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【天文】カノープスを観てみませんか?

2019/02/07 05:13 投稿

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カノープスは全天で2番目に明るい1等星ですが、本州からだと低い位置にしか見えません。また地平線の上に見える時刻も11~1月は早朝~深夜です。2月にやっと21時~19時半頃になり、以降は空が明るい時間帯になってしまい見えないといった感じで、なかなか見る事が難しい星です。その難しさ故、見ると寿命が延びるとか言われています。

実は私も、色々下準備をしてどうにか観ることが出来ましたが、ネットの情報ではあまり触れられていないことも色々あったので、お役に立てればと思い手順をまとめてみました。

ざっくりこんな構成です。
・基本情報
・観測地点候補選び
・緯度から見える角度を調べる
・正確な星の出入りの時刻を調べる
・選んだ観測点で見えるか机上確認
・補足

■基本情報
 観るにあたって事前に調べたページは以下の通り。

2018年カノープスを見よう。(AstroArts)
https://www.astroarts.co.jp/special/2018canopus/index-j.shtml

カノープスをみつけよう(2018年2月)(国立天文台)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2018/02-topics03.html

挙げたサイトは2018年度版ですが、星の見える位置や時期は毎年、ほとんど変わらないので、星の探し方や大雑把な観測時間帯は、そのまま参考にできます。

■観測地点の候補選び
 カノープスは、南の空低くに見える星なので、まず南側が開けていることが望ましいです。
- 南側に水平線や地平線が見えるのがベスト
 海っ傍か見晴らしの良い高台や山の上が良いでしょう。
- 南側に大都市とかない方が良い
 都市の光害に星が埋もれて、見分けられない可能性があります。
- 交通の便も考えておいた方が良い
 南側に雲があると見えないので、一発勝負ではなく何度でも気軽に挑戦できる場所の方が望ましいです。
- 夜なので安全面も考慮しよう
 猪や熊が出そうな場所は、寿命が逆に縮む可能性があります。

例)
Google Map(https://www.google.co.jp/maps)の場合
1.南側の開け具合を見ながら適当な場所を表示する。。
2.地図上をクリックすると、その場所の地名や番地と共に緯度経度が表示されるので、緯度の方をメモる。(Google mapだと、表示される緯度の単位は°です。)

地理院地図(https:/maps.gsi.go.jp/)の場合
1.南側の開け具合を見ながら適当な場所を表示する。
2.地図上で右クリックすると、そこに地図のセンターマーク[+]が移動する。
3.機能>ツール>場所情報コードの表示 を選ぶと、緯度経度のページが別タブに開かれるので、緯度(度分秒)をメモる。

緯度が度分秒の場合は、以下のサイトで°に換算しておきます。

度分秒から度に変換(高度計算サイト)
https://keisan.casio.jp/exec/system/1236244223

■緯度から見える角度を調べる
 カノープスの赤緯(*1)は、-52度41分44.3810秒
度に直すと約 - 52.7°です。

例えば、観測地点を広島市の宇品港に浮かぶ小島、宇品島にしてみます。緯度は地理院地図では、北緯34°20'30.8'' = 34.3°。カノープスが見える側、つまり南側の地平線の角度はそこから-90°だから
34.3°- 90°= -55.7°

つまり観測地点からカノープスの見える角度は、
-52.7 - (-55.7°) = 3°となります。

(他ちほーにお住まいの方のため、定式化すると、
37.3° - 観測点の北緯 = カノープスの地平/水平線からの角度
となります。つまり観測できる緯度は、北緯37.3°より南になります。)

*1:地球の中心から見た場合の南北方向の角度。赤道上が0°で北側がプラス、南側がマイナス表記される。

■正確な星の出入りの時刻を調べる
 自分は、フリーのプラネタリウムソフトを使って、何時頃見えるのか調べました。

ToxsoftのStella Theater Lite
https://www.toxsoft.com/sswpro/lite.html

使い方:
- メニューの観測地(L)>観測地の変更から都道府県レベルで観測地を選択
- メニューの画面表示(S)から、恒星名と星座名を日本語に設定、他に星座の線や、グリッド、薄明・昼光もONにする。
- [T]キーで時間が進み、[Shift+T]で時間が戻る。
- アイコンバーの[-]と[+]の間の数値が時間送り幅設定のプルダウンメニューなので適宜変更してみてください。

 ソフトのインストールや設定操作がめんどくさい人は、国立天文台の提供している、恒星の出入りの計算ページで、任意地点での恒星の出と入り、南中時刻を調べることができます。

国立天文台>暦計算室>暦象年表>恒星の出入りと子午線通過
http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset_rhip.cgi

