熱血道 Road of The Glowing Blood

【毎日更新!?(無料記事)】イノキ・ヒストリー〈完全版〉(No.453)

2018/04/17 12:00 投稿

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  • ◉猪木史〈完全版〉
 本サイトにとって決して欠かすことのできない、「アントニオ猪木」という命題。これを探求するにはその「歴史」を知らなければならない。全ては「歴史」の中にこそ、真っ当な正解へとつながる道標が存在するからだ。今こそ、改めて「イノキ・ヒストリー」を紐解こう。世界が平和になりますように――。(TEXT by 123da

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《【毎日更新!?】イノキ・ヒストリー〈完全版〉の記事一覧

 
【イノキ・ヒストリー〈完全版〉(No.453) 昭和37年7月27日】

◆日本プロレス◆
 現地時間25日にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス・オリンピックオーデトリアムで行われたWWA世界ヘビー級選手権試合、力道山vsフレッド・ブラッシーの裁定をめぐって日本で紛糾。東京スポーツ本社が力道山を国際電話でキャッチする。

本社「勝負はどうなりました?」

力道山「1-0で勝ったんだが後味が悪かったね」

本社「経過を簡単に願います」

力道山「1本目は27分何秒かちょっとはっきりしないんだが押さえ込んだよ。体固めだ。2本目もワシの方が攻勢だった。何回もフォールの体勢に持っていったんだが、ブラッシーはずるいからね。ロープの外に足を出したりして逃げられちゃってね。そのうち凄いタックルを食わせやがったんでワシが額をコーナーポストにぶつけちゃったんだ。大したことなかったけど血が出てきてね、ワシは試合できるって言ったんだよ。それがね、カリフォルニアのコミッショナーは凄くうるさいんだよ。ルールが非常に厳しいんだよね。それで試合にストップをかけてきたんだ。ワシは何度もやらせてくれって言ったんだ。それでもダメだったね。結局試合時間は全部で55分、出血多量のためのコミッショナーのドクター
ストップってことだね」

本社「勝つには勝ったんでしょう」

力道山「そうだよ。1-0でワシがタイトルを防衛したことになるな」

本社「ブラッシーは相変わらず汚いファイトだったですか?」

力道山「今まで二回やった時と同じだ。噛みつきはもちろん、急所を蹴る、殴る、10回も蹴られたよ。カリフォルニアではパレット事件(※)以来ルールが物凄くうるさくなっているんだ。急所を蹴るなんていうのはもちろんいけないと禁止しているし血を流すこともいけないことになっているんだが、そうはいっても血が出ちゃったものは仕方がないよ。流すつもりで流しているんじゃないんだから。ブラッシーも大した野郎さ。こんなに厳しいところで平気で乱暴するんだからな」

※パレット事件=現地時間3月24日にMSGで行われたプロボクシング世界タイトル戦で王者ベニー・パレットがエミール・グリフィスの連打を浴びて失神KO負け。そのまま意識は戻らず数日後に死亡した事故。当時、ボクシングの試合でも3本ロープで行われていたが、パレットはコーナーのセカンドロープとトップロープの間に上半身が飛び出る形で失神。ダウンにならず連打を浴び続けたことが事故の原因とされ、この試合を機に4本ロープに改められる。

本社「試合の方法はどういうことだったんですか?」

力道山「時間無制限の3本勝負だったよ。レフェリーはこの前ブラッシーとやった時と同じ、レッドシューズ・ズーガンだった」

本社「あっちょっと待って下さい。UPIから外電が入ったんですが、これによるとリキさんが負けてタイトルを奪われたことになっているようですが?」

力道山「なんだって?冗談じゃないよ。試合をしたのはワシなんだ。ワシが1本先取して勝っているんだ。とんでもないよ。カリフォルニアのルールが厳しかったんだで出血多量を理由に試合を中止したんだから、タイトルを獲られたわけではないんだ。ベルトはコミッショナーが保管することで話がついてるよ」

本社「でもブラッシーがチャンピオンベルトを締めている写真も入ってきてますが?」

力道山「それはね、ブラッシーがベルトを奪って逃げたんだ。それをコミッショナーがすぐ奪い返してきたよ。だからその間に自分でベルトを締めてタイトルを獲り返したとかなんとか言ったんだろ。写真を撮れぐらいのことをな。だいたいチャンピオンベルトというものはリングの上で堂々と締めなければ意味がないんだ」

本社「ブラッシーが北米レスリング協会からチャンピオンに承認されたニュースとリキさんの負けたような談話まで入っていたんですが?」

力道山「いや、それは何か行き違いがあったんだろう。カリフォルニアコミッショナーのルールが他と違うんで多少ニュアンスが違ってくるんだ。再試合をやるということも原因しているんだろう」

