縮運動(CND)にも長年参加してきました。イギリスのシリア空爆を審議した下院議会では、最後まで反対の論陣をはりました。カナダでは富裕層増税などを掲げ11月に政権についた自由党のトルドー新首相が、ISに対する空爆作戦からの撤退も表明しています。
これらの国の政治・政権は、さまざまな問題も抱えており今後、紆(う)余(よ)曲折が避けられません。しかし、変化の背景には、非人道的な緊縮や戦争政策に反対し、個人の尊厳をかけて声をあげ街頭に出た若者をはじめ広範な国民の、既存の政治の枠組みも超えた運動があります。それは大きな希望です。
注目される日本の運動
日本の戦争法反対、沖縄・辺野古への米軍新基地建設反対などのたたかいや、原発ゼロを求める運動は、世界の新たな流れと共鳴し、各国のマスメディア、平和・民主主義を求める運動から注目されています。今年の参院選は、そうした各分野の「一点共闘」を発展・合流させ、日本でも国政を変える歴史的チャンスです。安倍政権を支える自民、公明を少数に追い込み、暴走政治を止め、戦争法廃止の国民連合政府の実現へ前進するため、力を合わせましょう。