熱狂と怠惰

Kritaガイド@ Niconico 4.2 レイヤー

2016/08/07 22:00 投稿

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
tokiedian 作『Kritaガイド@niconico』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。

4.2 レイヤー

先に言ったようにレイヤーは画像に複数の「層」を持たせる機能であり、透明フィルムを重ねて画像を作るという例えをしました。その必要性については先ほどは人物と背景を分離して別個に編集できるという例を上げましたが、レイヤーが真に役に立つ理由は絵の様々な工程を分離しておくことができることにあります。

アナログで絵を描く場合でも最初から完成された絵を描画するわけではありません。まず下書きを行い、必要ならば絵の線を描き、色を塗って完成となります。また先にあげた例のように背景とその前にある静物・人物でこれらの作業が別個に行われることもあります。アナログの場合、下書きは本描きの際は消さざるを得ませんし、色を塗った後に線を直したり、背景の後にその前の静物・人物を修正しようとしたりすると大規模な修正が必要になることがあります。

レイヤーはこのような時に役立ちます。例えば、下書きをレイヤーに分離しておけば、どれだけ下書きを修正しても線画や色塗りに影響が出ることはありません。このように、別個に編集したいところで別個のレイヤーに分離することで編集時の手間を最小限にするできることにレイヤーの存在意義があると言えるでしょう。

4.2.1 レイヤーの基本操作

Kritaにおいてレイヤーの操作はレイヤードッキングパネルで行います。

レイヤードッキングパネルでは中央のビューに個々のレイヤープロパティとその重なる順番が表示されています。透明パネルとしてレイヤーを例えた例を用いると、それを横から見た模式図のような感じです。

各レイヤーの一番左側にはそのレイヤーの小さなプレビューが表示されています。4.1.1で説明したように、プレビューで表示されるのはそのレイヤーの描かれているものを全て表示できる最小の透過画像です。

ここで個々のレイヤーのプロパティを編集したり、レイヤー同士の関係性を編集したりすることになります。

4.2.1.1 選択

レイヤードッキングパネル上で左クリックしたレイヤーは選択状態になります。ビュー上でブラシでの描画等の編集は基本的に選択中のレイヤーに対して行われることになります。

また、Kritaではレイヤーを複数選択することができます。

操作ショートカット・その他からのアクセス
複数のレイヤーを選択
/レイヤーの選択を解除
Ctrl+左クリック
選択していたレイヤーとクリックしたレイヤーの間のレイヤーを全て選択Shift+左クリック

一部のレイヤーのプロパティの編集に関しては複数のレイヤーを選択していると一斉に編集が行える場合があります。複数のレイヤーを選択している際に、最後に選択したレイヤーを特にアクティブなレイヤーと呼び、ブラシでの描画等、一般の編集ではアクティブなレイヤーに対して編集が行われます。アクティブなレイヤーはレイヤードッキングパネル上でレイヤー名が大きく太字になっています。

またKritaではビューのキャンバス上から目的の描画物をクリックしてそのレイヤーを選択することが可能です。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーを選択R+左クリック
複数のレイヤーを選択
/選択されているレイヤーをアクティブなレイヤーにする
Shift+R+左クリック

この機能はキャンバス操作の一部であり、ショートカットの編集はキャンバス操作のショートカットの編集から行います。

4.2.1.2 右クリックメニュー

レイヤードッキングパネルで、選択中のレイヤーを右クリックすると上のようなポップアップメニューが表示されます。これはその選択中のレイヤーに対する操作の一覧であり、基本的にレイヤードッキングパネルでのレイヤーに対する編集はこの右クリックメニューを経由して行われることになります。

4.2.1.3 レイヤーの基本プロパティの編集

レイヤーの名前はそのレイヤーをダブルクリックすることで行えます。ダブルクリックした後に目的の名前に変更してエンターキーを押すと確定されます。

またレイヤー名前欄すぐ左にある目玉のアイコンを押すことでそのレイヤーの表示/非表示を切り替えることができます。目玉に黒目がある状態だとそのレイヤーが表示され、目玉に黒目がない状態だとそのレイヤーが表示されなくなります。これを用いればレイヤーを保持したまま表示されないようにしておくことができます。

