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伊藤計劃「ハーモニー」を読んだ

2013/04/26 03:47 投稿

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  • 伊藤計劃
夭折されたSF作家、伊藤計劃氏最後の長編。

すごい読書体験だった。
ディストピアに差し掛かったユートピア、空気を読むことを強制されたかの様な世界で語られる物語。

人類が社会的である事を押し進めていったらどうなるか
意識や感情なんてもう過去の産物なんじゃないか
行き着く所まで行ってしまった科学が提示する人類の幸福とは何なのか

この物語はそんな示唆に富んでいる。読み進めるたびに考え込まされてしまう。

ラストは強烈だった。愕然とさせられた。
読み終えて3日は経つが、今でも後遺症が残っている。いや、もしかしたら、生きている間はずっとこの後遺症に悩まされ続けるかもしれない。
私がこれまで持ち続けてきた信念の行く末には、私の愛したものが徹底的に破壊された世界が待っている事を思い知らされてしまって、危うくアイデンティティが崩壊するところだった。
幸い、自分の中で折り合いを付ける事が出来て、後遺症程度で済んでるけど。
でも、若い頃にこれを読んでたら危なかっただろうなあ。

直接は関係ない事なんだけど、私が平沢進のような「逸脱者」に強烈に惹かれる理由も、これを読んだ事で補強された気がする。
でもそれはまあ、別の話。

著者が描く未来の姿をこの先も読んでみたかった。
もうそれが叶わないのは、本当に残念だ。

とにかく、SF好きな人は心底お勧めします。
こんな感想を書いておいてなんですが、私のような、あのラストがクリティカルヒットしてしまう人ばかりでは無いと思うので、興味を持ったらそう身構えず読んでみて下さい。
それでもきっと、強烈な体験があなたを待っているはず。

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