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AMD Radeon RX 480 PCIeスロットの消費電力問題とその修正について(解説)*追記(2)

2016/07/05 23:13 投稿

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*追記(2) 2016/07/08
今朝方AMDからRX 480の消費電力問題に対する修正ドライバー、Radeon Software 16.7.1がリリースされた。
簡潔に書くと、このドライバーにより、多くの一般的ゲームユーザーにとっては影響が発生しないレベルまでには事態が改善した。
ただし最悪の状況では電流が規格の5.5Aを超えることがあるため、リファレンスでの気軽なOCなどは依然、PCにトラブルを招くこと可能性があることに注意されたい。

これまたドライバーの詳しい修正内容を検証している国内サイトがなく、実状どうなっているのかわからないのである程度解説していく。

今回もPC Perspectiveの修正報告に基づいて解説していくため、自分で記事を読みたい場合は下記の記事を参照してください。

AMD Radeon RX 480 Power Consumption Concerns Fixed with 16.7.1 Driver | PC Perspective: http://www.pcper.com/reviews/Graphics-Cards/AMD-Radeon-RX-480-Power-Consumption-Concerns-Fixed-1671-Driver

では今回のどのように問題を解決したかというと、予想通りに電源供給をPCI Expressスロットから補助電源の6-pinに移すことで電力問題を解決している。
またこれによるパフォーマンスの変化は無く、個々の状況の変化は個体差とドライバーの最適化によるものだと思われる。

ではどのような修正なのかというと、今回の修正はVBIOSやマイクロコードでの修正ではなく、ドライバーレベルの修正になる。
実は今回行われている修正は*追記(1)で"The Stilt"によって行われた修正とほとんど内容は変わらない、ドライバーはGPUを検知すると自動的にパワーコントローラー再構築し、電力の流れをPCI Expressスロットから補助電源の6-pinに移すように設定する、これはPCの起動ごとにそのつど行われる。
これによるパフォーマンスの影響はない。

さて、ここで75Wと決められている6-pinに電源供給を移しても問題ないのか?という疑問を抱く方が居られるかもしれないが、特に問題は無い。
それはPCI Expressスロットと違い、補助電源の6-pin, 8pinは規格以上に余裕があるためだ。
6-pinが耐えられる電流はピンあたり8-9Aであり、6-pinはピンが2つあるため実際は200W近くの電流に耐えられることを意味している。
問題となるのは電源(PSU)からの電源供給だが、RX 480の消費電力では誤差の範囲だろう。

また今回AMDは"Compatibility Mode"(互換モード)という、GPUの性能を犠牲に消費電力を引き下げる項目を用意した。
TDPの150Wをどうしても上回らせたくない人には有用だろう。

以前と同様に最悪のケースとなるMetro: Last Light (4K)ストックでの消費電力で比較をする。

Metro: Last Light (4K)ストック 16.6.2ドライバー


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71367

Metro: Last Light (4K)ストック 16.7.1ドライバー


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71368

Metro: Last Light (4K)ストック 16.7.1ドライバー Compatibility Mode On(互換モードオン)


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71371

Metro: Last Light (4K)ストック 16.6.2ドライバー 電流と電圧


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71369

Metro: Last Light (4K)ストック 16.7.1ドライバー 電流と電圧


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71370

Metro: Last Light (4K)ストック 16.7.1ドライバー Compatibility Mode On(互換モードオン) 電流と電圧


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71372

さて、ここで気になるのがCompatibility Mode On(互換モードオン)の場合でも+12Vの規格の電力66Wに電流5.5Aを超えているところだ。

またRise of the Tomb Raider (1080p)やThe Witcher 3 (1080p)などでも瞬間的に規格の電力、電流を超えることがあるため、古いマザーボードや電源供給に不安のあるマザーボードでは強制的なシャットダウンが発生するかもしれない。
少なくともOCなどでパワーリミットを変更するのは得策ではないかもしれない。

*個人的な感想
今回の問題はそもそもTDPを150Wに収めたのが、さらに言えば補助電源を6-pinに制限したのがことの発端だ。
8-pinを付けたくないがないために、この問題を引き起こしたのは間違いなく失策だった。
OC3Dによれば、
(RX480 power bottleneck? TTL Talks: https://www.youtube.com/watch?v=8Oc7zXhzlzU)
RX 480はパワーリミットを引き上げることで電力効率は悪くなりながらもOCによる性能向上が期待できるとのことで、このグラフィックカードの性能を制限しているのは電力そのものであり、忌々しい6-pinにあるといえる。
幸いなことにオリジナルモデルのRX 480には8-pinが搭載されているものが多いようなので、オリジナルモデルでは問題にはならないことだろう。


      ._
       \ヽ, ,、
        `''|/ノ
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*追記(1) 2016/07/07
現在Overclock.netにてMSI Afterburnerを通したI2C通信を行うことで、電源供給をPCI Expressスロットから補助電源の6-pinに移せることが報告されており、またそのコマンドも提示されている。

