主張
首相すりかえ答弁
新基地を「負担減」と言う異常
安倍晋三政権が着工を強行した沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設問題をめぐり、首相のごまかし、すりかえの発言が目に余ります。「新基地建設反対」という沖縄県民の意思を一顧だにしない姿勢は民主主義の否定だと考えないかと追及した日本共産党の志位和夫委員長の衆院代表質問に対し、新基地建設を「負担軽減」だと強弁し、「(民主主義否定との)指摘は当たらない」と突っぱねたのは一例です。沖縄県民の感情を逆なでする答弁をして平然としている態度は異常というほかありません。
新たな一大出撃拠点
首相は所信表明演説で、沖縄の基地問題について「かつて裏付けのない『言葉』だけの政治が沖縄の皆さんを翻弄(ほんろう)した」と述べました。米海兵隊普天間基地(宜野湾市)を「最低でも県外移設」すると公約したのに、結局、辺野古への「県内移設」に転じた鳩山由紀夫民主党政権を皮肉ったものですが、これ自体がすりかえです。
首相はその上で「こんな無責任な政治を二度と繰り返してはならない。安倍内閣は、『言葉』ではなく、実際の『行動』で負担軽減に取り組んでいく」と自慢げに語りました。しかし、首相にそんな発言をする資格はありません。
安倍政権が実際に取っている「行動」は、県民に新たな負担を強いる辺野古の新基地建設の強行です。
日本共産党の山下芳生書記局長が参院代表質問で明らかにしたように、ジュゴンも生息する“美(ちゅ)ら海”を埋め立てて造られる新基地には、1800メートル級の2本のV字形滑走路や強襲揚陸艦が接岸可能な軍港などが建設され、普天間基地にはない新たな機能が加えられます。垂直離着陸機オスプレイが配備され、最新鋭のF35ステルス戦闘機が運用される危険もあります。沖縄本島北部の広大な訓練場などと一体化し、米海兵隊の新たな一大出撃拠点となります。「負担軽減」の「言葉」とは正反対の「負担押し付け」以外の何物でもありません。
首相は、沖縄の「負担軽減」の例として、普天間基地配備のKC130空中給油機部隊の岩国基地(山口県岩国市)への移駐を挙げました。しかし、同機は米軍の方針通り、移駐後も普天間基地にしばしば飛来しています。3日に1回のペースで飛来しているとも報じられ、「負担軽減には程遠い」との厳しい批判が上がっています。
普天間基地配備から2年がたったオスプレイは、日米両政府の合意に反し、住宅密集地上空や夜間の飛行が常態化していますが、安倍政権は放置したままです。こうした姿勢こそ、「裏づけのない『言葉』だけの政治」と言うのではないでしょうか。
世論に追い詰められ
首相は、新基地建設を正当化する決まり文句として「普天間飛行場の一日も早い返還こそが地元の皆さまの願い」と繰り返しています。まったくのごまかしです。名護市民をはじめ圧倒的多数の沖縄県民の願いは、普天間返還だけでなく、新基地の建設反対です。
首相がごまかし、すりかえを繰り返すのは、県民の怒りの世論に追い詰められているためです。目前に迫った沖縄県知事選(30日告示、11月16日投票)で新基地建設反対の意思を改めて示すことが重要です。