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〈群像劇〉としてのSTU48第2期生

2020/02/04 15:53 投稿

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STU48の1期生は、最初から瀧野由美子を絶対的センターとし、周囲のメンバーたちも瀧野が掲げる旗を目印にスタートを切った。無名で未熟な後続グループが戦場で生き抜いていくための、それが暗黙の戦術だったのかもしれない。名画「民衆を導く自由の女神」のイメージが脳裏によぎる。

もちろん各メンバーは絶対的センターにただ追従していたわけではない。それぞれの役割を最大化することで、活躍の場やファンを拡大していった。

最大の目玉である船上劇場がいつ就航するかも分からず、〈陸上〉ツアーなどという一般的には当たり前なタイトルを冠した巡業を地味に続けることにやや疲れてきた頃、ドラフト3期生という救援隊がやってきた。その「いい意味で垢抜けない軽妙さ」は、瀬戸内グループのカラーにナチュラルに溶け込み、肉料理に添えられたスイーツのように、STUというテーブルに彩りを与えた。

そんなフルコースが完成したSTUに、あらたな料理が並べられた。それはオーダーした(投票した)客が想像もしていなかった、中華料理のアラカルトだった。しかもたいへん厄介なことに、ターンテーブルに一気に運ばれて来た24種の料理は、アラカルトであると同時にバイキングでもあった。客の皿には少なくとも3〜4種類、節操のない客は5種類以上の料理が、目移りするままに載せられていった。
四川料理が好きな客は麻婆豆腐と辣子鶏を、点心に目がない客は小籠包と水餃子に、海老シューマイまで並べている。好みは違えどどの客も、皿に取った料理のどれから手をつけようか迷っている。選べないうちから麺類に目移りする客もいる。ともかく言えることは、オーダーに対してサービス過剰な船上パーティーが、いま瀬戸内で始まったということだ。

・・・しかし。
華やかな料理の例えだけで表わせる2期生ではない。むしろ僕が最初によぎった連想は、北方謙三の『水滸伝』や黒鉄ヒロシの『新選組』といった、血生臭い中にもキャラクターを多面的に生き生きと描いた群像劇だった。設定上の序列はあるものの特定の誰かが主人公ではない描き方も、24人の佇まいに重なる。
私たちが投票によって息を吹き込んだ登場人物たちは、私たちの手を離れ、自走し始めた。客の好みを反映したが故に、強い嗜好性(パラメータ)を持ったメンバーがカテゴリーごとに複数乱立することとなった。
ビジュアル系、ギャル系、清楚系、日常系、職人系、ヤンキー系、天然系…その分類の仕方はあらためて検討するが、ともかく、ひとつのカテゴリーに複数のメンバーがひしめき合い、さらにカテゴリー同士のトーナメントが展開していくだろうという、歴史物語さながらの想像が湧き上がる。少なからずのメンバーに垣間見える武人のような眼光が、そんな想像にさらにリアリティーを与える。

そういう目で見ると『僕の太陽』公演におけるユニットのキャスティングは、群像劇として捉える格好な入口だ。例えば、『向日葵』メンバーによるMCで中廣弥生が図らずも指摘した「この3人(鈴木彩香 高雄さやか 原田清花)」などは、番組で特派員からも指摘があったように「同じ皿のライバル」であり、穏やかな曲調の中でどんな火花が飛び散るか、目が離せない局地バトルのひとつである。

◾️スクランブルエッグ編集長/「向日葵」のソロカット
https://twitter.com/s_egg/status/1223963245733531648?s=21

・・・というわけで、ここまで読んだあなたは、前半の《1期生+ドラフト3期生》の歴史とはまるで異なった印象を持ったのではないだろうか。そんな彼女たちは、かつての48グループにおいて、タイミング的にスポットに入りやすかった2期生のジンクスを破る軍勢となるのか? はたまた運営はどのようにプロデュースしていくのか?(正規メンバーにどう混ぜるのか、混ぜないのか?等) 少なくとも当面は、研究生公演という枠組みの中でケレンに富んだゴキゲンな群像劇が楽しめることは間違いないだろう。しかも研究生時代が単に「序章」にすぎないのなら、とんでもない大河ドラマが始まったことになる。

『STU48ジャーナル』では、そんな2期生をこれからも定期的にレポートしていこうと思う。
(了)

●2/3(月)放送(タイムシフト期間後はアーカイブ化します)

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