またレイヤー名前欄すぐ右、南京錠のアイコンを押すことでそのレイヤーのロックの有無を切り替えることができます。南京錠が開いている状態だと非ロック状態、すなわちそのレイヤーに対し編集ができる状態となり、南京錠が閉じている状態だとロック状態、すなわちそのレイヤーに対してブラシでの描画等の編集を一切できない状態となります。これを用いれば、特定のレイヤーに間違って編集を加えてしまわないようにしておけます。

4.2.1.4 プロパティに関する複数のレイヤーへの一斉操作

右クリックメニューからアクセスできる操作の中には複数のレイヤーに対し一斉にプロパティを変更するものがあります。

このレイヤーのみを表示

対象のレイヤー以外の全レイヤーを非表示にします。そのレイヤーがどのような状態になっているかなどを確認できます。実際にレイヤーの表示非表示を切り替えているわけではなく、対象のレイヤー以外のレイヤーを選択すれば元に戻ります。

操作ショートカット・その他からのアクセス
このレイヤーのみを表示レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
選択

一定のプロパティ設定を持つレイヤーを一斉に選択します。一斉選択できるレイヤーの種類は

  • 全レイヤー
  • 表示レイヤー
  • 非表示レイヤー
  • ロックされたレイヤー
  • ロックされていないレイヤー

の5つです。

操作ショートカット・その他からのアクセス
選択レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
メニューバーの「レイヤー」メニューから

4.2.1.5 レイヤーの並び替え

レイヤードッキングパネル一番下にある矢印をクリックすることで、レイヤーの順番を上または下に一つずつ動かすことができます。複数のレイヤーを選択した状態ではそれらをまとめて一つづつ上または下に移動します。

また移動したいレイヤーをレイヤードッキングパネル内でドラッグ&ドロップしてもレイヤーを移動させることが可能です。

4.2.1.6 色ラベル

Kritaではレイヤーに色ラベルを付けることができます。色ラベルは右クリックメニューから目的のものを選べます。色ラベルを消したい時はバツ印をクリックするとそのレイヤーから色タグを外すことができます。

付けた色ラベルはレイヤーの分類に役立てることができます。すなわち、レイヤードッキングパネルの一番右上の漏斗のアイコンをクリックするとドロップダウンが表示され、そこでチェックを入れた色ラベルのレイヤーのみをレイヤードッキングパネルで表示しておくことができます。これはレイヤー数が多くなりすぎた際にレイヤーを分類して操作するのに便利な機能です。

4.2.2 レイヤーの合成

4.2.1.5ではレイヤーの並び替えについて説明を行いました。レイヤードッキングパネルで上にあるレイヤーほど手前に表示され、下にあるほど後ろに表示される…という理解は基本的に間違ってはいませんが、本質的に計算機であるコンピューターでは現実と少し異なる理屈が働いています。

4.2.2.1 レイヤーの合成モード

3.1.2で解説したように、コンピュータにおける画像はそれぞれに数値で色が定義されたピクセルの集合体として表現されています。先に示したようにレイヤーについてもこれは同様です。レイヤーを上に重ねるということは、ピクセル単位で考えれば下に元々あった色にそのレイヤーの色を混合していることを意味しています。混合の際にはそれぞれに数値で定義された色を計算して混合結果の色を出力することになります。

つまり、レイヤーに対しても混色のための計算方法、すなわち合成モードを定義する必要があるのです。

選択したレイヤーの合成モードはレイヤードッキングパネルの一番上に表示されており、クリックするとドロップダウンが表示されてそこから目的の合成モードへと変更が可能です。ブラシや描画色に対して同様、76種類の合成モードが使用可能であり、基本的なものとしては以下のものがあげられます。