使い方:
- 「主な恒星」のプルダウンリストからカノープスを選択。
- 「年月日を指定してください」に、観測日を設定。
- 「場所を指定してください」に観測地点の都市名を設定。
- 「(オプション)間隔と期間」で何日間分調べるか設定すると向こう一ヵ月分とかの出入りと南中時刻(子午線通過時刻)がまとめて表示される。



■選んだ観測点で見えるか事前確認
 夜中にわざわざ出かけていって空振るのもなんなので、事前に確認できることはしておきましょう。

・目視確認
 観測場所が容易に行ける場所ならば、事前に南の方角に障害物がないか確認しておいた方が良いです。

方角の確認方法:
- 磁気センサー付きスマホ(コンパスアプリ搭載のもの)
- 方位磁針
- 事前にグーグルマップのストリートビュー等で真南のランドマークを調べておく。
- アナログ時計(昼間のみ)
 - 時針を太陽に向けると時針と12時のインデックスの中間が南になる
 - 正午なら太陽の方向が南
- 北極星(晴れの夜のみ)
 北斗七星かカシオペア座から北極星を探し、その反対側が南。
 (小学生レベルの基礎知識なので詳細は自助努力でヨロ)

南側に障害物がある場合は、目視で角度を測ります。
1.握り拳を縦にして、前方に突き出す。(身体はねじらない)
2.拳の下側(小指の下側)を目の高さと水平に合わせる。
3.人差し指の上側が約+10°になるので、そこから目分量で10等分して角度を測る。

測った角度が、先に求めたカノープスの見える角度より低ければ、OKです。

・机上確認
 障害物が山の場合は、PC等で角度を調べることが出来ます。

地理院地図
https:/maps.gsi.go.jp/

1.目的の観測地点を表示する。

2.右上の「機能」ボタンから「断面図」を選択


3.始点選択モードになるので、観測点をクリック


4.左下の+/-キーで適宜、拡大縮小しながら地図上を真南に移動

5.南側にある気になる障害物を全て跨いだら、ダブルクリックで終点を決定。


6.断面図が表示される。
 - 断面図上をマウスカーソルで触るとその地点の標高が表示される。
 - 地図上の始点~終点の間の線にマウスカーソルを乗せると、始点からの距離が表示される。


7.始点から各ピークを結んだ線の角度が最大になるピークが障害物です。

8.実際に地図上で、障害物の標高と距離を確認する。
 (断面図のデータは始点~終点間を300分割した点のサンプリングによるもの。
 間にある、より高いピークを見逃している可能性があるため。)


9.障害物の高さと距離から角度を求める。
 角度 = tan(障害物と観測点の標高差/障害物までの距離) [°]

例として挙げた図は全て地理院地図の画像です。
- 始点は、広島市の宇品島の南側の海岸傍の駐車スペース辺り。
 緯度は34°20'30.8”= 34.3°、0m
- 宇品島の南には江田島、その先に倉橋島がある。
- 最大の障害物は江田島のクマン岳(399.5m)で距離は8km
- 角度は tan(0.05) = 2.86°

3°- 2.86°= 0.14°でぎりぎり見えそうです。

(あくまで机上確認例なので、実際に宇品島から見えることを保証するものではありません。樹木や建物、灯台など灯火の影響で見えない可能性もあります。)

■補足
・カノープスは白色の星ですが、大気による散乱のため黄色や赤っぽい色に見えます。ですが大気の揺らぎで時には青や赤に明滅して信号灯の様に見えることもあります。他の星との位置関係や、地球の自転による位置の変化から判別する必要があります。写真に撮って位置を比較するのも手だと思います。

・記載した手順は、地球の丸みによる地形の沈み込み(球差)や、大気屈折による地形の浮き上がり(気差)や星の浮き上がり(天文大気差)は考慮していません。

ここに記載した手順の計算で、緯度やカノープスの角度がコンマ数度の差でぎりぎりアウトになった方はまだ可能性がありますので、諦めずに観測にチャレンジしてみてください。
ポイントは、より高く、より寒く、良く晴れた日を狙う、です。
- 標高が上がると、地平線はより遠く、そして低くなります。障害物も相対的に低くなります。星は光年単位の遥か遠方にあるので見える角度は変わりません。
- 気温が低く気圧が高い程、大気屈折は大きくなり、その分低い位置の星は持ち上がって見えます。(障害物や地平線も大気屈折で持ち上がって見えますが、星の光が大気中を通る距離は、その何十倍もあるので、より大きく屈折の影響を受けます。)


では、無事見えることを祈ります。


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