AKB48 13期生公演in TDC ~今やるしかねぇんだよ!~をめぐるヲタクたちの証言
第2回・2017.6.27
光と影の夏
2016年の夏を通じて、13期生公演実現への機運は確実に高まっていった。
この夏、選抜を中心とする多くのメンバーがユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの特別公演と舞台「マジすか学園」に参加した。AKB48劇場では、日ごろから劇場公演を支えているメンバーたちがいつも以上の稼働を求められることになった。13期メンバーの多くがそこに含まれていたことは言うまでもない。
19日の公演からはアンコールで「熱闘!甲子園」のテーマ局「光と影の日々」が披露された。梅田綾乃と村山彩希がWセンターで歌い出しをつとめ、その後には相笠萌と北澤早紀(さっきー)が控える。
《夏休み公演に出演してる13期の全員が
フロントメンバーなんです(๑>ω<๑)♡
これは!これは!!
13期の時代が来ましたね(๑• ̀ω•́๑)✧》
北澤早紀はGoogle+(ぐぐたす)にこう書き、13期ヲタたちは「あれは13期の曲だ」と称賛した。
あえて言えば「劇場公演しかない」メンバーたちの熱演は、平日の2回公演が行われて当選確率が上がったこともあり、多くのファンの目に触れることになった。「僕の太陽」公演の評価は日を追って高まり、千秋楽のはずだった9月4日の公演で延長が発表される。
もちろん、これは13期メンバーだけの功績ではない。だが、この「勝利」に13期ヲタは発奮した。その熱気が他のヲタクたちに伝わり、「劇場を支える13期」の存在感をさらに高めていった、と考えることは許されるだろう。
13期は、劇場公演復興の旗手としての資格を備えつつあった。
だが、「13期の時代が来」たという手応えとは裏腹に、13期ヲタが提出した企画書に対する運営の反応はかんばしくなかった。
というより、反応がまったくなかった。
11月になると、10日のチームK公演で相笠萌が、14日の「僕の太陽」公演で梅田綾乃が、相次いで卒業を発表した。二人の卒業予定は3月。9人揃っての13期生公演にタイムリミットが区切られた。
だが、やはり、運営からの反応はかんばしくなかった。
というより、反応がまったくなかった。
#13期ヲタ会
2016年11月26日。
この日、本店ヲタたちのTwitterタイムラインは、「#13期ヲタ会」なるハッシュタグで埋め尽くされた。
都内の会場に総勢110人もの13期ヲタが集まった飲み会、というよりパーティー、あるいは集会の模様を、参加者たちが大量にツイートしたのである。
大広間を埋め尽くしたヲタクたちが酒を酌み交わし、界隈対抗のクイズ大会に興じる様子。顔出しで記念撮影するヲタクたちの笑顔。画像付きのリアルタイムツイートは見る者に衝撃を与えた。
13期ヲタ会を仕切ったのは、「幹事」こと茂木忍ヲタ・ありさ氏である。
――あれは、なんでやろうと思ったんですか?
ありさ氏:もともと、13期のヲタはよく野田組と何人かで塚田(農場)とかで飲み会をやっていて、たぶんその延長です。まあ、これもたっちゃんが「13期のヲタクで飲み会しませんか」って相談してきて。「やるんならありささんが仕切ってくださいよ」って(笑)。
そこでありさ氏が各界隈に早めに告知を出したところ、110人もの参加者が「集まってしまった」という。
ありさ氏:クイズ大会とか、たしかに盛り上がってたなと思ってましたね。あれがあったから、横のつながりが強くなったというのはありました。
多分、他の界隈とはじめて顔を合わせた感じだと思うんですよ。それぞれに仲が良い人は(他界隈にも)いると思うんですけど、全部揃ったのは。
――しかも、ちゃんとネットで発信していたのが偉かったと思います。
ありさ氏:ハッシュタグで。
――そこがうまいんですよね。
ありさ氏:後で振り返ったときに、またSNSでつながれるようにハッシュタグ付けておこうって。
楽しい感じを出しておけば、何かしらついてくるだろうなって思ってたので。
ありさ氏が期待した通り、Twitterで拡散された「楽しい感じ」にさっそく反応する人がいた。
日刊スポーツでAKB48グループ新聞を担当する大友陽平記者は、755にこう書いている。
《風の噂で、今日13期生のファンが集まる会が開かれたとか、そうでないとか。 取材…ではなく、呼んでいただけたら良かったのに笑 好きなグループを通じて、交流の輪が広がるなんて、すばらしいことですね!》
(2016年11月26日 22:39)
大友記者のトークは村山彩希によってリトークされ、さらに多くのファン、そしておそらくは運営スタッフにも、13期ヲタの結束と行動力を印象づけた。いくつかのまとめサイトも、110人ものヲタクを集めたこのイベントを好意的に紹介した。
13期ヲタ会は、大成功をおさめた。
古代人にとって、宴とは神への捧げものであった。
人々が酒食をともにし、歌い、踊り、騒ぐさまを見て、我らが神は喜び給う。そう信じたのである。
この後に起きたことは、もしかすると、ヲタクたちの饗宴を見て喜んだシアターの女神の導きだったのかもしれない。
13期ヲタ会をきっかけにしたある偶然が、13期生公演のキーパーソンを動かすことになる。
北澤早紀
13期ヲタ会の翌日、11月27日の『LOVE TRIP / しあわせを分けなさい』大握手会・フォトセッション&囲み取材会。
岡田彩花ヲタtaro氏は、北澤早紀の券を取っていた。
以下は、taro氏の証言に基づいて再構成した、同日第3部、46番レーンでの北澤早紀握手レポである。
taro:昨日の13期ヲタ会、おもしろかったよ。この流れで13期公演やりたいよね。
さっきー:ほんとやりたいんですよね。でも、しのぶさんとかに話しても、運営の人に話しても、やっぱりファンの声がもっと盛り上がらないと難しいって言うんだよね。
taro氏:ああ、そうなんだ。一応、俺たちも企画書までは出してるんだけどね。
さっきー:えっ、そんなの出してるの? 誰に?