合成モード説明
通常デフォルトの合成モードです。透過以外で下の色を基本的に考慮しません。レイヤーの合成モードはデフォルトでこれになっているので、レイヤーに関しては基本的にあまり合成モードを考える必要がなくなっています。
乗算色を重ねて暗くします。現実の水彩絵の具の塗り重ねのような効果を生みます。
加算色を混ぜ合わせた時、混ぜ合わせる前の元の色よりも明るい結果にします。ハイライトを付けたりするのに用いられます。

まず一番下のレイヤーに対してその一つ上のレイヤーが合成モードに従って合成されます。そしてその合成結果にさらにもう一つ上のレイヤーが合成モードに従って合成…を一番上のレイヤーまで順々に繰り返し、キャンバスによって画像の大きさが定義されることで最終的にKritaの画像は構成されます。

まとめて言うと、合成モードによってレイヤーが合成される先は、その直下までの全レイヤーの合成結果であることに注意が必要であるということです。

4.2.2.2 レイヤーの不透明度

描画色やブラシと同様、レイヤーに対しても不透明度を定義できます。選択したレイヤーの不透明度はレイヤードッキングパネルの合成モードのすぐ下に表示されており、スライダでその数値を調整することができます。

レイヤーの不透明度の操作はレイヤーの合成モードが「通常」である場合にかなり重要になってきます。逆にレイヤーを表示しない状態にしておきたい場合には不透明度の調整よりレイヤーの表示非表示をいじった方がいいでしょう。

4.2.2.3 アルファの継承とクリッピング

各レイヤーのロックアイコンの右隣の「α」のアイコンをクリックすると「アルファの継承」の有効無効を切り替えることができます。

これはそのレイヤーの各ピクセルのアルファの値をその直下までの全レイヤーの合成結果の各ピクセルのアルファの値と同じにするものです。つまり、これを有効にすると、下のレイヤーたちの透過領域に現在のレイヤー上で描画しようとしても、見た目上は全く描画が反映されなくなります(ただし実際には描画が行われています。表示されないだけです)

Kritaにおいては通常の「そのレイヤーの各ピクセルのアルファの値をその直下のレイヤーの各ピクセルのアルファの値と同じにする」レイヤークリッピングの代わりに、この「アルファを継承」機能が実装されています。後述しますが、グループレイヤーを併用することにより、アルファの継承でもクリッピングとほぼ全く同じことができるようになっています。

4.2.2.3 アルファのロック

各レイヤーの「アルファの継承」アイコンの右隣、一番左側にある市松模様のアイコンをクリックすると「アルファのロック」の有効無効を切り替えることができます。

これはそのレイヤーの各ピクセルのアルファの値を一切変更できないようにするものです。つまり、これを有効にすると、そのレイヤーの透過領域に描画しようとしても、描画が反映されなくなります(アルファの継承とは異なり、実際に描画が行われません)

これは、例えば色塗りがあらかた終わってその上にさらに色を追加したい時などに、塗った領域からはみ出さずに塗りたい場合などに便利な機能です。

4.2.3 レイヤーの編集

ここまではレイヤー個々への操作、それも破壊的な編集を行わない操作について解説してきました。これを踏まえ、ここからは具体的にレイヤー自体やレイヤー同士に対しある程度簡単には取り返しのつかない編集を行う操作について解説していきます。

4.2.3.1 レイヤーの新規作成

レイヤードッキングパネルの一番左下のプラスボタンを押すと現在選択しているレイヤーの直上(複数のレイヤーが選択されている場合にはアクティブなレイヤーの直上)に新しいレイヤーが作成されます。作成されたレイヤーにはX番目に作成されたことを示す「レイヤー X」という名前が自動で付けられます。

またKrita特有の機能として、レイヤーの枚数に上限がなく、ハードウェアが許す限り無限にレイヤーを追加することが可能です。普段からレイヤーの枚数上限に悩んでいる人にはKritaがおすすめかもしれません。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーの新規作成(ペイントレイヤー)レイヤードッキングパネルの一番左下のプラスアイコンボタン
Insert