本社「それではリキさんの勝ちというわけですね」

力道山「そう、ワシが勝ったんだ。タイトルは移動しないよ。でもなんとなく気分が悪いし、しゃくにさわるから9月にもう一度ブラッシーとやることにしたよ」


 この裁定に真偽に関して、日本プロレスリング協会はロサンゼルスのグレート東郷から「外電が報じた力道山敗戦は事実」と確認する。

東郷のコメント
「州コミッショナーの命令で試合は停止されたが、試合終了後コミッショナーは『力道山が試合続行不可能になり試合中止』と判断し、2本目はドクターストップでKO負け。3本目は力道山の試合放棄と判断し力道山のデフォール(棄権)による判定負けを宣し一度とりあげたチャンピオンベルトをリングではなく控室で再びブラッシーに渡した。従って現在ベルトはフレッド・ブラッシーが所持している」

昭和37年7月28日発行 『東京スポーツ』より
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 午後6時30分より『プロレス国際試合~夏の陣~』第2戦が東京・リキスポーツパレス(観衆約2500人)で行われ、猪木完至は遠藤幸吉と20分1本勝負で対戦し14分23秒、片腕固めで敗退。セミファイナルでは在日最後の試合となるリッキー・ワルドーを吉村道明が得意のドロップキックを繰り出し2-1で快勝する。

 メインイベントでは豊登とスカル・マフィーが60分3本勝負で対戦。マフィーはガウンを着けずに腕に不気味な骸骨の入れ墨を見せて登場。客席を見渡すと受け取った花束をリングに叩きつける。この暴走に客席は騒然となり罵声の嵐。豊登が登場すると襲いかかりヘッドロックから花束を目にこすりつけると、気温33度の場内は早くも興奮状態となる。

 1本目、ゴングとともに両者はリング中央で激突する。マフィーの赤く充血した肌と豊登の日焼けした肌は全く対照的。両者は激しい首の取り合い。豊登の怪力が勝り、マフィーは宙に舞ってマットに沈む。
 顔面を真っ赤にして禿げ頭から汗を吹きだしたマフィーは奇声をあげて豊登に突進するが、豊登はまたも叩きつける。
 カンカンになったマフィーは立ち上がるとロープを蹴飛ばし、マットを蹴飛ばしの大荒れ。今度こそと凄まじいネックブリーカーにでるが豊登は強引に担ぎ上げてボディースラム。いやというほどマットに叩き付けられたマフィーは、これでは試合にならんとばかりに場外へ飛び出す。
 沖識名レフェリーのカウントに躍り上がるマフィーは豊登にいきなりヘッドロックを仕掛ける。しかし、豊登はこれを肘打ち、パンチで返すとマフィーをロープに突き飛ばして両腕をロープに挟んで宙づりにしての猛攻2分余。マフィーもさるもの必死に逃れると豊登の突進を強引な急所キックの反則で受けて、ネックブリーカーからまたも急所キック。ヘッドロックで締め上げればさしもの豊登も苦戦。渾身の力を振り絞ってマフィーをロープに突き飛ばす。
 だが、マフィーはこの機を狙う。ロープに飛んだマフィーは反動を利用し、肩を低く下げて突進。痛烈なショルダーブロックを豊登の肩口に炸裂させる。
 ガーンと二人の巨体が激突した瞬間、豊登の黒い体が崩れ、その上に押しかぶさるようにマフィーの巨体が崩れ落ちそのまま7分55秒、体固めで3カウント。
 しかし、豊登の足はロープにかかる。観衆は「ロープ!ロープ!」と連呼するが、沖レフェリーはマフィーの右手を挙げる。

 2本目、勢いにのったマフィーはゴングとともに口に含んだ水を吹き付け必死のベアハッグにくる豊登に恐怖の頭突きを連発。急所をキックして、場外に投げ飛ばすと自らも飛び降りてイスを振り上げて滅多打ち。両者観客席で大乱闘のうちに2分51秒、リングアウトとなる。豊登はレフェリーに抗議するも裁定は変わらず2-1でマフィー勝利。


マフィーのコメント
「(豊登はどうか?)弱い野郎だ。リキドーゼンに早くお目にかかりたいぜ。ユーアンダースタンド?レフェリーも客もなってない。今度は客でもぶん殴るぜ。見ろこの腕を(客が投げたビンが直撃した跡が赤くなっている)。俺のストレート勝ちだ」

◆主な試合結果

▼20分1本勝負
 〇遠藤(14分23秒 片腕固め)猪木●

▼45分3本勝負
 □吉村(2-1)ワルドー■

1本目 ○ワルドー(17分46秒 体固め)吉村
2本目 ○吉村(2分42秒 体固め)ワルドー
3本目 □吉村(1分15秒 反則)ワルドー

▼60分3本勝負
 〇マフィー(2-1)豊登●

1本目 ○マフィー(7分55秒 体固め)豊登
2本目 豊登(2分51秒 両者リングアウト)マフィー







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