日本シーレーン問題研究会

「日本の生命線」シーレーン(海上交通路/SCOCs)講座 第17回

2013/10/12 22:57 投稿

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かつてはアメリカの「同盟国」だったイラン
アメリカとイギリスの支援によって民族主義者であったモサッデク首相を追放し、権力を掌握したパーレビ国王は、当然の事ながら、極めて「親欧米的」な政策を採用した。石油の収入を利用しつつ、日本の開発モデルを見習い、欧米企業を受け容れる事によって開発独裁を推進して行く。実は、国王が留学したスイスの学校の同級生には、後にCIA長官となるリチャード・ヘルムスがいるなど、子供の頃からこういった欧米エリートたちの中で育っていたから、彼が親欧米的になるのはある意味で当然の事であった。

国王は一方では、CIAの支援を受けて設立された秘密警察「SAVAK(サヴァック)」を活用して国民を徹底的に監視し、その発言を封じこめると共に、自らは贅沢三昧な生活をするようになった。映画『アルゴ』に描かれているのは、フランスの超音速機「コンコルド」でパリから昼食を運ばせたり、牛乳で体を洗う妻の姿である。

放蕩の限りを尽したようなパーレビ国王は、一方で極めて教養のある人物でもあり、英語やフランス語を流暢に話すので、各国のメディアにも注目されたし、自らF14戦闘機を操縦したりもしている。しかし、オイルショック後の石油価格の安定で経済破綻し、そこでこれまで押さえつけて来た国民の政治に対する不満が爆発した。

デモが多発し、戒厳令を敷いても国民の反撥を押さえる事の出来なかったパーレビ国王は、1979年1月16日、自らボーイング機を操縦してエジプトに亡命。その2週間後、イスラム教の指導者ホメイニ師がイランに帰国し、イスラム革命評議会を設立して、新たにテヘラン大学工学部の学部長でもあったメフディー・バーザルガーンを首相に任命した(イラン革命)。このバーザルガーン首相という人もまた、実に卓越した思想家であったのだが、こうして見ると、イランという国の指導者層の人材の豊富さに驚かされる。

日本の石油の約12%がイラン産
さて、出光佐三の活躍によって始まったイランからの対日石油供給であるが、現在では、日本国内で消費されている石油の約12%はイラン産となっている。つまり、今の日本にとって、エネルギー安全保障上の観点からも、イランとの友好関係は極めて重要なのである。長らくアメリカから「悪の枢軸」などと呼ばれ、制裁対象となって来たため、日本とイランの関係は綱渡り状態である事が多かった。例えば今年(2013年)6月には、三菱東京UFJ銀行が、アメリカの制裁対象国であるイラン他との間で、ニューヨーク州経由で1000億ドル(約9兆8千億円)規模の取引を行ったとして、同州に対して2億5000万ドル(約2,450億円)もの和解金を支払うことになっている。

そんなイランではあるが、ここに来て改革派のロウハニ大統領が登場し、アメリカとの関係改善を一気に進めている。もちろん、オバマ大統領以下、ホワイトハウスの面々も相当に前向きなようだ。こんなホワイトハウスの意気込みと、それに反対する勢力の戦いは、最近公開された映画『ホワイトハウス・ダウン』を見ても明らかだろう。

去年までは、モサッデク首相のあとに権力を握ったパーレビ国王の「贅沢三昧」を指摘しつつも、最終的にはイラン人を怪物か悪魔のように描いた映画『アルゴ』のような見方が主流であったが、今では「イランとの関係改善を果たし、言いがかりをつけて戦争をしたがる軍事産業に立ち向かう黒人大統領」と、彼を守ろうとする「落ちこぼれ警護官」が主人公の『ホワイトハウス・ダウン』が人気、というわけだ。こんな映画が出来るという事は、そこにオバマ政権の思いが相当入っていると見るべきだろう。

個人的には、こんなオバマ大統領とロウハニ大統領の急接近が、中東における長年の戦争や緊張を終わらせる歴史的な転換になるものと信じたいが、しかし一方で、こんなアメリカとイランの接近を嫌い、アメリカの中東に対する引き続きの積極関与と「イラン封じ込め」を願う勢力が様々な工作を仕掛けようとしており、現在進行中の二国間外交交渉は、この先どうなるのかまったく予測がつかない。

もし、この反対勢力が優位に立ち、それがイラン国内の保守強硬派とされる人たちの怒りを買えば、アメリカとイランの歴史的接近は「ご破算」となり、イランならびに中東情勢は再び過去の混乱に引き戻されてしまうだろう。

韓流ブームに沸くイラン
さて、国際政治の事はさておき、最近はイランでも「韓流ブーム」が起きているらしい。多くの人が、テレビから濁流のように流される韓流ドラマを視聴しており、その結果、「韓国はとても格好良くて礼儀正しくて素晴らしい国」というイメージが多くの国民に定着しつつあるのだ。日本がアメリカの言いなりになって、これまでの信頼関係を忘れたフリをしている間に、イランは我々のお隣・韓国のファンになりつつあるわけだ。

コンテンツを大量に流出させ、諸外国を「韓国ファン」にさせるというのは、ここしばらくの韓国政府の推進して来た重要政策であるが、かつては『おしん』を見て泣いていたイラン人が、今や韓流ドラマで『オールイン』されてしまっているかと思うと、とても残念な気がする。

とはいえ、日本に対する評価や感情は引き続き極めて良好だから、日本はここで再び、過去の日本とイランの関係を見直し、この国が国際社会にきっちりと復帰出来るように支援すると共に、草の根の交流を含めた独特の緊密な関係を維持して行くべきである。

(続く)

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