taro氏:Gさん。しのぶさんとかまで行ってないのかなー。
その翌々日、11月29日の「僕の太陽」公演には、13期生では梅田綾乃、北澤早紀、村山彩希が出演している。この日の夜、Google+での北澤早紀の投稿より。
《なんと!
13期のファンのみなさんの想いが詰まった
13期公演の企画書がしのぶさんに届いて
しのぶさんに見せてもらいました(๑>ω<๑)♡
すごく嬉しいです(´,,•ω•,,)♡
私たちも13期公演の実現に向けて
みんなで頑張ります(๑• ̀ω•́๑)✧
本当にありがとうございます(,,> <,,)♡》
前日の握手会でtaro氏の話を聞いた北澤早紀は、即座に行動していた。茅野しのぶ劇場支配人に、企画書が現在どうなっているのかを問い合わせたのだ。
たっちゃん氏:それで、しのぶさんが劇場側に「企画書どうなってるんですか」みたいな話をして、それでメンバーに見せたっていうのは聞きました。だから、さっきーが言わない限りは、もしかするとやってなかった。
taro氏:たぶん運営にすぐ言って、すぐ見せてもらって、その日の夜にすぐに、ぐぐたすとかメールで書いてたのがあれだったんですよね。だから、その日までしのぶさんの目にも止まってなかったっていう。
りょー氏:(企画書は)宙ぶらりんな状態ってことですよね。
――(最初に動いたのは)さっきーだったんですね……。
たっちゃん氏:さっきーが行ったんですよ。
taro氏:さっきーと、あの日出てる13期メンが。
8月19日に「AKB48劇場」に宛てて提出された企画書は、3ヶ月の時を経て、ようやく劇場支配人のもとに到達した。
もう、これはできないな。
「13期生公演に現実味が出はじめたのはいつごろですか」という質問に、茂木忍ヲタ・ありさ氏は「ないです」と即答した。
実施が決まって発表されるまで、実現するとは思えたことは一度もなかった、というのだ。
それどころか、12月のなかばには「もう、これはできないな」と感じていたという。
企画書が茅野しのぶ支配人に届き、13期生公演は運営で検討されているはずだった。メンバーたちは、これまで以上に13期生公演をやりたいと訴え、運営スタッフに相談していることが握手会を通じてヲタクたちにも伝わっていた。
その手応えが、あまりよいものではないことも含めて。
りょー氏:大阪の握手会(2016年12月17~18日、インテックス大阪で開催された『ハイテンション』大握手会&気まぐれオンステージ大会)のとき、ちょうど16期生のコンサートが決まった日(18日)です。その日ちょうど茂木さんとあやなんの券があって。すごく、なんか意味わからないくらいに二人に文句を言われて。「なんで16期は決まったのに私たちはできないの?」みたいな(笑)。
他にも、「運営は私たちのことをなめてる」「16期コンサートを入れてきたのは、13期に対するいやがらせだ」といった怒りの声をメンバーから聞かされたヲタクもいた、という。
ずっと訴えてきた自分たちの公演は一向に現実化せず、入ったばかりの16期生がTDCホールで単独コンサートを打つとなれば、邪推したくなるのも無理はない。
そんな推しの姿を見て、「もう、これはできないな」と感じていたヲタはありさ氏だけではなかっただろう。
755で「13期公演はやらないんですか?」とファンに質問された茅野しのぶ支配人はこう答えた。
《まあ、楽しく待っていて下さいよ。
2016年12月18日 15:08》
【関連番組】
6/28(水) 21:00~ 放送!
『【特別企画】13期公演はいかにして実現したのか・ニコ生版
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