4.2.3.2 レイヤーのプロパティ

レイヤードッキングパネルの一番下、「三」の字のアイコンをクリックすると、現在選択中のレイヤーのプロパティを表示するプロパティウィンドウが表示されます。

また右クリックメニューからも「プロパティ」からプロパティウィンドウを開くことができます。

プロパティウィンドウからは以下の設定にアクセスすることができます。

設定説明
名前そのレイヤーの名前を設定します。
不透明度そのレイヤーの不透明度を設定します。
合成モードそのレイヤーの合成モードを設定します。
色ラベルそのレイヤーの色タグを設定します。
プロパティ以下4つのプロパティの有効・無効を設定します。
表示そのレイヤーの表示の有効無効を切り替えます。
ロックそのレイヤーのロックの有効無効を切り替えます。
アルファを継承/クリッピングそのレイヤーのアルファ継承の有効無効を切り替えます。
アルファをロックそのレイヤーのアルファ継承の有効無効を切り替えます。
アクティブチャンネル画像のRGB成分+透過(アルファ)成分の表示非表示を設定します。
そのレイヤーの全ピクセルのRGB色のうち、青成分の表示の有効無効を切り替えます。
そのレイヤーの全ピクセルのRGB色のうち、緑成分の表示の有効無効を切り替えます。
そのレイヤーの全ピクセルのRGB色のうち、赤成分の表示の有効無効を切り替えます。
アルファそのレイヤーの全ピクセルの透過成分の表示の有効無効を切り替えます。

また複数のレイヤーを選択した状態でプロパティウィンドウを開くと

以下のような画面が表示されます。ここではプロパティ及びアクティブチャンネルの有効無効を選択した全レイヤーについて一斉に操作できるほか、名前と色ラベルについても横のチェックを入れると選択した全レイヤーについて一斉に編集でき(レイヤー名については基本名の後に番号がついて区別される)デフォルトでチェックが入っている不透明度と合成モードについても選択した全レイヤーに対して一斉編集が可能です。

4.2.3.3 レイヤーの複製

レイヤードッキングパネルの一番下にあるアイコンの内、重なった正方形のようなアイコンを押すと現在選択中のレイヤーの直上にそのレイヤーを複製したレイヤーが新たに生成されます。

複数のレイヤーを選択した状態ではそれらレイヤー全ての複製がそれらレイヤーの内で一番上にあるレイヤーの直上に生成されます。

右クリックメニューからも「レイヤー/マスクを複製」からレイヤーの複製を行えます。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーの複製レイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+J

4.2.3.4 レイヤーの削除

レイヤードッキングパネルの一番下にあるアイコンの内、一番右のゴミ箱のアイコンを押すと現在選択中のレイヤーを削除することができます。複数のレイヤーを選択するとそのレイヤー全てを一斉に削除することができます。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーの削除レイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Shift+Delete

4.2.3.5 レイヤーの統合

しかしレイヤーの枚数を減らしたいけどそのレイヤーに描いてあるものは損ないたくない場合にはレイヤーを単に削除という選択肢はあり得ません。そのような場合は以下の操作を用います。

下のレイヤーと統合

選択中のレイヤーをその直下のレイヤーに合成して一つのレイヤーにします。レイヤーの枚数だけを減らしたい場合には一番ポピュラーなやり方です。当然そのレイヤーに設定されていた合成モードに従って下のレイヤーに合成されますが、本来そのレイヤーの下にある全レイヤーの合成結果に対する合成モードであるため、直下のレイヤー以外に対しての合成モードによる効果が失われることがあります。

操作ショートカット・その他からのアクセス
下のレイヤーと統合レイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+E
画像を統合

全レイヤーを統合して一つのレイヤーにします。当然全てのレイヤーの合成モードも完全に反映されますが、レイヤー構造がすべて失われるため、レイヤーを減らす方法としてはほぼ最終手段と言っていいものでしょう。

操作ショートカット・その他からのアクセス
画像を統合レイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+Shift+E

