それから数年間、少年は盗賊の元で修行し、立派な盗賊になった。
「ここまでくれば、もう充分だろう。あとは、お前の好きにするがいい」
盗賊の親分にそう言われて、盗賊となった少年は、再び旅に出ることにした。
その時に持って出たのは、数日分の食料と、ナイフとランプとセーターだった。ナイフは家を出る時に母親から渡された物で、サビを落とし、刃を研いで、立派に使えるようになっていた。ランプの方も母親から渡された物で、ピカピカに磨かれ、油も補充されていた。セーターは、もちろん、あの羊のセーターだ。
盗賊としての能力を磨いた少年は、冒険者となり、世界各地を旅して回った。数々の危険な目にも遭ったが、ギリギリの所で常に危機を脱した。あのナイフは身を守るのに役に立ったし、ランプはどんな暗闇でも照らしてくれ、羊のセーターのおかげで極寒の地にも耐えた。
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