日本シーレーン問題研究会

「日本の生命線」シーレーン(海上交通路/SLOCs)講座 第23回

2013/10/20 22:55 投稿

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ボルキア国王と中国の共同出資??
現在、中国が資金援助をしているであろうフィリピン内外の反政府勢力の多くが、「イスラミック・マラユ連邦の建国」を目指すボルキア国王の「出資先」と重なっている事を知って、それでもなお、これが単なる偶然の一致だと考える人はあまりいないだろう。その「出資先」の一つは、例えば1969年に毛沢東主義の一派によって組織された比・新人民軍である。

新人民軍は、69年から76年にかけて中国共産党から物理的支援を受けていたが、その後は一切のサポートを失ったとされていた。新人民軍は近年、中国とフィリピンの間にある領土問題に関し、北京とを非難するような声明をも出しているし、2011年には中国共産党自身が、「もはや比新人民軍を支援していない」と発表しているが、その実態はよく判らない。

実際、新人民軍は、弱体化したイスラム主義ゲリラ組織「アブ・サヤフ」を見限り、より活発で過激なモロ民族解放戦線(MNLF)と活動しているが、MNLFのリーダーは、ブルネイのボルキア国王から資金援助を受けているといわれている。そのボルキア国王が、最近は中国と極めて親しいのであるから、関係が完全に切れたとは言い難い状況なのだ。

頻発するイスラム過激派の攻勢
2013年2月、約400名のフィリピン系イスラム武装勢力が突如、マレーシアのサバ州沿岸部に上陸した。この組織は「スールー王国軍」と名乗り、かつてスールー諸島(ミンダナオ島とサバ州の間に広がる群島)を治めていたスールー王国のスルターンの末裔である「ジャマルル・キラム三世」に率いられていた。彼らは、海岸付近の村を占拠して村人らを人質に取り、「旧王国の承認とサバ州の返還」を主張した。

この武装組織は、約3週間の間、時に散発的な戦闘を行いながらマレーシア国家警察、軍などと対峙したが、3月に入ってついにマレーシア政府は、空軍のF18戦闘機による空爆を行い、総攻撃を行った。その結果、ゲリラ部隊は一気に崩壊し、キラム三世は4月から5月までには、元々の居住地であるマニラに戻っている。

そんな血なまぐさい事件がようやく収まったと思っていたら、今度はフィリピンのミンダナオ島で大事件が起こった。9月9日、ミンダナオ島周辺で活動していたイスラム過激派「モロ民族解放戦線(MNLF)」が、サンボアンガ市に突如上陸し、町の一部を占拠したのである。

これに対し、フィリピンのアキノ大統領は、自ら現地に入って自ら国軍部隊を指揮して徹底的な鎮圧を試みたが、この戦いは、意外と長期間に及んだ。なぜなら、ゲリラ部隊はどうやら、事前にサンボアンガ市内に「武器庫」を構築しており、市民の中のシンパから一定量の武器弾薬や食糧の「補給」を受けていたらしいのである。

結局、戦闘は約一ヶ月続いた後に、ほとんどのゲリラ兵士が殺害されるか、逮捕され、または逃亡してこの戦いは幕を下ろしたが、フィリピン政府にしてみれば、これだけの戦闘力を持った組織が動き出した事は、大いなる衝撃であったに違いない。その他、9月23日には、「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)という別のイスラム・テロ組織が、北コタバルの村を100名以上の武装集団が襲撃するという事件も起きている。

ボルキア国王の「夢」を潰しにかかる石油メジャー
これら一連の事件は、これまで欧米系の石油メジャーにやりたい放題され、完全なる支配を受けて来たボルキア国王が、ついに自らの夢を実現しようとした結果である可能性は強い。こんなボルキア国王の「夢」には、当然背後で中国の力が働いているであろうが、しかしこの動きは地域に混乱をもたらしかねず、英米がそれを危険視するのは当然である。

すると、前述の様々なボルキア国王に対する様々なスキャンダル報道は、石油メジャーの支配から脱却し、民主主義を核としたイスラミック・マラユ連邦を夢見るボルキアを牽制したい英米側から「意図的に」リークされるものと見て間違いないであろうし、事件化したその多くは、メジャーによるマッチポンプでさえあるだろう。

つまりこれは、欧米の権益や影響力を引き続き維持するため、高福祉国家ブルネイにおけるボルキア国王の「絶対君主」としての権威だけは維持しつつも、これ以上周辺イスラム住民の期待を増大させないために仕組まれた高度な情報操作とでも言うべきだ。これに散々苦しめられて来たボルキア国王は、しかしすでにその事に気付き始めている。

もし、イスラミック・マラユ連邦構想によってこの地域が不安定化すれば、「スルターンの先祖は中国人だった」と主張する中国は一気に進出して来るだろう。さすれば、ロンボク海峡からスールー諸島、ミンダナオ島南部を通過して日本に石油を運ぶ商船隊の安全航行さえ怪しくなるのは時間の問題だ。

このブルネイ国王の「夢」が、我が国の経済的安全保障に大変な支障を来す可能性があるという事を日本政府はもっと強く認識し、この地域の安定を維持するための具体的な政策を直ちに検討し、実行すべきである。

(続く)

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