4.2.3.7 レイヤーのコピー・切り取り・貼り付け

Kritaではレイヤーに対してもテキストの様にコピー・切り取り・貼り付けを行うことが可能です。

レイヤーのコピー

選択しているレイヤーをクリップボードにコピーします。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーのコピーレイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
レイヤーの切り取り

選択しているレイヤーをクリップボードにコピーしたうえで削除します。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーの切り取りレイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
レイヤーの貼り付け

クリップボードにある画像を現在選択中のレイヤーの直上に新規レイヤーとして貼り付けます。

操作ショートカット・その他からのアクセス
レイヤーの貼り付けレイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから

4.2.4 グループレイヤー

レイヤーの新規作成の項ではぼやかしましたが、実はKritaには複数の種類のレイヤーが備わっています。

これまで単に「レイヤー」と呼んできたのは正しくは「ペイントレイヤー」と呼ばれるものであり、レイヤードッキングパネルの一番左下のプラスアイコンを押すとペイントレイヤーが追加されますが、そのすぐ横にある小さな下矢印をクリックするとドロップダウンが表示され、複数のレイヤーとマスク(次の4.3で後述)から追加したいものを選択して追加できるようになっています。

ここではその複数の種類のレイヤーの内、グループレイヤーについて解説していきます。

グループレイヤーは端的に言うと「複数のレイヤーをまとめて一つのレイヤーの様に扱う」という機能を持つレイヤーです。自らの下位に複数のレイヤーを持つことができる一方、グループレイヤー自体には描画を行うことが出来ず、自分の下位のレイヤーを合成した結果がグループレイヤーの持つ画像となります。

グループレイヤーは複数のレイヤーをまとめて整理したい時や、まとめて編集を行いたい時に役に立ちます。

グループレイヤーはレイヤードッキングパネル上ではフォルダのアイコンで表されます。フォルダアイコンの下には小さな矢印があり、ここをクリックすることでグループレイヤー内に入っているレイヤーのレイヤードッキングパネル上での表示・非表示を切り替えることができます。

グループレイヤー内にレイヤーを入れたい場合は、ドロップアンドドラッグで入れるか、単にレイヤードッキングパネルの一番下の矢印アイコンをクリックして移動させるだけでも入れることができます。グループレイヤー内のレイヤーについても上下の順序があるため、必要に応じて順序を設定・変更しておく必要が出てきます。

グループレイヤーも基本的にはペイントレイヤーと同様のプロパティを持ちます。これらはプロパティウィンドウからも確認できるものです。

グループレイヤーを非表示にした場合はグループレイヤー下位のレイヤーを合成した結果が非表示になるので結果的にはグループレイヤーに含まれる全レイヤーが非表示になります。

グループレイヤーに対しアルファ継承を有効にすると、下位レイヤーの合成結果のアルファがグループレイヤーの下の全レイヤーの合成結果のアルファと同じになります。

4.2.4.1 グループレイヤーの合成モード

グループレイヤーの合成モードに関してはやや注意が必要です。

先ほど言ったように、グループレイヤーが持つ画像は自分の下位レイヤーを合成した結果です。これはグループレイヤーの下位レイヤーの合成モードはあくまでもそのグループレイヤーに含まれているレイヤーのなかで自分の下にあるレイヤーに対してのものであり、グループレイヤーの外にある全レイヤーに対しては一切影響を及ぼさないことを意味しています。

これを踏まえてグループレイヤーの機能をより正確に言いかえると「下位にレイヤーを複数持ち、そのレイヤーを下からそれらのレイヤーの合成モードに基づいて順々に合成していった結果を一つのレイヤーとして扱う」ということになります。

ただしグループレイヤーにはペイントレイヤーとは違い、「アルファをロック」の代わりに「透過(グループ内レイヤーの合成モード反映)」というプロパティがあります(「アルファをロック」は自分自身に対する描画を行えないグループレイヤーでは意味がない)これを有効にすると、グループレイヤー内のレイヤーを一度全部合成してから一つのレイヤーとして他のレイヤーと合成していくのではなく、グループレイヤー内のレイヤーもグループ外の普通のレイヤーと同様に

