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【映画】シン・ゴジラ【ネタバレ感想】

2016/07/30 13:37 投稿

コメント:40

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※エンディングまでの完全にネタバレ記事となりますので、必ず鑑賞後にご一読ください。




こんにちは。
思い出した時にしかブログを書かないもので、久しぶりの投稿です。
というわけで観てきました、
シン・ゴジラ
日本オタク四天王と謳われる(庵野モヨコ調べ)『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督作品です。

上映時間119分、終始震えっぱなし、泣きっぱなしの映画でした。
ギャレス・エドワード監督が手掛けたレジェンダリー版ゴジラが『平成VSシリーズ』の系譜の作品とするなら、
今作は1作目『ゴジラ』を系譜とした作品?
日本屈指の特撮オタク庵野秀明がゴジラという最高のオモチャを与えられ全力で遊び倒す所を
「えっ!そのオモチャでそんな遊び方しちゃうの!?」と仰天し続けた映画です。





先ず冒頭、現代版東宝ロゴを表示した後
ゴジラの足音と共にわざわざ過去の東宝ロゴを表示、続いてゴジラの咆哮と共にタイトルロゴと、
当時の『ゴジラ(1954)』と全く同じ始まり方に全日本の特撮ファンはニヤリとしたことでしょう。
その後に東京湾で無人の遭難船を発見する流れはどちらかというと『ゴジラ(1984)』か?
単体作品としても面白い作品となっていますが、歴代作品へのオマージュもふんだんに盛り込まれています。

そしてこれら過去作品への経緯と同時に、庵野監督は自分の持ち味を最大限に生かしています。

歴代のゴジラ作品は概ね「ゴジラ」「国家」「民間」の3つの視点を交えて描かれています。
歴代作品では国家がゴジラを概ね敵とみなし戦う一方で、必ずと言っていいほど民間代表の主人公が存在していました。
時には脅威として、時にはひとつの守るべき生命として、国家とは違う視点でゴジラと接し、
多角的にゴジラ描く材料として動くよう描かれ、ゴジラもそれに応えるようにいろんな表情を見せてくれました。

ところが、今作『シン・ゴジラ』ではそんな「民間」の視点を完全にオミット!
ついでに言うとゴジラの内情描写も完全にオミット!
ひたすら「国家」がゴジラという脅威に立ち向かう様のみを描き切りました。



これは賛否が分かれる点でしょう。
ですが個人的には、今回のゴジラは徹底して過去の日本で起こった地震、津波といった
「災害」の具現化した存在として描かれているように感じました。云わば国家・民間総意の脅威そのもの。
日本VSゴジラを描く適解だと自分は捉えました。もともと庵野監督はアニメーター時代から人間を描くのが苦手でしたしね(笑)。

実際、本作におけるゴジラは徹底して「日本が乗り越えるべき敵」として描かれていました。
その描写のひとつひとつに終始絶望感が漂い、どうやって倒せばいいんだ‥‥と途方に暮れっぱなしで、
震災を目の当たりにしたあの時の感覚が蘇るようでした。



特に夜の東京侵攻時の熱線は圧巻!赤い炎の濁流が都市を飲み込み大規模火災を巻き起こしたかと思ったら、
(この時のSEが当時の放射熱線と同じでそこも鳥肌)
どんどん炎が収束していってバーナー化し、紫のレーザーに!



巨神兵!?
挙句は背びれからも熱線を放射し、一定距離内の敵を自動排除する完全生物に。



ラミエル!?

過去作をオマージュするところはして、自分の趣味も前面に出してくる。
ここらへんのバランス感覚は、『スターウォーズ・エピソード7』を見ている感覚にも似ていました。
監督の演出の引き出しが少ないと、そう捉える人もいるかもしれませんが。

本作のゴジラやビル破壊は着ぐるみ・ミニチュアではなくフルCGで描かれていますが、
日本の少ない予算で作られたディテールの足りないCGでも、庵野監督の綿密な破壊描写の考証から成る演出で
違和感なく見れたと思います。その中で上記のレーザー描写や在来線爆弾といったアニメ的な演出もありましたが、
それもまた持ち味、と捉えています。