もちろんこれはAMDとグラボベンダーの保障を失う可能性があり、RMAなどを受けられなくなる可能性が生じることを明記したい。

A temporary fix for the excess PCI-E slot power draw for the reference RX 480 cards - Overclock.net: http://www.overclock.net/t/1604979/a-temporary-fix-for-the-excess-pci-e-slot-power-draw-for-the-reference-rx-480-cards
*追記終了(1)


北森瓦版 - Radeon RX 480の消費電力問題に対しAMDが公式に声明を発表: http://northwood.blog60.fc2.com/blog-entry-8614.html

ここでは一部まとめブログでの混乱と日本語によるまともな文献・検証が無いため、PC Perspectiveのレビューを参考にこの問題について解説していく。

もし自分で英語による記事を読みたい場合は上記の北森瓦版でも紹介されていたVideoCardz記事を閲覧するか、

What reviewers say about Radeon RX 480 exceeding PCI-Express power specifications VideoCardz.com: http://videocardz.com/61667/what-reviewers-say-about-radeon-rx-480-exceeding-pci-express-power-specifications

PC Perspectiveによる記事、動画を参照するとよい。

Power Consumption Concerns on the Radeon RX 480 | PC Perspective: http://www.pcper.com/reviews/Graphics-Cards/Power-Consumption-Concerns-Radeon-RX-480
AMD Radeon RX 480 Power Concerns - Detailed Analysis: https://www.youtube.com/watch?v=ZjAlrGzHAkI

簡潔に書こう
1. この問題はシステムを不安定にする可能性があるか? YES
2. この問題はPCを物理的に破損させる可能性があるか? YES

事の発端は海外のレビューにてTDPの150Wを超える電力が消費されており、またそれがPCI Expressの補助電源の6-pinではなく、PCI Expressスロットから供給されていると報告されたことから始まる。

ここでの問題は150Wを超える電力が補助電源ではなく、PCI Expressスロットの小さなピンから供給されていることだ。
PCI Expressスロットの電源は規格により75Wと定められており、これはスロットのピンの物理的許容量から決められている。


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71148

PCI Expressスロットで供給される電源は3.3Vと12Vの2つで、前者は最大3.0A、後者は最大5.5Aである。
これは1つのピンの物理的に許容できる電流1.1Aから決められており、12Vはピンが5つあるため、1.1A*5=5.5Aとなる。
ここで計算をすればなぜ規格で75Wと定められているのかがわかる、3.3Vは最大9.9W、12Vは最大66W、あわせて最大75Wということだ。

ここでRise of the Tomb Raider (1080p)ストックでの消費電力を見てほしい。


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71144

注目するべき箇所は真ん中の白い線(12V)と下の赤い線(3.3V)だ。
真ん中の白い線(12V)はすでに許容量の66Wを超えており規格に違反している。
下の赤い線(3.3V)をあわせれば常に75Wを超えている状況だ。


もっともひどい状況はMetro: Last Light (4K)ストックでの消費電力だ。


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71151

この価格帯のグラフィックカードで4Kは現実的ではないが、見てわかるように常に80Wを超える電力をPCI Expressスロットを通して供給されているのがわかる。

これは電流と電圧のグラフだ。


by PC Perspective: http://www.pcper.com/image/view/71153

緑の線(+12V の電流)が常に規格の5.5Aを超える6.5Aを供給しているのを示している。

では、これらが実際にどのような影響を与えるかというと、それはシステムの不安定化と物理的破損だ。
現在のマザーボードはPCI Expressに供給する電力が一定値を超えた場合、システムを強制的にシャットダウンさせる機能が付いている。
これは上記1.で書いたようにシステムを不安定にする可能性があることを意味している。
また逆にSLIなどを想定されたゲーミングマザーボードの場合、PCI Express全体について供給する電力を大きく見積もられている可能性があるため、強制的にシャットダウンさせる前にPCI Expressスロットの小さなピンが破損する危険性がある。
これは上記2.に書いたようにPCを物理的に破損させる可能性があることを意味している。


この問題をもっとも簡単に解決する方法は供給する電力をPCI Expressスロットから補助電源の6-pinに移すことだ。
確かに6-pinは規格で75Wと定められているが、実際にはそれ以上の電流を流すことができる。
HDDなどに使われた4-pinケーブルは11Aまで許容でき、6-pinには導体が2つあるため、十分に許容範囲内といえる。
過去にグラフィックカードがTDPを超える電力を消費していることがわかっても問題にならなかった理由がこれにある。
最初に書いた通りこの問題はPCI Expressスロットの小さなピンから過剰に電力が供給されていることが原因だ。


最後に7/7どのような修正が来るかはわからないが、パフォーマンスに影響が出ないことを祈る。


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