グループレイヤー直下のレイヤー←グループレイヤー内の一番下にあるレイヤー←…←グループレイヤー内の一番上にあるレイヤー←グループレイヤー直上にあるレイヤー

というように合成が行われるようになります。すなわち、グループレイヤー内のレイヤーの合成モードがグループレイヤー外のレイヤーにも影響を及ぼすようになり、同時にグループレイヤーの合成モードは何の意味も持たなくなり、グループレイヤーは単にレイヤーをまとめて分かりやすくするだけの機能になります。

4.2.4.2 グループレイヤーとアルファ継承を使ったクリッピング

ここでグループレイヤーとアルファ継承を組み合わせると面白いことができます。上で「グループレイヤー内にあるレイヤーの合成モードはグループレイヤー内のレイヤーに対してしか影響を及ぼさない」と説明しました。これはアルファ継承にも同様に言えることです。

つまり、グループレイヤー内の一番上のレイヤーについてアルファ継承を有効にすると、そのレイヤーのアルファ値をグループレイヤー内にあるその他のレイヤー全ての合成結果のアルファ値と同一にできます。グループレイヤー内に二つのレイヤーしかないならば、上のレイヤーのアルファ継承を有効にすれば、そのレイヤーのアルファ値を下のレイヤーのアルファ値と同一にでき、下のレイヤーへのクリッピングと全く同一のことができるのです。

このように、Kritaにクリッピング機能がないという意見は間違いで、グループレイヤーとアルファ継承を組み合わせることで基本的にクリッピングと全く同一のことができるようになっています。この方式は一つのレイヤーへとクリッピングを行う場合にはクリッピングより面倒くさい設定が必要となりますが、複数のレイヤーへとクリッピングを行う場合には普通のクリッピングよりむしろ手間が少なくなる側面をもっています。

4.2.4.3 クイックグループ・クイッククリッピンググループ

Kritaにはグループレイヤーの設置をより簡単に行える操作が備わっています。

クイックグループ

グループレイヤーを新たに作成し、選択しているレイヤー全てそこに入れます。手っ取り早いグループ化にはこれが一番便利です。

操作ショートカット・その他からのアクセス
クイックグループレイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+G
クイッククリッピンググループ

グループレイヤーを新たに作成し、選択しているレイヤーを全てそこに入れた上で、その上に「アルファ継承」が有効になった新規レイヤーを追加します。これは通常のペイントツールでいう所の「選択中のレイヤーへクリッピングするレイヤーを新規作成」と同一の操作に当たるもので、アルファ継承とグループレイヤーをより簡単にレイヤークリッピングに使用できるようになります。

操作ショートカット・その他からのアクセス
クイッククリッピンググループレイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+Shift+G
クイックグループ解除

グループレイヤーによるレイヤーのグループ化を解除します。グループレイヤーを選択した状態でこの操作を行うとグループレイヤーが削除され、中に入っていたレイヤーが外に出ます。グループレイヤー内のレイヤーを選択した状態だとそのレイヤーがグループ外に出、グループレイヤー内のレイヤーを全て選択した状態ではレイヤーがグループ外に出ると同時に全ての下位レイヤーを失ったグループレイヤーは削除されます。

操作ショートカット・その他からのアクセス
クイックグループ解除レイヤードッキングパネル下の複製ボタン
レイヤードッキングパネルの右クリックメニューから
Ctrl+Alt+G

4.2.5 その他の種類のレイヤー

ここまでペイントレイヤーとグループレイヤーについて解説してきました。この二種のレイヤーがKritaで重要性の高いレイヤーとなります。ですがKritaには他の特殊な種のレイヤーもあります。

4.2.5.1 複製レイヤー

新規追加時に選択中のレイヤーを複製します。これだけではペイントレイヤーによるレイヤーの複製とあまり変わらないように見えますが、複製レイヤーの真の機能は「常に複製元のレイヤーの複製となる」こと、すなわち複製元のレイヤーに何らかの編集がなされた時にそれに合わせてリアルタイムで更新がなされることにあります。