持ち味と言えば、作戦会議にて突如流れ出した「デン‥‥デン‥‥デン‥‥デン‥‥デンデン♪」
ええ流すと思ってましたよエヴァの楽曲。
『ヱヴァ:破・Q』でも過去作品の楽曲を使っていましたから予測はしていましたが、これも賛否でしょうね。
個人的には本作の数少ないギャグと受け止め、フフッと笑ってしまいましたが。
でも状況が進行するにつれBGMにもアレンジがかかっていき、不自然に思えた作戦会議のテーマが
不思議と画面に馴染んでいったようにも感じました。
あとは、『Q』でDSSチョーカーの説明をする時の曲も夜の東京振興の後に流れてましたね。






正直、自分はこの『シン・ゴジラ』に対して全く期待を持っていませんでした。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公開後の折に鬱病に伏して大変な思いをしていた庵野監督。
3.11という時節もあり同情せざるをえませんでしたが、反面、それを置いたとしても
『Q』という作品には、個人的に満足とは決して言えない多くの不満が残りました。
そして完結編の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:Ⅱ
の制作を放棄し、
『シン・エヴァ』の名を冠した『シン・ゴジラ』を制作する。
せっかくのゴジラの新作なのに、庵野監督の個人事情まみれの作品、という印象が拭えませんでした。



『シン・ゴジラ』鑑賞後、悔しいことに印象は一変しました。
今までの作品のような縮小再生産性を感じない、完璧な新しいゴジラ映画でした。
災害に打ちひしがれた絶望と、災害に立ち向かえる希望を思い出させてくれたような。
監督が『ヱヴァ:Q』制作時には胸に詰まってまとまらなかった思いを
全部吐き出せたのかなと。そう思える作品でした。






<<追記1>>
シン・ゴジラ制作時、民間視点のドラマを入れろって意見を突っぱねて今作のスタンスを貫いた
という逸話をどこかで聞きましたが、それは正解だったと思います。
なぜなら、日本人は既に現実の災害を経験しているから。
わざわざ虚構のドラマで取り繕わずとも全ての日本人の胸の中に、現実の災害が刻まれている。
ゴジラを虚構の災害として描いている今作ではもう必要なかった。
全ての日本人が現実に抱いた災害への思いVS虚構の災害・ゴジラ。だからキャッチフレーズは
「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)。」だったのではないでしょうか。




<<追記2>>
「牧元教授=ゴジラ」って説、なかなか面白いですね。
ゴジラを葬る為に海に沈んだ芹沢、ゴジラを生む為に海に沈んだ牧、と対比にもなる。面白い。
調べたら色々と仮説が出てきて刺激になります。



この夏は、怪獣の王の蹂躙をたっぷりと楽しませてもらいます。ありがとうございました。


P.S.監督の持ち味を活かしているというのなら、ゴジラファイナルウォーズも‥‥いややめとこう。

コメント

Georva
No.38 (2016/08/01 00:53)
4DXより帰還。件のeva曲が使われた会議シーン、シートがティンパニに合わせてリズム刻んでたのがウケタw
HHEMNM
No.39 (2016/08/01 02:04)
新幹線を耐えたワイ、在来線で無事死亡
あんなん卑怯や

あれ、初代&'84ゴジラにやられた電車たちの復讐・・・なわけないか。
ToMY
No.40 (2016/08/01 02:09)
作品内容を抜きにしても個人的には庵野秀明を監督にして正解だったと思う。
そもそも今作最大のポイントは、カッコ良さなどそこにはなく、ただ畏怖の対象であった62年前の『初代ゴジラ』の衝撃に近づくことだったはず。

つまり、ほとんどの全ての観客は怖いゴジラを知らず、ヒロイックで格好良いイメージをゴジラにもっているわけで、そうなるともう徹底的にゴジラのイメージを破壊していくしかそこに辿り着く術はないはず。シンゴジより遥かにCGの出来が良かったギャレゴジですら怖さ、衝撃は全くと言っていいほどなかったわけだし。

そして、今作はその点において上手くいっていると個人的には思っている。
そのインパクトの強さから人に語りたくなる映画としてクチコミには最適だし、(噂によると)13億円というギャレゴジの1/10以下の予算で作られた映画でも人々の感情を揺り動かせる特撮映画がこの国でも作れるということも証明した。

なにより、監督が庵野だと仮にクソ映画だったとしても「日本のゴジラはダメだな」というより「庵野が悪い」という方向に持っていけるという利点がある。
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