10/28（月）放送の『週刊48NEX』では、前日にファイナルを迎えたHKT48九州7県ツアーをメインテーマに、札幌＝福岡＝大分をLINE電話で結んでの《列島縦断総括戦》を、3ヶ月ぶりに行いました。

話題はツアーに留まらず、劇場公演や5期生などにも及び、あっという間の90分でした。ご出演いただいたみなさん、ありがとうございました。8周年のあとにも、ぜひ集まっていただければと思います。

ところが、です。

4人が90分もクロストークしたにも関わらず、ツアーの目玉のひとつである《指レンジャー》の話がただの１秒も出ませんでした。…何故でしょうか？

トークしたみなさんには確認していませんが、ぼくの感覚としては、単に《指レンジャー》以上に語りたいことが多かった、という以外に特に意図はありません。では、目玉であるはずの《指レンジャー》のプライオリティーがなぜ高くなかったのか？基本的には、だいたいの評判は世の中に出尽くしてしまっていて、あらためて語ることも…ということかもしれませんが、ぼく的にはそうでもありません。

ぼくの場合、ツアー期間が事務所の引っ越しとダダ被りしたために、行くつもりだった公演（大牟田と大分）に行けず、ファイナルについても、STU48第5期生最終審査の実況番組があったため、ニコ生での視聴となり、《指レンジャー》も同じニコ生枠で総集編をチェックしました。

すでに絶賛を浴びているように、村重杏奈はとてもよくやっていたと思います。そこに疑いは微塵もないでしょう。恩着せがましいことを言うようですが、ぼくは村重には総選挙で毎回それなりに投票していて、ランクイン80位、追加発表100位という、村重的にはとても輝かしい奇跡の爪痕に、それなりに貢献しています（笑）。いまでも握手に行くと、2回に1回は、寸劇のセリフにも自虐的に登場していた村重初期の絶滅ギャグ〈パイナップル〉をやってくれます（やる気の少なめなアクションですが）。

そんなことからも、今回の寸劇を千載一遇のチャンスと受け止め、やれることは全て全力でやり尽くした村重が極めて高い評価を得たことは、応援してきたひとりとして、もちろん嬉しいことです。（ここまで来るのにずいぶん待たされたけど。日露親善やまぐちPR特使になったことも、みんな忘れてるんじゃないか？）

…ということで《指レンジャー》全体についてですが、ほとんどがベタな内輪ウケで構成された内容は、HKT歴がそれなりに長いぼくが見ても、正直「なんだかなぁ…」という感じでした。少なくとも大人が用意したお膳立てについては。

「これは私がもっと面白いものにしないと」

最初に台本を手にした村重が、そんなふうに思ったかどうかは分かりません。あくまでぼくの想像です。でも、村重が0.1秒の高速で気を利かせて繰り出しまくっていたアドリブの数々が、内輪ネタのお愛想笑いの悪夢から寸劇を救済していたように、ぼくには見えました。ふだんからバラエティーやお笑いを丹念にチェックして地道に勉強している彼女が、これまで頭の中に貯めたあらゆるデータベースを高速演算し、村重流に一気にアウトプットしていたように思います。

…というように、《指レンジャー》について書こうとすると、どうしても村重の話に流れてしまいますが、2014年の７県ツアーが創成期のパワーで新しいエンタテインメントを見せてくれたのに対して、今回のツアーは固定客にハイコンテクストな共通言語を届ける「町内の定期祭り」といった印象で、それを象徴するのが、内輪ウケの網羅的な《指レンジャー》であったと思いますが、村重の頑張りは、その枠を超えようとしていたところに絶賛のポイントがあるような気がします。黙っていれば美少女で押し通せるにも関わらず、ありふれた自意識を封印し、ひたすら笑いを取ることに快感を求めてきた彼女の、現時点での集大成と言えるでしょう。

中西智代梨という相棒が移籍し、指原莉乃という指針が卒業し、「らぶさん帰ってきて欲しい」としょげていた村重こそが、今回のサブタイトル《卒業》を最も体現したメンバーであったことは、番組内で言いはぐった大事な点として、このテキストに書き留めておきたいと思います。

ちなみに本稿のタイトルは、村重が好きだという映画『グランド・イリュージョン』から引用しました。都会的センスで描かれるエンターティナーのクライム・ストーリー。彼女の中にも、そんな感性が潜んでいるんじゃないかと思います。ファン層をマーケティングした昭和的バラエティーとは違う、新たな境地の村重杏奈が見れる日を楽しみに待っています。

■10/28（火）放送
週刊48NEX～HKT7県ツアー列島縦断総括戦&SKE10期SR中間報告～

※11/3までタイムシフト公開後、アーカイブ化します。