複製レイヤーに対しては描画は行えませんが、その他の編集については可能なものがあります。

複製レイヤーのプロパティウィンドウは以上のようになります。「アルファのロック」プロパティを持たない以外はペイントレイヤーと一緒です。複製元となるレイヤーを変更することは不可能です。

複製レイヤーは繰り返し模様の作成等でその力を発揮します。

4.2.5.2 ベクターレイヤー

Kritaはペイントツールですがベクターでの描画機能も持っています。ベクターレイヤーはそのベクターでの描画を行えるレイヤーです。詳しい解説はベクターの項で行います。

ベクターレイヤーのプロパティウィンドウは以上のようになります。「アルファのロック」プロパティを持たない以外はペイントレイヤーと一緒です。

4.2.5.3 フィルタレイヤー

その下にある全レイヤーにフィルタ効果をかけます。非表示状態ではそのフィルタ効果が無効になります。

新規作成時には使用するフィルタとその設定を行うウィンドウが表示され、その設定を完了するとフィルタレイヤーが設置されます。

通常のフィルタとは異なり、下のレイヤーに変更が加えられるとそれに対してもフィルタ効果がかけられたり、フィルタの設定を後から変更できたりします(所謂非破壊編集)詳しくはフィルタの項をご覧ください。

フィルタレイヤーのプロパティウィンドウは以上のようになります。通常のものとは全く異なり、フィルタの設定にアクセスすることになります。

4.2.5.4 塗りつぶしレイヤー

全面が単色あるいはパターンで塗りつぶされるレイヤーです。

新規作成時には塗りつぶしに使用する色もしくはパターンを選択するウィンドウが表示され、その設定を完了すると塗りつぶしレイヤーが設置されます。レイヤーに対する描画は行えませんが、その他の編集については可能なものもあります。

塗りつぶしレイヤーのプロパティウィンドウは以上のようになります。通常のものとは全く異なり、新規作成時と全く同一の塗りつぶしに使用するものの選択ウィンドウが表示されます。

用途としてはアルファ継承を有効にして線画等の色を変更する等が考えられます。

4.2.5.5 ファイル参照レイヤー

外部から画像を読み込んでそれを使用するレイヤーです。これだけでは単に画像をペイントレイヤーとして挿入するのと大差ないように見えますが、このレイヤーの特殊な点は参照している画像に何らかの変更が加えられた場合、ファイル参照レイヤーの画像もそれに合わせて即座に更新されるところにあります(複製レイヤーと似た機能を持つレイヤーと言えるでしょう)

新規作成時には使用する画像の選択と拡大縮小のオプションを設定するウィンドウが表示され、その設定を完了するとファイル参照レイヤーが設置されます。レイヤーに対する描画は行えませんが、その他の編集については可能なものもあります。

ファイル参照レイヤーのプロパティウィンドウは以上のようになります。「アルファのロック」プロパティを持たない以外はペイントレイヤーと一緒です。参照元の画像を変更することは不可能です。

用途としてはあとあとで変更される恐れがあるもの、例えば何かのロゴマーク等を挿入するのに使うといいかもしれません。

4.2.6 複数種のレイヤーを用いる操作

メニューバーからアクセスできる機能の中には複数種のレイヤーを使用するような高度な操作が存在します。

4.2.6.1 レイヤーの分割

選択しているレイヤー(複数のレイヤーを選択している状態ではアクティブなレイヤー)に対し、それを色ごとに分割した複数のレイヤーを生成します。元のレイヤーは操作後もそのまま残ることに注意が必要です。

