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【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第2話「ショウの始まりは突然」

2020/06/09 18:00 投稿

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展覧会当日は人混みで溢れていた。
小中学生や家族連れ、時にはカップルや老夫妻が訪れて、私たちの作品を眺める。

展示されている作品は学科によって様々で、3DCGアニメーションの映像作品や、
実際の雑誌を研究して制作したファッション雑誌やキャラクターデザイン集など。
個性豊かでもあり、自分の趣味を追求した作品たちで展覧会は溢れていた。

私の作品は油絵具で描いた画集だった。

自宅で育てているマリーゴールドや紫のアネモネの花々、公園で笑って遊ぶ親子の姿。
港で働く漁師たちの勇ましい光景、どこまでも続く広大な草原の風景。

元々私は風景画を描くのが好きで、土日休みなんかはスケッチブックを抱えて、
自転車に乗って隣町から田舎の祖父母の自宅まで出かけては模写したりなんかしていた。
特に祖父母の自宅の近くにある畑や山脈地帯は絶景で、小さい頃はよく両親とハイキングに行っては、森林の自然や小動物と触れ合った事は、今でも忘れられない思い出だ。

そんな思い出の数々を絵に描いた私の作品だったが、何の面白味もない模写なんかに興味や関心を持つ人はおらず、アニメや漫画、ゲーム等の非現実的な作品に人々は魅了されるばかりで、会場の隅っこに展示されている私の作品には誰も見向きもしなかった。

考え方や観点は人それぞれであるため、数ある作品の中からどれに興味を示すか。
何を見て何を感じ取るのか、それは自由なのでとやかく言うつもりは無いのだが、
誰一人として自分の作品に興味を持たず、見向きもされないのは耐え難い状況で、
すっかり私は自分に芽生えた淡い夢を諦めかけていた。

展示会が終わる1時間前となり、そろそろ作品を片付けようと私は身支度を始める。
結局、夢は夢のままが良いのだろう。
そんな事を思っていたその時だった。

ある一人の男が私の作品の前で立ち止まり、しばらく眺めた後にこう言った。

「うちで絵を描いてみないかね?」

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