オーストラリアのメルボルンを拠点にスタイリッシュな自転車用アクセサリを製作している企業『knog(ノグ)』。1年9ヶ月ほど前にknog社製ライト『BLINDER MOB EYEBALLER』を購入しましたがそこで疑問に思ったのが「あれ?明るさの表示はルーメン値だけどライトの性能ってカンデラのほうが重要じゃね?」ということ。そこで今回は当該ライトのカンデラ値を計算によって求めてみました。
knog(ノグ)BLINDER MOB EYEBALLERとは
まず初めに、自転車用ライト『BLINDER MOB EYEBALLER』について紹介します。僕はこれを2017年2月下旬にamazonにて3980円で購入し、愛車『CAAD OPTIMO DISC』に装着しています。使用してみた感想としては明るさ、電池の持ち、着脱の容易さ等自分の使用方法では十分な性能を発揮してくれています。ルックスもイケメンだ。
また、BLINDER MOBシリーズには他にも照射角が異なる3つのライトが同じシリーズの商品として発売されており、EYEBALLERはその中で最も照射角の狭いモデルです。
そもそもルーメン、カンデラとは
光学において光の量を表す単位であるルーメン(単位㏐)とカンデラ(単位㏅)というのはそれぞれの定義やお互いの関係がとても分かりにくいので、ものすごく乱暴に表現してしまうと- ある一定の範囲に放射される光の量がカンデラ
- ルーメンは使用する光源(LEDなり白熱電球なり)から全方向に出る光のうち、一定の範囲に放出する光の量(を用いて表された光源の明るさ)
なのでルーメン値の高くない光源でもその光をミラーなりレンズなりで狭い範囲に集めて照射すればカンデラ値は高くなる、ということです。
では本題へ
それではカンデラ値を計算していきましょう。先に述べたようにカンデラ値とはある範囲に向けて放射された光の量です。その「ある範囲」は「ステラジアン」という角度の単位によって表されるのですが、簡単に言うと1ステラジアンは「半径rの球面上に取った面積r^2(上付き文字使えないのかな)の部分と球面の中心によって作られた立体の頂点の尖り具合」であり、その立体の球面部分の面積によって表されます。詳しくはwikipediaを参照のこと。
そしてルーメンとは「1カンデラの光源が1ステラジアンの範囲に放射する光の量」なのでライトから放たれた光の広がり具合の角度(照射角)とライトに使われている光源のルーメン値がわかればカンデラ値が計算できるんですね。
本来ならここでライトの照射角を照射された面の大きさやライトとの距離から三角関数なんかを使って計算で求める流れになるのですが、幸いなことにBLINDER MOBシリーズのライトは照射角がスペックとして表示されています。手間がひとつ減りました。EYEBALLERの照射角は15°です。それを使ってステラジアンの値つまり前述の「その立体の球面部分の面積」を求めます。
同じく光源のルーメン値も最大で80ルーメンと表示されていますので、あとはこの数値を公式に代入してやればカンデラ値が出てきます。
では実際にやってみましょう。
平面角を用いた立体角の求め方は以下のウェブサイトにアクセスして調べました。
立体角 - KobaWiki - 中村研究室 - 東京工業大学(http://be.nucl.ap.titech.ac.jp/~koba/cgi-bin/moin.cgi/立体角)
それによると照射角15°(0.26ラジアン)のライトの場合、光束の成す立体角は
2π{1-cos(15°/2)}=0.054
で、ルーメンの値はカンデラ値とステラジアン値の積なのでカンデラ値を求めるためにルーメン値をステラジアン値で割ると
80÷0.054=1481
となります。
つまりBLINDER MOB EYEBALLERの光度は1481カンデラなのです。これは10m先を約14.8ルクスの明るさで照らすことのできる光度です(多分)。
それってどのくらい明るいの
道路交通法や条例では多くの場合「前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる光度」を有するものが軽車両の前照灯として認められるようです。これはJIS規格によると光度値として400カンデラ以上あれば良いとされているそうです。当該ライトの光度値はこの条件をクリアしており、自転車の前照灯として法的に使用できることになります。
以上、今回はライトのルーメン値と照射角からカンデラ値を求めてみました。光学に関しては素人なので間違っている部分などございましたら指摘してやってください。
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