実行すると以下のようなウィンドウが表示されるので、そこで設定を行ってOKを押して実行するとレイヤーが生成されます。

オプション説明
新しいレイヤーを全て1つのグループレイヤーに入れる有効にするとこの操作によって生成されるレイヤーたちを収納するグループレイヤーを生成します。
各レイヤーをそれぞれ独立したグループレイヤーに入れる有効にするとこの操作によって生成されるレイヤーたちをそれぞれ一つづつ収納するグループレイヤーを生成します。上のオプションを有効にした状態でこのオプションを有効にすると、グループレイヤーの中にそれぞれのレイヤーを一つずつ収めたグループレイヤーが収納されるという入れ子状状態になります。
全ての新しいレイヤーのアルファをロック有効にするとこの操作によって生成されるレイヤーたち全ての「アルファをロック」を有効にします。
オリジナルのレイヤーを表示しない分割元のレイヤーは操作後もそのまま残っていますが、このオプションを有効にするとその分割元のレイヤーを操作後に非表示にするようにします。繰り返しますが分割元のレイヤー自体が削除されることはありません。
非透過のピクセルの量でレイヤーを並び替える有効にするとこの操作によって生成されるレイヤーを何か描かれている範囲の総面積に応じて並べ替えます。
不透明度を無視有効にするとアルファの値も色ごとの分割の際に考慮します。
あいまいさ色ごとの分割の際の境界のあいまいさを決定します。この値が小さすぎると境界の色の遷移部で無駄にレイヤーが分割され、大きすぎるとうまく分割がなされません。

4.2.6.2 敷き詰め複製

選択しているレイヤーに対し指定した数の複製レイヤーを作り、隙間なく敷き詰めます。テクスチャの敷き詰め等に使用できます。

実行すると以下のようなウィンドウが表示されるので、そこで設定を行ってOKを押して実行するとレイヤーが生成されます。

オプション説明
欄数縦方向にどれだけ複製レイヤーを並べるかを設定します。
列数横方向にどれだけ複製レイヤーを並べるかを設定します。
-要素マイナス方向に何列レイヤーを並べるかを設定します。
+要素プラス方向に何列レイヤーを並べるかを設定します。
Xオフセットレイヤーを並べ始める位置をX座標についてどれだけずらすかを設定します。
Yオフセットレイヤーを並べ始める位置をY座標についてどれだけずらすかを設定します。
距離レイヤー同士の距離をどれだけ開けるかを設定します。
角度レイヤーをどの方向に向けて並べていくかを設定します。

4.2.6.3 画像をチャンネルごとに分離

レイヤーに対し、それを各色チャンネルごとに分離した複数のレイヤーを生成します。レイヤーの分割同様、生成されるレイヤーの基になるレイヤー自体は操作後もそのままであることに注意です。

サンドボックスサンドボックス
色のソース現在のレイヤー選択中のレイヤーからそれを各色チャンネルごとに分離した複数のレイヤーを生成します。
分離する前にすべてのレイヤーを統合画像の全レイヤーを一つのレイヤーに統合し、それからそれを各色チャンネルごとに分離した複数のレイヤーを生成します。当然画像自体に大きな変更が加わるので注意が必要です。
アルファチャンネルのオプションアルファチャンネルを分離された各チャンネルにアルファチャンネルとしてコピー元のレイヤーのアルファチャンネルを各色チャンネルごとのレイヤーにも反映させます。
アルファチャンネルを破棄元のレイヤーのアルファチャンネルを各色チャンネルごとのレイヤーには反映させず、元のレイヤーでの透過部分は黒で塗りつぶします。
アルファチャンネルから独立したアルファチャンネルを作成元のレイヤーのアルファチャンネルを第4の色チャンネルとしてさらに別個のレイヤーに分離し、各色チャンネルごとのレイヤーについては元のレイヤーでの透過部分を黒で塗りつぶします。
分離する前に8ビットに縮小画像の色空間が8ビットより深い色深度だった場合にこれを8ビット深度に変換してから色チャンネルへの分離を行います。
グレースケールではなく色に出力通常は各色チャンネルはそれぞれその強度を表すグレースケール画像に分離されますが、これを有効にするとそれぞれの色として分離されます。

4.2.7 レイヤースタイル

KritaにはPhotoshop準拠のレイヤースタイル機能が実装されています。操作についてもほぼすべてPhotoshopのそれに準拠しています。


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