「しんぶん赤旗」

大震災2年半―暮らしの土台支える政治こそ

2013/09/11 11:31 投稿

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主張

大震災2年半

暮らしの土台支える政治こそ 

 東日本大震災から2年半を迎えました。復興への足取りは遅々として進まず、約29万人がいまも避難生活を強いられています。東京電力福島第1原発の汚染水漏れは、事故が制御できていない危機的状況にあることを浮き彫りにしています。

 多くの困難を抱えながら被災者は懸命に生きています。復興と原発事故収束が大きく立ち遅れているのは政府の責任です。被災者と心を通わせ切実な願いにこたえる政治への転換が待ったなしです。

住まいの見通し示せ

 被災地の3度目の夏も過酷でした。猛暑は断熱効果の弱いプレハブ仮設住宅を容赦なく襲い、夜間でも室内気温は下がらず“蒸し風呂”状態が続きました。熱中症で救急搬送された仮設住宅居住者も少なくありません。

 避難長期化で体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりする「震災関連死」も増加しています。地震と津波のなかを生き抜いた命が避難生活で失われる悲劇が続いていることはあまりに重大です。

 被災者を心身ともに疲弊させている大きな要因は、住まい再建の見通しがたたないことです。人間らしい生活を保障する最大の土台は住まいの安心です。住まいの再建は地域全体の再生にとっても中心課題となります。住まいの再建へ向けて被災者に見通しを示し、しっかり応援するため政治が大きな役割を果たすときです。

 被災者のさまざまな要望に対応できるきめ細かな対策が必要です。国は「個人財産の形成になる」と住宅復旧支援に及び腰です。生活再建支援法による住宅再建支援金(現在全壊世帯300万円)を大幅に引き上げるべきです。

 震災公営住宅の計画的な整備が急がれます。画一的な建設でなく被災者の多様な要望や、地域の実情にあった住宅が求められます。入居に際しては高齢者などが孤立しないよう十分配慮することが大切です。そのためにも経済的に困難な被災者が住み続けられる家賃設定が不可欠です。福島県いわき市が住民の願いにこたえ3年間の家賃を半額にすることを決めたことなどは重要な経験です。

 大津波に襲われた東日本大震災では、津波対策などの必要性から震災前にいた土地が再び利用できるとは限らないという特別の困難があります。地域の実情にあった柔軟な対策が必要なのに、政府の対策は杓子(しゃくし)定規な対応に終始しています。被災地の実態と要望にこたえた支援を抜本的に強めるときです。

 仮設住宅の環境改善は一刻の猶予もありません。2年半にも及ぶプレハブ住宅の不自由な暮らしはすでに限界にきています。住宅再建がすすまないにもかかわらず、入居期限を1年ごとに延長するという「細切れ」のやり方が被災者の不安をかりたてています。借り上げ住宅への住み替えなどを含めた対策を急ぐべきです。

支援が必要な限り

 故郷へ帰る見通しが見えない原発事故被災者には特別な対策が必要です。故郷の再生へ政府があらゆる手だてを講じるべきです。

 被災者の医療・介護負担軽減措置の復活が必要です。支援が必要な人・地域がある限り、支援を強めることはあっても、絶対に弱めたり、なくしたりすることはしない。それを鉄則にした国の支援こそ求められます。

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