蓮池 レオンのブロマガ

リアルの波  毒沼をわたれ

2005/12/22 00:00 投稿

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何でもかんでも、リアルにすれば良いというものではない。
だけれど、この時代の流れはどうだろう。
『X-メン』『スパイダーマン』『ハルク』に始まり、『デアデビル』『シン・シティ』『コンスタンティン』 などに代表されるアメコミのリアル化。
映像技術が進化したゆえの、『リアルの波』である。

たしかにリアルな映像は素晴らしい。
だけれど、リアル化は一歩間違えれば、大変なことになることも思い出さねばならない。
『ストリートファイター』の実写映画を思い出して欲しい。
ただの壮大なコスプレパーティである。
(ザンギエフだけは、賞賛に値するほど忠実に再現)
『北斗の拳』実写版、『北斗の拳 FIST OF THE NORTH STAR 』を思い出して欲しい。
極め付けである。 あれが間違った進化の最終形態である。

「ケンシーロ、ケンシーロ!」

カタコトで呼ばれるケンシロウ。その胸には、7つのピップエレキバン……。

ハサウェイ「やっちゃいけなかったんだよ!」

その通りだよハサウェイ。
とにかく、リアル化は、死と隣りあわせだということを忘れてはならない。
そんな『リアルの波』が、僕らのところにもやってきた。

「なあ、『リアルドラクエ』やろうぜ?」

ダメ、それだけはダメ。 ……なんて浅ましい。
僕の友人には、おかしな人間がいる。 彼の発言だ。

「よし、決まりだ。ムフー、腕が鳴るぜ!」

もう一人の友人が波に乗った。
彼も、頭がすこし、その……。

「ジャンケンだぜ、ツインモンキーども。負けた奴が『リアルドラクエ』だ。 罰ゲームだ。 いいな」

そんな致命的に市民権を獲得できそうにもないゲームなんてしたくなかった。

でも、彼らは言い出したら聞かないし、ジャンケンなら好都合だ。
僕はジャンケンキング。 得意。 負けなし。

『じゃ~んけ~ん』

ホイヤっ!
友人1 ・・・パー
友人2 ・・・パー
僕(右)・・・グー
僕(左)・・・グー

両手負けた。 だが、いや、しかし。

(ここから僕の逆転劇が始まる!)


「笑止! そんなもんで!」

拳が光る。

「俺のォ! コブシがァ! とめられるかァ!!」

罰ゲームは、僕になった。 リアルドラクエが始まる。


ナレーター「リアルドラクエとは、現実世界において、ドラゴンクエストの要素を取り入れる、全く斬新なゲームである」

斬新すぎるよ。 独走だよバカ。

さっそく僕は歩き出す。 もちろん直角移動だ。
本当は、棺おけを引っ張れとまで言われたけど、そんなものはないので、引く振りをしながら歩く。
友人が、後ろから離れて笑いながらついてくる。
僕を監視するらしい。
そっちがその気なら、このリアルの波、乗り切ってみせる。 僕は誓った。

コンビニに入ってみた。

 とびらをあける ∇ 

をしなくても、勝手に開いた。
ワお、文明社会万歳。
店内を歩き回る。壺やタンスがないことにほっとする。
……あったら、アレをしなくてはいけないからだ。
お客さんがいなくなった頃を見計らい、僕はレジへ直角移動した。

  はなす ∇
  その方向には だれもいない ∇

おっと、むきを間違えた。 
からあげ君に話す22歳、ここに、爆・誕!
勇気を振り絞って、再チャレンジ。

  はなす ∇

「いらっしゃいませ」
「あの、冒険の書に記録をしたいのですが」
「えっ???」
「1にしてください。 2は、弟のセーブなんで」

僕の家ではそうでした。

「す、すいません。何ですか?」

「冒険の書です。 ないんですか?」
「はぁ、ちょっと、分からないです」
「じゃあ『たましいのつぼ』でいいです」

ガデュリン風に攻める。
まさか、今の世に知っている者はそうはいまい。

「ちょっ、店長! 来てください!!」

 
  店員は 仲間を 呼んだ! ∇

このままでは負ける! と思った僕は、急いで方向転換した。
商品をレジに出す。
リアルゴールドを出した。
店員はほっとした様子だ。

「すいません、何ゴールドですか?」

「えっ、これ……リ、リアルゴールドですけど……」

  店員は こんらんした ∇

「リアルにゴールド?? えっ、だから値段が」


  僕も こんらんした ∇ 


商品チョイスに、失敗していた。

「店長ー! すいません、おかしなお客様が!」


あわわわ。 ダメだこりゃ。 逃げろ、逃げろ俺!
誰だよ、『がんがんいこうぜ』なんて作戦考えた奴!
僕はとっさに踵を返す。

  しかし まわりこまれてしまった ∇

レジの前には人だかり。
しかも、すっごくこっち見テルー!!
逃げるの失敗! 店長迫る!! ぎゃー、ギガンテス見たいな男きたー!!

「ルーラ!!」

叫ぶ叫ぶ。 あばよモンスターども!
僕は宙に浮く!
天井にはぶつからなかったけど、元いた場所に、戻った。

「あの、どうかなさいましたか?」

「いえ、あのぅ……」

コンビニで「ルーラ!!」と叫びながらジャンプする男って言うのは、自然と肩身が狭くなるもんだよ。

「お求めは、こちらの商品でよろしいですか?」

「僕が欲しいのは、欲しいのは……僕が 僕である証だ!!!」

アイ・アム・挑戦者。
もう逃げる逃げる。 
みんなの唖然とする顔をわき目に、逃げる逃げる。
こんな赤っ恥を書いた僕だけど、まだ唯一希望があった。
友人である。
彼らが、僕をからかってくれて、罰ゲームっぽくしてくれれば、この恥も中和されるに違いない。
僕は必死で、店の駐輪場で友人を探した。

  その方向には だれもいない ∇


もう、何がなんだか。 友人はいなかった。
悔しさのあまり、連打。

  その方向には だれもいない ∇
  その方向には だれもいない ∇
  その方向には だれもいない ∇

……

  僕は あしもとを しらべた! ∇
  したたり落ちる なみだを みつけた ∇

……視線。
友人は、遠く、踏切を渡っていた。
遮断機が、ゆっくり、下りる。

さまよえるユダヤ人とは、すると、おれのことであったのか? (安部公房)

帰り道。
僕は独り、とぼとぼと歩く。
それはまるで、自分の棺おけを運んでいるような、そんな気分だった。

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