主張
名護市議選の審判
新基地反対の民意無視許すな
沖縄県名護市議選(7日投開票)で、米軍新基地建設に反対する稲嶺進市長を支持する与党が、定数27議席中14議席の過半数を獲得し勝利しました。2010年の名護市長選と市議選、今年1月の市長選に続く勝利であり、名護市民は四たび新基地反対の揺るがぬ意思を鮮明にしました。ところが、菅義偉官房長官は、市議選で示された民意を真っ向から否定し、「辺野古(へのこ)移設については淡々と進めていきたい」と述べ、新基地建設強行の考えを改めて表明しました。民主主義国家を標榜(ひょうぼう)するのであれば、絶対に許されない態度です。
あまりにも異常な菅長官
今回の市議選の結果を受けた菅氏の記者会見(8日)は、あまりにも異常でした。
記者から、市議選では新基地反対の意思が示されたとして「地元の民意を尊重する必要性はあると思うか」と問われた菅氏は「その一点だけの結果ではない。それぞれの候補者がさまざまな政策を掲げてたたかった結果だ」と述べ、新基地反対の民意が直接示されたわけではないという、驚くべき認識を明らかにしました。
さらに、11月の沖縄県知事選についても「辺野古への移設の是非は直接的には関係しないということになるのか」と問われて、菅氏は「そう思っている」と断言し、「昨年暮れに仲井真弘多(なかいまひろかず)知事から(新基地建設のための)埋め立て承認を受けたので、粛々とそこは進めていくという立場に変わりはない」と強調しました。
選挙でどんな結果が出ても、新基地反対の声だけは否定するという名護市民、沖縄県民を愚弄(ぐろう)した態度です。
仲井真知事の態度も同様です。
市議選の結果について仲井真氏は「判断の仕方はいろいろある」と述べ、新基地反対の意思が示されたことを否定しました。11月の知事選への影響についても「他の市町村(の選挙)を見たら、私の政策に賛成する方向の方が多いと思う。名護だけで沖縄ではありませんから」と述べました(8日)。
しかし、沖縄の地元紙・琉球新報のアンケート調査によると、7日に投開票された名護市議選を含む沖縄いっせい地方選の当選者のうち過半数の208人(約54%)が辺野古への新基地建設に反対しています。容認は46人(約12%)にすぎません。今や新基地反対の声は党派の違いを超えて、名護だけでなく沖縄全体に広がっています。
安倍政権が今、県民の抗議行動を力ずくで締め出し新基地建設のためのボーリング(掘削)調査を強行しているのも、市議選で示された民意を故意に無視しようとしているのも、焦りの表れであり、新基地反対の県民を諦めさせようとする卑劣な戦術です。
知事選にかならず勝利を
今回の市議選の結果を受け稲嶺名護市長は「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」との決意を改めて表明し、新基地建設に必要な許認可権の行使についても「名護市民の民意を反映する形で臨んでいきたい」と強調しました。新基地建設は決して「淡々」と進むわけではないし、進ませてはなりません。そのためにも、県知事選で新基地反対の「オール沖縄」の声を総結集し、勝利することです。今回のいっせい地方選で躍進させていただいた日本共産党はその先頭に立つ決意です。